マガジンのカバー画像

一四零の庭苑 1巻 完結

1,000
X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
運営しているクリエイター

2022年11月の記事一覧

詩「辛い時」

君が辛い時 実は僕も辛い 辛さは伝わるんだ 気付きにくいことだけれどね 人はね、辛い誰かを見付けた時に一緒に辛くなるんだ そんな風に出来ている だからといって、辛い時に周りを気にしすぎてはいけないよ 君は辛いのだから そうだ、辛さをお裾分けしたと思えばいい それくらいで丁度いい

詩「その道は」

その道は、誰かが通った道 君が歩んでいる道 そうだ、後ろを振り返ってご覧 誰かが君の通った道を歩いて来るよ 手を振ろうか、笑顔を見せようか 君に気付いたみたい 笑顔が返ってきたね おや、君の足下を見てご覧 これは先人が残した印 よく見てご覧 今の君に必要なものみたいだ 行こうか

詩「歪む」

歪んだ考えが頭を過る まだ間に合う その考えは通り過ぎただけ 言い訳を考える 歪むことは 曲がることとは違う 歪みにつけ込まれると 追従するかのような補正が勝手に付く そして補正が付いたところが始点となる そこからまた考え始める 歪む 補正が付く 気が付いた頃にはもう戻れない 歪む

詩「人は何かを得る者」

喜びがあり 悲しみがあり 笑うこと 泣くこと 人は何かを得て生きている 何かは心に落とし込まれると見えず聞こえず それでも確かに得たのだと思う しかしながら時々、何かは不安という怪物がかすめ取ろうとする 人はそれでも得たのだと 心に刻んだのだと藻掻く 何かを得る者の業

詩「晩秋」

初秋の気配懐かしく 中秋の名月 銀色に輝くススキの穂 秋の深まりに心落ち着き癒やされて 通り行く雲の繊細な 高く成り行く空を見上げ 懐かしさやら少しの寂しさやら 心は孤高を覗き見る 赤や黄に燃え上がるような木々の色付き 風の冷たさが身に染みる頃 鮮やかな季節は去り行かん 晩秋

詩「君は誰かの大切な人」

だからさ、そう邪険に君は君を扱ってはいけないよ 心がさ、荒れ狂う時もあるだろう 魂が怒りに震え、雄叫びを上げる。そんな瞬間が人生、一度はあるものだ 怒り、荒れ狂い、激流に飲まれそうになる けれども君、その流れに乗ってはいけないよ 君は誰かの大切な人 食い縛れ

詩「人は愛されるために生まれて来たんだ」

人は愛されるために生まれて来たんだ 在り来たりな言葉だと言わないで 君に伝えたいんだ 愛されることを拒まないで怖がらないで 愛することに怖気付かないで心を閉ざさないで ただ君の心に真っ直ぐ問うて従えば良い ねえ君、顔を上げてご覧 愛され愛すために

詩「ゆるやかに」

ゆるやかに上ろうか ゆるやかに下ろうか 人生、それでいい ゆっくりと前へ進もう 少し戻ろうか 立ち止まって見渡そうか たった一度の人生だ ゆるやかに時代を感じて 季節に触れて感動してもいい 日々を時間を刹那に大切に 日々は自ずと君の思いを積んで行く 笑って泣いて ゆるやかに

詩「膝を抱える僕、膝を抱える君」

膝を抱える僕 今にも泣きたいんだ 膝を抱える君 悲しそうな顔を僕に向ける そして膝を抱え直す 僕は泣きそうだけれど、君の心配するその表情に泣けないんだ いいや泣きたくないんだ だってもっと心配を掛けるじゃない 君が瞬きをした 震える声で僕を呼んだ 僕は泣いた

詩「継続と挫折」

積むんだ 日々を積むんだ 繰り返し繰り返し 辛いことなんて無いはずだ 続けるんだ 継続 成し遂げるぞ やりきるぞ 僕は挫折しない やりたいことなんだ やりたかったことなんだ 継続と挫折の文字が頭に浮かぶ 常にある 継続と挫折 本当は辛い 誰か認めてよ 君に褒められたいよ 挫折手前

詩「優しさ」

僕に優しさは届いているのかな そう僕自身に 気付いたんだ 苦しくて苦しくて 淋しくて淋しくて 切なくて そんな時にふと 泣けない僕に優しくしてと 誰かに強請ること うん、それも一択なのだけれど 僕は僕に優しいのか、優しさは足りているのかと 余りに涙を我慢するものだから 優しさ届け

詩「人生に染み付いたもの」

普段は気付かないんだ けれどもふとしたことで気付いてしまう 己の人生に染み付いたもの コツコツと日々を歩んで来たんだ 良かれ悪かれ、そうやって生きて来た 日々を積んで積んで、また積んできた そうして出来た己の人生の跡 目に付いた染み付いたもの 噛み締める憂鬱

詩「間を漂う」

人の心には間がある それは空白でもあり 彷徨うそれでもあり 嵌まるものでもあり 狭まる思考 揺らぐ思考 時間を止めて 光りの如く加速して 嵌り 揺らぎ 我に返る頃には 掻き回され 忘れ去り カオスから虚無へ 思考停止 間がある 人が間に支配される時 本能と欲を呼び覚ますことあり 間

詩「愚か者と嘆く」

人は己を愚かだと嘆く時 深淵の淵に立ち底知れぬ闇を眺める様な 光届かぬ深海から焦がれ上を眺める様な 唯何も無い荒れ地に佇み荒涼とする胸中を掴む様な 魂も自我も侵される 嘆く そして追撃するように愚か者と己を呼ぶ もし「救いは」と誰かが問うたとする その答えは時間という