転勤もそうだけど、働く場所を自由自在に選択できる世界の到来がちょっと早まったような気がしている。

大好きな日経COMEMOの新しいテーマ企画が始まったので、
さくっといつものように企画にのりたいと思います。

正社員シリーズのテーマ企画だそうです。
転勤は確かに正社員のテーマですね。

投稿締切は6月1日(月)18:00です。
6月上旬の日経朝刊「COMEMOの論点」にて一部投稿を紹介する予定です。
(※紙面編集都合により掲載延期または中止となる場合もございます。ご了承ください。)

新型コロナウイルスの感染拡大によりリモートワークが広がり、
正社員であっても働く場所、住む場所の選択肢が増えてきています。

転勤制度はこれからどうなると思いますか。


<このテーマへの私の考えは大きく3つ>
・転勤は確実に減ると思うけど、無くならない
 (ある意味当たり前)

・転勤ではなく短期の出張がもっと活用されてもいい
 (人との交流はやはり代え難い)

・自主的な地方への転勤(移住)が増える
 (安心安全そして挑戦を求めて)


転勤は確実に減ると思うけど、無くならない
(ある意味当たり前)

当たり前の話なのですが、世界を股に掛ける商社や各地に生産拠点・営業所がある企業にとっては転勤はなくせないというのも想像できます。

「転職 = 悪」とは言い切れず、
メリットデメリットがあるよねって思う。

家族の問題や子供の教育など色々な課題があるとは思います。
が、課題もありつつもメリットもあると思っています。色んな人と知り合うことができますし、その地域について知りえますし、自分の枠を広げるようなこともあると思います。

また、こんなコロナな状況でリモートに慣れてきた人たちにとっては、
直接人にに会わなくても大丈夫な人も多くなっていると感じます。
個人的にもTwitterやnoteで交流しているまだ一度もお会いしたことが無い方はかなりいるのでそこもかなり理解できます。

実は、2017年に「企業の転勤の実態に関する調査」という調査が労働政策研究・研修機構によって実施されています。
この調査は、厚生労働省雇用環境・均等局(当時、雇用均等・児童家庭局)の要請にもとづく課題研究でした。
(ご興味ある方は以下のリンクからのぞみて見て下さい)

まだ斜め読みの段階ですが、かなり面白いデータがそろっています。
このデータをコロナ前として、今後同じ調査(できれば今)をすればコロナ後の転勤に対する意識の変化を見て取れると思うんですよね。
<調査の目的と方法抜粋>
研究の目的

雇用管理における転勤の位置づけや実態、その効果等について企業・労働者アンケート調査を行った。

研究の方法
アンケート調査(企業・労働者調査)
企業調査が全国の常用労働者300人以上の企業;10,000社。正社員調査が調査対象企業で転勤経験のある正社員8人に配付(計80,000人)。

この調査は28ページにわたるアンケート内容(結構な分量!)を集計したもので、主な事実発見として大きく8項目が特出されていて、その中で個人的に興味深い点を列挙しておきます。

<全体の傾向>
・正社員(総合職)のほとんどが転勤の可能性がある:33.7%
・正社員(総合職)でも転勤をする者の範囲は限られている:27.5%
・転勤はほとんどない(転勤が必要な事業所がない)」:27.1%
「ほとんどが転勤の可能性がある」割合は会社規模が大きいと高い

<転勤の目的>
「社員の人材育成」:66.4%と最多
次いで、「社員の処遇・適材適所」「組織運営上の人事ローテーションの結果」「組織の活性化・社員への刺激」「事業拡大・新規拠点立ち上げに伴う欠員補充」「幹部の選抜・育成」「組織としての一体化・連携の強化」などとなっている。

