詩「本」

今そっと本を閉じた
膝の上にある
物語が終わった
両手を本の上に重ねている
しばらく手を離せそうにない
肩の力を抜いた
いつの間にか息を吸って吐いた
目は閉じて
背は椅子にあずけた
言葉は出ない
けれど目蓋の裏には最後のシーンが蘇る
まだ放せない手
目を開けた
本を抱きしめた
それから

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