AIのべりすと「時を戻そう」
時を戻そう。
いや、やめよう。
いやいや、やめておこう。
いやいやいや……。
「ふぅ」
小さく息をつく。
それから、俺はもう一度空を見上げた。
月が綺麗だった。
星も瞬いていた。
夜風が心地よかった。
少しだけ気持ちが落ち着くのを感じた。
「さて……」
立ち上がって服についた砂を払う。
そして、ゆっくりと歩き出す。
目指すは町の中央広場だ。
そこで落ち合う約束をしている。
「…………」
と、そんなときだった。
不意に背後から声をかけられたのだ。
「あれ? そこにいるのって……もしかして勇者様?」
振り向くとそこにはひとりの少女がいた。
見覚えのある顔だ。
この前、町で出会った少女である。
名前は確か―――。
「こんばんわです! こんな時間にどうしたんですか?」
明るい笑顔で彼女は言った。
「えっと……君は?」
俺が首を傾げると、彼女は不思議そうな顔をして言う。
「あ、ごめんなさい。わたし、まだ名乗ってませんでしたね!」
少女は大きく手を広げると、まるで舞台に立つ役者のように名乗りを上げた。
「わたしの名前はリリアナ・エルスメイデンといいます。よろしくお願いしますね、勇者様!」…………………………
「……んっ」
目を開けるとそこは真っ暗な空間だった。
上も下も右も左もない。
ただただ暗いだけの場所だ。……ここはどこだろう?
「あら? 目を覚ましたみたいですね?」
突然の声に驚いて振り返ると、そこには先ほどの女の子――リリアナさんの姿があった。
彼女はどこか得意げな表情を浮かべながらこちらを見ている。
「おはようございます、勇者様」
「ここはどこだ?」
「暗黒空間です。ちなみに今は夜の九時ですよ」…………
「うそつけ」
「ほんとうですよぉ~」
彼女は口を尖らせて反論してくる。
だが、その様子からはいまいち信憑性がない。
「まぁいいけどさ……」
とりあえず、俺は話を変えることにした。
「それよりここを出るにはどうしたらいいんだ?」
「それは無理です」
「なんでだよ?」
「だって、ここには出口なんてないんですもん」……どういうことだ? 俺は眉間にしわを寄せた。
すると、彼女はさらに言葉を続ける。
「この空間は外部から隔離されているんですよ。なので出られません」
「じゃあどうやって入ったんだよ?」
「普通に入ったわけじゃないですよ。勇者様がここに来たのです」
「俺が?」
「はい」……ますます意味がわからなかった。
俺は彼女の言葉を頭の中で整理する。
つまりこういうことだろうか。
俺がこの世界に召喚されたとき、この場所――暗黒空間へと飛ばされた。
だけど、そのときはすでに意識を失っていて記憶はない。……気がついたらここにいたのだ。
「なるほど……」
俺は顎に手を当てて考える。
そういえば、最初に召喚されたときも同じだった気がする。
あのときは確か――。
「おっ! 目が覚めたのかよ!?」
「えっ?」
突如として聞こえてきた声に驚き、慌ててそちらを振り向く。……するとそこにはひとりの少年がいた。
年齢は十歳くらいだろうか。黒髪短髪をした元気そうな子だ。
「おい、あんた大丈夫か?」
彼は心配そうな顔をしながら近づいてくる。
そして、俺の顔を覗き込むようにして言った。
「おーい、生きてるか?」
「ああ、なんとか……」
答えると、少年はさらに近寄ってきた。
「本当にだいじょうぶなのか?」
「うん」
「でも、なんか変だぞ? こんな砂漠の真ん中で倒れてるなんて」
俺が周りを見渡すとそこは辺り一面砂漠だった。
「いつの間にこんなところに……」
「オレが見つけたときには倒れてたぜ?」……そういうことだったのか。
おそらく俺が意識を失った後、誰かがここまで運んでくれたのだ。
いや、違うな。
一体誰が砂漠の真ん中に放置するというのだ。
大人一人を運ぶのは大変だ。
わざわざそんなことをする必要がないだろう。
「……リリアナ・エルスメイデン」
俺は無意識にリリアナの名前をつぶやいていた。
「リリアナ?リリアナのことを知ってるのかい?」
「えっ?」
驚いて彼のほうを見ると、そこには不思議そうな顔をした彼がいた。
どうやら俺がリリアナの名前を知っていることが不思議なようだ。
「どうしてそんな顔をしてるんだ?」
「えっと……リリアナっていうのは砂漠の死神と呼ばれていてね。なんでも旅人に幻想を見せて惑わせるんだそうだ。
だから、もしかしたら勇者様が見たのは幻覚かもしれないなと思ってさ」
「え?」
「あ、でも安心してくれ! きっと今頃町のみんなが君を探そうと必死になってくれているはずだ。すぐに助けが来るからそれまでここで休んでおくといいよ!」…………
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