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【随筆/まくらのそうし】 亀虫色

 カメムシというのは、様々な色のいるもので、よく見かけるのは茶色く盾の形、次には同じ茶色で腹の細い、ネクタイ型とでも言えばいいか、そんな妙な形のカメムシである。

 例の、自然農法家がすり潰したのは、灰色をしたものであった。

 しかし、このカメムシというもの、美しいものが多々あって、赤に緑、黄色に橙と、その模様も複雑な、一見に値するものである。

 触れなければ臭くもならず、蝶のように、近づいたとて特には動かず、鑑賞のし甲斐があるというもの。

 先日、見かけたカメムシは、緑に黒、青の溶けたような斑点模様、盾の縁取りもしっかりしており、宝石のようなその様は、幼い頃に何度か作った、七宝焼きのブローチなどを、想起させるものだった。

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