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「知っておきたいあの話vol.3」を終えて〜当局と金融機関のマネロンへの取組み〜

隣のアノ人ってどんな仕事をしているの?という素朴な疑問から始まったこの企画。急遽一人開催になったものの、無事3回目の開催も終えることができました。

今回は24席の申し込みがあり、当日参加者が22名と9割以上の参加率でした。参加して下さって本当にありがたかったです。

<登壇者のご紹介>
ACAMS日本オフィスに勤務の福本大郎さんに、『AML』って何ですか?初めて聞くマネロンと金融業界の取り組みのお話をして頂きました。

今回はマネーロンダリングを防止し、犯罪者の活動源となる資金を枯渇させることを目的として、当局と金融機関が国内外でどのような取り組みをしているのか、これまで知らなかった方向けにお話します。

今回のイベント概要は以下のイベントサイトに詳しくありますので、ご覧になって貰えると嬉しいです!

福本さんは私の現職エバリュエートで一緒に仕事をしていた元同僚で、昨年マネロン対策、金融犯罪の検知・防止に従事する専門家のスキルや知識強化を目的とした国際的な協会ACAMSへ転職しましたが、それからもお付き合いが続いています。

転職先がそんな面白そうな所なので、「知っておきたいあの話」をすることになり真っ先に話を聞きたいなぁと思ったわけです。

今回の最大の学びは、マネロンを放っておくと犯罪率の増加や社会不安が高まる要因となることが歴史的に分かっている。犯罪者の活動源となるお金の移動をさせないためにも現行の金融システムから締め出したいため、身元確認が近年厳密になってきている。私たちはそれにしっかりと答えることで、社会の安定性に寄与できる。

まあ、マネーロンダリングってのは、ドラマや映画で出てくる話では知っているものの、実際にはどうなのかって知っているようで知らない内容です。

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資金洗浄と呼ばれることもあるマネーロンダリングですが、語源がクリーニング店ランドリーに関係しているもがとても面白い。表の商売の収益に犯罪収益を混ぜて銀行に入金することで真っ当なお金に生まれ変わらせる。

何故マネーロンダリングをするのか?

以下の定義では、犯罪に由来するお金を移動させ(移転)、そうしたお金を隠したり偽装し(隠ぺい)、そうしたお金を受け取り、使用する(獲得)する行為がマネーロンダリングだとのこと。

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結局、タンスに犯罪収益を10億円隠していてもそれが銀行口座に入っていないと、色々と使い勝手が悪い。これは想像できる。。。
そこで、下のマネー・ロンダリングの3つの段階にちょっと個人的見解を加えてみると、多額のお金を使い勝手を良くするために何とかして銀行に預け(プレイスメント)て、請求・送金や融資などあれやこれやの方法(レイヤリング)を用いて、「このお金は合法的なお金なんですよ!」だから、ビジネスにも使うし、投資もするし、ビルや車だって買うよ(インテグレーション)!と言うこと全般がマネーロンダリングとなんだと理解しました。

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実生活にこのマネロンが関係ないかというと、そんなことはない。
マネロンが放って置かれると、犯罪者の活動資金が潤沢になり、様々な社会的な影響を被ることになります。

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当局としては、国の風評被害や真っ当なビジネスが出来ない国となると、経済活動ができなくなるため、長期には国力が確実に低下するため、しっかりと取り締まることになります。

ただ、マネーロンダリングは世界規模で行われるため一国での対処よりも各国が連携して対処することが重要であるため、国際的な取り組みが行われている。それがOECDの金融活動作業部会FATF(ファトフ)が中心となって、世界190ヵ国以上がこの活動と連携している。

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40項目以上のチェックリスト(FATF勧告)があり、定期的なチェックが行われている。あまり成績が悪いと、FATFからこの国ヤバイっす!って言われることになり、そうなるとその国との間の送金が出来なくなるなどのかなりの影響がでます。

もう一方で、最近金融機関が顧客の身元確認を細かく実施しているなと思っていたのですが、その理由がマネロン対策の一環だと初めて知りました。このFATF勧告も一つの要因でありますが、もう一つの要因は多額の罰金リスクへの対処です。近年マネロンや制裁対象国への送金をした金融機関は多額の罰金を各国の当局から課されるリスクがあり、ドイツ銀行への罰金はなんと1兆円!!これを喰らったら、経営がかなり危うくなります。

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なので、日本を含む各国の金融機関は顧客確認を徹底するようになっているという現象として我々の生活に影響しています。

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私にできることは、身元確認に「快く」応じることくらいですが、実はバックグラウンドではとても大変な戦いが繰り広げられれているのだなぁと知りました。

現在、仮想通貨の領域が非常に注目されているのも本当に分かります。少しかじっていたのもあり理解できます。当局の監視が行き届いていない(犯罪者が喜ぶ)、そもそも匿名性が高く(犯罪者喜ぶ)、個人間送金が可能で(犯罪者が喜ぶ)、換金もできる(犯罪者が喜ぶ)となれば、これを利用しない手はないということになる訳です。

参加者の方の発言で、海外の仮想通貨取引所はメールアドレスだけで口座開設が可能で資金の移動の上限もないとなれば、そりゃやばいわなと思わざるを得ませんでした。。。。

この領域は制度面での規制と技術面(特にIT)の両面で取り締まることが活発に議論されているとのことなので、どうなるかは今後のFATFの動きが注目されますね。

いや~、知っておきたい話だったマネーロンダリングですが、まさか自分たちの生活にも影響があるとは知らなかったので聞いておいて良かったなぁと思いました。

#知っておきたいあの話 #黒坂図書館 #ACAMS #マネーロンダリング #当局と金融機関の取組み

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