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止まった時間

 夕方のような光が朝から、終わりから始まる今日が、止まった時間のまま過ぎていく。
 こんな日は、鳴くべき鳥の鳴かず、飛ぶ虫の飛ばず、同じ毎日を送るのは人だけであるような、平日という名の下に、人は時計の針の通りに動いているのだと思いながら、時計の針に動かされ、歩き、乗り物に乗り、定められた建物の、定められた椅子に座り、定められた作業に取りかかり、そのうちに昼だと聞かされ、ものを食べ、再び何がしかの数字や文字や、記号を操り、ものを飲み、疲れるのであくびをし、今日の定められた物事の、一体どれだけ終えたのか、その数値を見ては落胆し、定められた場所へ帰り、定められた務めを果たし、今日が終わるので眠りたいが、反抗心で起きている、そんな夜更けを過ごすというのに、鳴くべき鳥は鳴かずに眠り、飛ぶべき虫は飛ばずに葉の裏で、明日も誰かの定めた定めも知らず、鳴くときに鳴き、飛ぶときに飛ぶ。

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