奴国の埴安姫
《狗奴国と奴国の絆》
狗奴国と奴国は、姉弟国であることは余り知られていない。 姉とは、天之御中主神(白山姫・菊理媛神姫)弟は、白川伯王(大幡主の父)である。 大ざっぱに言えば朝倉と福岡と言うことが出来る。
歴史を物語ると長くなるので 今回は、そのことを示すとても重要な神社が、筑前町にある。大山祇神社である。場所は、直売場があるみなみの里より(三並とは鍛冶関係者の意味)北東部の山里にあり、棚田が作られている。 いまでこそ車なら市街地に簡単に出ることができるが当時は隠里の風情だったろう。
大山祇神社(筑前町)
祭神は、大山祇(月読神)埴安姫(草野姫)である。 埴安姫とは、大幡主(福岡・櫛田神社)の妹である。一族の出自は、天之御中主神 が、宇摩志阿斯訶備比古遲神(ウマシアシカビヒコチ)神と結婚し大山祇を生む ことになるのだが、大山祇と埴安姫の結婚は、国同士の結婚と同時に「いとこ婚」である。 両国の絆をいっそう深めたい政治的意図があったと言うことである。
宇摩志阿斯訶備比古遲神の出自は、当時の鉄器先進国で、インドから妃を迎えた 「鉄の王」金官伽耶・首露王の直系の子孫である。久山に白山宮があるが、その上の山は、 首露山と呼ばれ今に伝えている。
弥生期には、いくつかの部族が渡来し、鉄や米を伝えることで勢力を伸ばしていくが 金官伽耶直系の狗奴国が、韓国貿易を後ろ盾に力をつけていく、奴国の北方、宗像一帯 を勢力下において貿易港を持ち貿易を行いインド製品をも輸入している。 鉄インゴットやロマンガラス(首飾り)等は代表例である。
狗奴国が邪馬台国と対峙でき、一時海幸(素戔嗚姉の子)を従え、後に和解できたのも 中国の分裂と金官伽耶の優位があったからこそである。
この大山祇神社は狗奴国と奴国の両国の絆を伝える重要な神社なのである。
櫛稲田姫と木花咲耶姫昨夜姫は姉妹である
《櫛稲田姫と木花咲耶姫は同母姉妹》
系図を見て頂きたい。埴安姫は2人の娘がいるが「同母姉妹」である。それぞれ父は金山彦と大山祇である。金山彦は、インド波羅奈国王子と伝わり、すぐ東には良質な鉄鉱石産地があり「鉄器制作の達人」であり日本国内の部族間で人気があった。インドは当時米と鉄による最初の帝国を築き鉄の先進国であった。伽耶はここに目をつけたと思われる。
ちなみに、首露王の王妃ファンオクはアユダ国、彦星はマガダ国(英彦山流記)と伝わる。(図参照)このあたりは背振(修学院伝承)と英彦山にほぼ同じ伝承が伝わっているのが面白い。
神々の故郷インド(詳細は神々本参照)
意外に思われるかも知れないが、高崎市の榛名(波羅奈)神社には火産霊神(軻遇突智・金山彦)と埴山姫神を祀っている。
榛名神社(高崎市)金山彦と埴安姫を祀る
福岡にも、扇祇神社(筑紫野市萩原)があり綾惶根命、埴安命、火之迦具土神を祀る。綾惶根命とは埴安姫である。ちょうど大山祇神社とは目と鼻の先、筑前町と筑紫野市である。
扇祇神社(筑紫野市萩原)
綾惶根命(埴安姫)、火之迦具土神(金山彦)を祀る