【エッセイ】 冬支度
秋は春と似たり、渡りの鳥のやってきて、あちこちさえずり、やかましい。
一体どこから来るものか、目的地はどこなのか、そこら中で鳴く虫は、さしずめ肉の焼ける音、鍋のぐつぐつ煮え立つ音に聞こえるか、これだけいれば食べ放題、ベジタリアン向けに木の実もあれば、山はビュッフェ会場というわけか。
夏の夜から毎夜来る、窓のカエルも寒さに震え、それでも冬眠前のエネルギー補給、動けなくなるそれまでは、灯りに集まる羽虫を食らい、甘藷の畑をイノシシが掘り起こす、稲刈り後にはシカが来る、各々、冬の準備を始める秋の日、人は今年も割り切らぬ丸太の山の傍ら、肩をすくめて通り過ぎる。
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