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黒崎きつね
2024年2月25日 08:02
冬休みに入った。誠司が自室で合格通知を開けると同時に、父が母を連れて帰って来た。小春の喜ぶ声が聞こえる。続いて、買い物に行っていた茂と京太郎も帰宅する。母の姿を見て茂が即座にボケる。「おかえリンゴ!」「ただいマンゴー!」 その横で、誠司は出かける支度をしている。「どこ行くの?」「靴買いに行ってくる」 兄は履き古した靴に足をつっこむ。「僕も行く!」茂が名乗り出た。 二人で寒い外を歩
2024年2月18日 08:01
誠司は布団を出て身震いした。朝の冷えた空気に、嫌でも目が覚める。誠司は今日、入試を控えている。進路変更して、教育系の学校へ行くつもりだ。 支度している間、同室の弟は眠っていた。テストで0点取ったり、やたらスベるようになったその様子に、疑問を持ちながら部屋を出た。 入試の日くらいは何か食べようと、席につく。茂が目をこすりながら起きてきた。「おはよう兄さん! いい天気だね!」「雨降ってるぞ」
2024年2月11日 08:23
長男が寝ている横で、茂は深夜までネタ作りに没頭していた。結果、翌朝見事に寝坊してしまった。「珍しいね。シゲが寝坊なんて……」 拓海がトーストをかじりながら眠たげに言った。「昨日夜更かししちゃった! テヘッ」「急がなくていいの……?」「いいよ。どうせ遅れるなら焦るだけ損だもん」 マイペースに準備して玄関を出る。「行ってらっしゃーい!」「いや行くのシゲでしょ……」「ほな行ってきまー
2024年2月4日 08:11
十月も半分を過ぎ、肌寒い日が続いている。 長男はバイト、次男は遊びに、母と茂は小春のピアノ発表会へ出かけた。拓海は部屋で寝転んでいる。 机にはキャラデザの痕があった。マンガを描いてみようと思い立ったが、手が止まってしまったのだ。家族と話している時や、何かに没頭している時は気にならないことも、一人の時間になると顔を出す。将来への不安が頭から離れない。担任が持ってきた進路プリントのせいだ。 俺