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【随筆/まくらのそうし】 含羞草(オジギソウ)

 オジギソウが好きである。

 つん、と突けば葉を閉じる、あの不思議さに心奪われ、オジギソウらしき葉があれば、取るものも取りあえず突いてみる。

 が、なかなか本物に出会えない。突いても突いても、知らんぷりの偽物ばかりなのである。

 それでも一度で諦められず、通りかかるたび、つん、とやる。しかし、やはり葉は閉じぬ。その次も、次もやるうちに、オジギソウを思いやるような気分になり、これが本物だったとして、こうもつんつんやられては、たまったものではないかもしれない、葉を閉じるにも何らかエネルギーがいるだろう、それを遊びのようにやられては、迷惑千万なのではないか。

 それで、ある程度は我慢して、初見のものだけ突くことにする。

 それでも本物に出会うことなく、肩を落としてとぼとぼと、そして最近思うこと、いつか本物に出会うとき、偽物も突かないとした我慢、これがまさに裏目と出て、心満ちるまで本物を、突き回すことにならぬかと、そんな心配をするのであった。

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