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【随筆/まくらのそうし】 筒鳥(ツツドリ)

 あるとき、宇宙からの交信音が山に響いた。

 ポポ……ポポポ……と、巨大なパラボナアンテナから発せられた電波のように、データを送信中です、とでもいうように、その音は響き続ける。

 それが宇宙の交信音でなく、ツツドリという鳥であった。

 まるで鼓を鳴らすよう、ぽぽ、ぽぽと鳴くので、そう呼ぶのだそうである。

 鼓の音など、そう聞くこともない現代の、しかし未知なる宇宙の音と思えば、そう風情のないこともない、そんな時代が来るかも知れぬと、山に響くツツドリの、どこか機械的な不思議な音色に、しばし耳を傾ける。

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