【語源小噺】オクタヴィアヌスは尻の穴?【全文無料】
はじめに
カタカナにすると面白い人名シリーズとして大人気の歴代ローマ皇帝たち。では、実際のところその名前の語源は尻の穴なのか?もしくは尻の穴の語源はローマ皇帝なのか?
オクタヴィアヌスと接尾辞-ianus
さて、オクタヴィアヌスの英語でのつづりから見ていきましょう。Octavianusとなります。この単語がどういう切れ方をするのかというと、Octav+ianusとなります。つまり、Octav-に対して-ianusという接尾辞がついているわけですね。
Octavのほうはいったん置いておいて、-ianusとは何者なのか、Wiktionaryで語源を調べられるので、少し読んでみましょう。
と書かれています。つまり、ラテン語の接尾辞-anusの拡張型ということです。ここまで読むと、「あれ、-anusってやっぱり尻の穴なんじゃないの?」と思うかもしれないですが、まだ早いです。まずは、-anusのページを開いて語源を見ていきましょう。
とあります。つまり、関係性を表す接尾辞ということになります。つまり、オクタヴィアヌス=Octav+ianusとは、「Octavに関する者」となります。これは、オクタヴィアヌスは生前ではオクタウィウス(Octavius)という名であったことに由来します。つまり、Octaviusに接尾辞-ianusが付いたことで、「生前オクタウィウスだった者」というような意味になります。
ここまではオクタヴィアヌス側のアヌスを見てきましたが、では、尻の穴のアヌスの語源は何なのかという疑問は解消されていません。
輪(anulus)と名詞anus
さて、数学では円環を表す単語として、アニュラス(anulus)という語を用います。これはそのままラテン語由来で、「輪」という意味を持ちます。これと共通の語源を持つ単語こそが、尻の穴を表すanusであり、つまり、anusはラテン語で輪を表す名詞から来ているわけです。
結論としては、接尾辞-anusと名詞anusは別物なわけですが、ここで接尾辞と名詞であることから、anulusに-anusをくっつけて、anulanus(アナラヌス、輪に関係する)なんて語ができる可能性もあったわけです。なんだか面白いですね。
Octav-って何?
ここまでの話で、1つ置いて進んでいったものがありますね。OctavianusのOctavの部分です。これを見て、10月(October)音楽用語のオクターヴ(octave)を連想した人は鋭いです。このOctavは実際に数字の8を表しています。
そして、オクタヴィアヌスの別名といえば、アウグストゥスです。つづりはAugustusで、これはそのまま8月(August)の語源になっています。これはオクタヴィアヌスが暦の現在の8月にあたる月に自分の名前を冠したためです。
1月(January)とJanus
では、Octoberが8月でないのはいつからなのでしょうか?これは実はオクタヴィアヌスが生まれるより前の、紀元前700年頃の王政ローマの国王ヌマの時代から用いたヌマ暦において、実施から数百年後の紀元前153年に行われた、「3月を1月とする」改革が原因となっています。2ヶ月ずれてしまったためオクタヴィアヌスが8月にAugustと名前を付ける前は、8月の月名は数字の6を表すSextilisであったのです。
現在の1月はJanuaryと名付けられ、その由来はローマ神話に登場する神様Janusです。Janusが物事のはじまりをつかさどる神様であることから、ヌマ暦の改暦を行うときに、Janusの名を冠するJanuaryを最初の月にしようということになったと言われています。
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