<その他興味深い点>
・8割弱が転勤命令は会社主導で決定される
・転勤において家族的事情等を考慮した理由

 「親等の介護」が56.7%が最多。次いで「本人の病気」「出産・育児」「結婚」「子の就学・受験」「配偶者の勤務(共働き)」などとなっている
・配偶者の転勤を理由に退職した正社員の有無について
「いる」が33.8%。配偶者の転勤に伴う勤務地変更制度については、「制度としてある」が2.0%、「制度はないが運用としてある」が16.1%となっている。
国内転勤を減らすための施策
国内転勤減らすための施策をとったことがあるかを尋ねている。各項目で「実施したことがある」に着目すると、「現地採用社員の増加で転勤者を減らす」が 31.9%が最多。次いで、「IT 技術(テレビ会議等)の活用で転勤者を減らす」(14.6%)、「出張の増加で転勤者を減らす」(13.6%)、「勤務地限定正社員の増加で転勤者を減らす」(7.9%)、「勤務地限定正社員の雇用区分の新設で転勤者を減らす」(7.4%)となっている
・不必要な転勤についての考え
「不必要な転勤が多い」について尋ねている。それによれば、「不必要な転勤が多い」との認識について、「そう思う」の割合は 5.6%、「そう思わない」の割合は 50.4%となっている。不必要な転勤が多いと考えている者は少数である。

ここにもあるように転勤の目的をみると、「組織運営上の人事ローテーションの結果」「組織の活性化・社員への刺激」といった業務の非コアな領域に関連する転勤についてはある意味不要不急といえるので、この理由での転勤に関しては減るのではないかと思います。コロナ後の世界では、これまでの惰性で人事異動をすることはあまり良い打ち手ではない気がします。

転勤の是非についての議論が各企業内においてある一定数起こると期待しています。そのため今後転勤が減少していくと考えています。これはある意味企業組織の良識によるところが大きいと思います。

以下のデータ(企業の転勤の実態に関する調査結果より抜粋)によると、親の介護を考慮した割合が最多であるのが分かると思います。この事例からもわかるように超高齢化社会日本においては、転勤が減る要因として今後増えていくと推察できます。

画像1

また、夫婦どちらかの転勤に伴ってどちらかが退職する割合が3割以上もあるのは今後の労働力確保の観点から大切なポイントとなり得るし、個人のキャリアの観点からもさらに転勤に慎重になると思う。

実際にどのどのような国内転勤を減らす施策があるかも興味深い。

画像2

色々と転職のメリットがあるものの、コスト面や各個人の家庭の状況を鑑みるとこれまでの考え方を踏襲した転勤施策には再考の余地があると思うし、基本的な流れとしては転勤が減少するのではないかと思う。


転勤ではなく、短期の出張がもっと活用されてもいい(人との交流はやはり代え難い)

私は外資系企業にいるので基本的には転勤はありません。ここでの転勤は会社命令での転勤を意味しますが、私の会社には転勤はありません。ただ自分からロンドン本社でのポジションに応募して、ロンドンに行くという選択肢はありますが。

昨年6月に転職して、そこから3ヶ月後の9月(ちょうど試用期間が終わるときに)にロンドンに一週間出張しています。この短期の出張の最大の目的は、一緒に働くチームメンバーの繋がりを持つためでした。

私にとっては直接に人と会うことの意義は本当に大きい。

特に仕事を進める上では、その人を知っていると色々とやり易い。
もしくは仲間がその人を知っているという状況は少なくとも欲しい。

ただ、一度は会っておいた方がいいってまだ思うのです私は(世代?)

今の仕事では知らないUKの他チームとやり取りをすることもありますが、彼らについては私のチームメンバーが知っているので私は安心なんです。

以下は先ほどの「企業の転勤の実態に関する調査」からですが、やはり直接の交流の良い面はこの3つだと私も思います。

画像3

(e)転勤は職業能力の向上に効果がある
  そう思う:69.9%、そう思わない:7.9%
(f) 転勤経験は昇進・昇格の検討材料として必要
  そう思う:55.6、そう思わない:17.3%
(g) 転勤は人脈形成の機会となっている
  そう思う:85.6、そう思わない:4.3%

特に人脈(社内人脈も含めて)においては面識があるということがとても大切だと思うので、転勤が難しい場合には私のように短期の出張をなんどかする方が本当に効率が良いとおもう。その際には何かしらのプロジェクトを各地同時に進めておいて、共通言語としての仕事を関係者で共有していることが本当に望ましいと思う。お客様としていくのではなく、仲間としての短期出張が本当に大切だと思う。


