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黒崎きつね
2024年1月28日 08:11
拓海は布団の中、横たわったまま思考に耽る。不登校になって、もう半年が経つ。時間が空けば、余計に教室に戻りづらくなる。今さら行ったところで、成績も人間関係も意味などない。最近ずっと無気力だ。ゲームをする気にもなれない。 まるで砂漠をずっと歩いているようだ。水分も休める陰もなく、ただ果てしない道をフラフラと進んでいる。この干からびた心に、モチベーションという名の潤いが欲しい。 重い心を引きずりベ
2024年1月21日 08:37
茂はランドセルを背負い、セミの声がする中、登校班に合流した。「石川くん、黒くなったね! 炭火焼きされたの?」「何で食われる前提なんだよ」「こんなに焦げた肉は食いたくねえな」 松本が呟く。「こっちだって食われたかねえわ! そういうのは西岡に言えよ。あいつの方が美味そうな肉もってんだから」「ほとんど脂肪だろ。やっすい肉」「大将は美味しいよ! 絶対! 本人いないのに盛り上がる。そんなカリ
2024年1月14日 08:10
朝、松本が目を覚ますと茂からメッセージがきていた。『今晩は何食べる?』 質問の意図が読めず、アプリを開いて全文を表示する。『もし予定ないなら、お祭りこない? 食べ物が腐るほどあるよ!』 いや、言い方。『母さんが屋台やるんだ。魔が差したらきて!』 気が向いたらだろ、そこは。 松本が返信すると、すぐに既読がついた。『何の屋台?』『たこ包み~こだわり濃いめのソース 青のりと鰹節をのせ
2024年1月7日 09:23
京太郎は夏休みにも関わらず、学校に来ていた。全教科赤点を取ったが故の補習である。睡魔に負けそうなところを、先生に叩き起こされプリントに目を向ける。 だめだ。脳が勉強を拒否している。頬を叩き気合を入れて、頭をかきながらシャーペンを走らせた。昼には野球部の練習が待っているのだ。京太郎は部員ではないが、人数がギリギリのため助っ人として来て欲しいと言われている。県内ではそこそこの実力だが、一年生があま