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一四零の庭苑 1巻 完結

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X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
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2023年9月の記事一覧

詩「見えないものを見ようとする目」

時間は見えない 現実も見えない 見えないものを見ようとする目 時に、考えを見たい 心を見たい 命や魂を見たい 暗闇を見る 確かに目に闇は映る それは闇が見えているのか見えていないのか 肝心なことは何一つ分からない あるのは感覚だけ しかし見たい 欲が告げる

詩「名月」

窓辺にて膝を抱える 顔を上げて空を見る 夜空 立ち上がり窓辺を離れ 珈琲に本を持ち戻る またも膝を抱え、両足の前に本 口元が緩み目も輝いて しかしながら月明かり 少し暗く本は読みづらい 本を閉じ、カップを片手に空を見た 満月 「そうか、今日は中秋の名月」 頭の中で物語を紡ぐこととした

詩「あたしはあたし」

「あたしはあたしだから」 その言葉を吐く 空しさが込み上げる 「あたしはあたしなのよ」 決め台詞の如く 誇らしいと思ったから 「あたしはあたしよ」 そっぽを向き呟く 時の流れが可視化したように視線を流す 環境 哲学 気分 言葉の意味を作り出す 「あたしはあたし」 唇に微笑

詩「失しもの」

「心にぽっかりと穴が空いたよう」 どこかで聞いた台詞 あたしはいつも「失したもの」を思い浮かべる そうね、それは形があるもの そうね、それは形のないもの そう時々で違うのよ 心がさ、それを探し始めたら落ち着くの その時間だけは癒やされる 心がさ、満たすために追うの 失しもの

詩「本」

今そっと本を閉じた 膝の上にある 物語が終わった 両手を本の上に重ねている しばらく手を離せそうにない 肩の力を抜いた いつの間にか息を吸って吐いた 目は閉じて 背は椅子にあずけた 言葉は出ない けれど目蓋の裏には最後のシーンが蘇る まだ放せない手 目を開けた 本を抱きしめた それから

詩「信じてる信じてない」

信じてるわ あたしのことなんですもの 信じないわ あたしのことだから ゆらゆらゆら 揺れるのね 心て揺れるのね 考えまで揺れる ねえ、あたしはあたしに忠告するわ 判断だけは揺れないでね そんな優柔不断はあたしじゃないから 信じる 信じない 信じてる 信じてない 疲れたわ

詩「ガラス」

ガラスの向こうに心を置いた パリンと音を立ててガラスが割れた 心がビクンとした 足りない ガラスをさっきより多めに置いて、心もガラスから少し離した場所に置いた パリン、ガシャンガシャンと音を立ててガラスが割れて行く 心がドキドキとした 足りない 怖い 怖い… ガラスが怖くなった

詩「お月様」

夜の空にある月が好きなのだわ 綺麗な三日月の夜には月を揺り籠にと夢見て 満月の夜にはぴょんぴょん跳ね回り、餅つきをするウサギを月に見る そうね、時々、「かぐや姫なのだわ」と物思いにふけるかしら 大人になっても「嗜みよ」なんて、童話を心に夢を抱くの 窓を開け冷やりと風 微笑み

詩「見えるはずがない」

見えるはずがない けれども見える 心の中など見えるはずがない 否、見えるんだ 馬鹿げている 本当だ 浮かぶ 目の前に浮かんでいるのか 眼球の中なのか 兎に角、浮かぶんだ見えるんだ 集中 知らず知らずに見てしまう 夜の様だ 見詰める 星はない 飲まれる感覚 僕は心の何を覗く

詩「雨の音と無気力が相性よくてね…」

雨の音と無気力が相性よくてね… あたしを堕落させるのよ なんなの? この心地いい音 なんなの? 気の利いた雑音の遮断感 あたしはソファーにダイブしたわ アナログ時計が音を出して時を刻むの 雨の音と時計の音 無気力 最強ね そうね、お茶でも入れようかしら

詩「言葉がない」

言葉が見付からない こんなにもこんなにも 全身で言葉を紡ぎたいのに 言葉が当てはまらない 辛い 辛い 凄く辛い 胸が詰まる 心が燃えるようだ その燃える心の燃料が、「言葉がない」てありなのか? 言葉が見付からない 言葉が見付からない どうしようもない 苦しい 藻掻く 言葉がない

詩「花」

花々が咲く それはそれは美しく 花々が散り、枯れ行き 愛と哀愁 死の宣告 風が吹く 有から無 悲しくとても悲しく 時が過ぎ 気付き 「無」ではなく 芽吹く 力強く そして花は蕾を付ける 愛おしさ 営み 花の意味するところ 人という生は 幾度となく花を見る 咲く 散る 無 人は見た そして涙した

詩「執念」

あたしの中が燃えるのよ ドロッとしたマグマ どうしようもない衝動 枯渇する欲 足りないのよ 創造 潤滑する言葉 思考は嵐 静寂は血 ドクドクと打つ感情 生にしがみ付く 死に焦がれる あたしは何? 執念 動き出す あたしは許していないわ 止まらない 業 そのような… 欲する あたしは塊 書く

詩「揺蕩う」

風 揺蕩う あたし 揺蕩う 帳 揺蕩う 静寂に凜とする あたしの中は澄み渡り 時間 揺蕩う 星の光 揺蕩う 月明かりが綺麗で あたしの瞳は夜の藍色を映す 今度はあたしの番 あたしの体 揺蕩う あたしの心 揺蕩う あたしは魂の色を見た 燃える 静かな炎 この炎、揺蕩うまで あたしはここに居る