自主的な地方への転勤(移住)は増える
(安心安全そして挑戦を求めて)

新型コロナの世界的な流行は、狭いエリアに人口が密集する都市機能のもろさをあらわにした。リモートワークの定着によって働く場所が重要でなくなり、東京にこだわる理由は失われつつある
やりがいを感じられる仕事こそが自分の居場所――。考え方を変えれば、これまで見えなかった新しい世界が立ち上がる。

と締めくくっているのが以下の記事です。

この流れは個人的にずーっと感じていて、個人としても生きがいってところでの活動もしています。また、大都市圏との対比としての地方の魅力もずっと変わらず感じています。私の感じる魅力は人と人とのかかわり方が大都市圏とはちがいより密なイメージで、物々交換などの経済指標には決して出てこない世界が広がっているのが大好きな点です。

個人的には大都市圏の魅力は捨てがたいところがあって、いつもこの議論があった際の筆頭に挙げるのは文化的な施設の充実度です。美術館、博物館、科学技術館など私の住む場所の半径2キロ圏内にはこうした文化施設があり、平日のお休みとかにふらっとチャリで行けるのは幸せ。

個人の転勤だけでなく、会社自体がその所在地を変える世界も垣間見えているのがとても興味深いです。これは転勤とは異なるかもしれませんが、地方への移住と移住先での現地採用がセットになっていて、この流れは続きていると思っています。大きなうねりになるかは、やはり地方にでの雇用機会がどの程度あるかとその地方と個人との関係性(もしくは思い入れ)にかなり依存するような気もするので、下で紹介するお二人の活動はとても参考になるのかなぁと思います。

さて、私はNサロンという日経新聞とnoteが開催している3か月限定の学びの場があるのですが、ここにもこれを地で行く人がいるんです。
私の知っている範囲なので、もし漏れていたらごめんなさい。
教えて貰えると逆に嬉しい!

NサロンガイダンスのZoomで色々と話させてもらった猪田さん。

新聞社広告局、民間シンクタンク研究ディレクターを経て2018年から岡山県西粟倉村に居を移し、地域おこし協力隊として活躍している。専門はローカル・モビリティと地域福祉。現在『ローカル・モビリティ白書』を編纂中。専門社会調査士、社会福祉士。大阪府茨木市出身、46歳。

猪田さんは(私とドンピシャ同じ世代!)、岡山県西栗倉村に移住して仕事をされていて、Nサロンが完全オンラインでの開催がなければ決して出会えなかったかたです。これから色々お話するのが楽しみ!

そして、COMEMO HUBメンバーのしばたはるなさん。

彼女は普段は日系企業でPR担当の仕事をする傍ら、私たちとCOMEMO HUBの活動もしつつも「VENTURE FOR JAPAN」の活動にも参画しています。

将来「起業したい」、「会社の力ではなく、自分の力でキャリアの道を切り開きたい」と考える新卒生や第二新卒生が地方の面白いベンチャーや中小企業に経営ポストとして2年間経営の仕事をしてアントレプレナーシップを育むことで、都市でも地方でも自分でキャリアを築ける社会の実現を目指す新しい働き方です。
「経営者の右腕」として過ごす2年間の濃密な時間を通じて、若者が自らの力で道を切り開き、ひいては社会を変える力を身に付けられるようにすることを狙っています。東北を中心とした地域で、経営者の右腕として新卒からの2年間を過ごすプログラムだ。

ある意味身近にこうした活動が多くこの世の中にはあることから、コロナを契機として、地方はパンデミックへの耐性があることの認知が高まったことに加えて、人との繋がりや食料自給がある程度可能なこと、住環境も安価で、独自の経済圏も持ち得る可能性があり、そして新しい挑戦が可能な環境が整いつつある地方への移動は増えると私は思っています。


#COMEMO #転勤は無くなるのか #日経新聞

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