見出し画像

「謎の神社・坂本宮!」

画像1

画像2

花火の動乱蜂で有名!

 謎の神名


 筑後川の女神を探していて、なぞの神名に出会った。中々出会わない神々である。その神社は、大石神社(福岡県田川郡)櫛石窓神、豊石窓神大己貴である。調べて見ても「超難解」なのである。普通大石神社と言えば石凝姥命なのでここで途方に暮れる。

分かりそうで分からないのである。難しいが奥深い。難問ほど挑戦のしがいがあると言うものだ。その内に突破口らしき方向が見つかった。はやはり神社であった。

古事記は、古い時代ほど信用できないのであまり採用しないのだが、①「豊磐間戸命と櫛磐間戸命は太玉命(豊玉彦)の御子神」という一文が記載されている。ここは、この先を見たかったので”行く”ことにした。そして転機になった神社は、奈良・柳生の里にある神社だ。

天乃石立神社(奈良)祭神 豊磐間戸命  櫛石間戸命  天磐門別命  天照大姫命
前立磐 豊盤門戸命(豊岩窓命)「天石立神社」
②後立磐 櫛盤門戸命(櫛岩窓命)「天石吸神社」とも称す。

画像3

天乃石立神社の巨石(奈良)

とある。既にこの時点でなんとなく分かってくる。天石吸神社に注目すると、早吸日女=鴨玉依姫が思い浮かぶ。古事記記載の太玉の娘だからである。九州の”上唇”の佐賀関・早吸日女神社(はやすひめ佐賀関)があるが、八十枉津日神(櫛稲田姫)が祀られている。早吸日女はその娘である。早吸とは豊予海峡のことである。つまり①②から櫛岩窓命=鴨玉依姫とすれば、豊岩窓命=豊玉姫=豊玉彦x萬幡豊秋津姫(高木の娘)が推測できる。この推測が、坂本神社でも矛盾しないか検討してみる。

坂本神社の由緒書き

「坂本神社」(久留米市)この神社について境内には由緒書掲示されている。
東坂本社 櫛岩窓命 西坂本社 豊岩窓命
注=両祭神は、太玉命の御子で「殿(みかど)」を守衛(まも)る神、即ち高良参道入口の守護神である。
神社調帳 (明治八年)(1875)高良大社臓によると

祭神 櫛岩窓命----------------------> 鴨玉依姫?
末社 素盞嗚社 祭神 素盞嗚命
同  佐田社  祭神 猿田彦命
同  八柱社  祭神 高良玉垂命・外七柱
注=八柱社は元治二年(1865)建立

祭神 豊岩窓命 ----------------------> 豊玉姫?
末社 隼鷹天神社 祭神 高皇産霊神(高木神)
同  石川宿弥社 祭神 不詳

注=境内に佐屋神大明神の石碑あり。

明治四十三年九月二十六日 郡役所の勧誘により、王子山596-1 高良御子神社境内に、全末社とも移転遷座す。現在、王子宮境内に祭祀してある坂本神社の社殿は一つだが、正面祭壇上に素木の厨子が二つ並んでいる。それが東西坂本本社のご神体である。中央に不明のご神体一柱あり。(後略)

この由緒から櫛岩窓命は素戔嗚系、豊岩窓命は高木神系だと分かる。つまり矛盾していない。次の神社例も同様であろう。坂本神社の方が詳細に伝えている。

◎天太玉命神社(橿原市)天太玉命(豊玉彦)大宮売命(天細女命)豊石窓命 櫛石窓命 は古事記の例
◎天椅立神社 (徳島県みよし町) 高皇産靈神 豊磐間戸神 櫛磐間戸神 素盞嗚神
◎元伊勢内宮皇大神社(福知山市大江町)御門【みかど】神社
祭神 奇岩窓神 豊岩窓神 ※脇宮 右殿(向かって左)
栲機千々姫神社 脇宮 左殿(向かって右) 天手力雄神社

高木・素戔嗚周辺系図

画像6

系図を見ると、義理の姉妹がよく分かる。不思議な関係!

系図を、見て貰うとよりはっきりしてくる。鴨玉依姫は、石神社・葉山神社(石巻市)祭神 石峰大神・端津姫命(=鴨玉依姫)にも祀られているが、石に関する神名が付けられている。それぞれ「櫛」と「豊」は、母親から貰ったものと推察される。継承されているのだ。

天鈿女命、鴨玉依姫、豊玉姫の三女神の関係は、現在では何とも形容しがたい。強いて言うなら”義理の姉妹”だろうか。飯塚の大石神社は普通なら石凝姥命だが、櫛石窓神、豊石窓神を祀るのも近しい関係だからだろうか。天鈿女命、鴨玉依姫は確かに「石」で繋がっている。さしずめ、石凝姥命がリーダーで三姉妹で「鏡制作」をしていたのだろう。何かそんな風景を思い浮かべてしまいます。 勿論異説もあるが、ストーリー性と、筑後川女神たちのこっち説が好きである!

画像5

早吸日女神社(大分佐賀関)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?