AIのべりすと「意識」

意識はどこに宿るのだろう。
脳みそであることは間違いないが、脳みそが一部欠損しても意識を持ち続けている人もいる。
魂がどこかに宿っているのか、それとも別の何かなのか……。

「……」

結局答えが出ないまま、僕は思考を切り替えて再び作業へと戻る。
しかしやはり集中力は途切れていて、気づけば頭の中では先ほどと同じことを繰り返していた。

「……うーん。一体どうすれば謎が解けるのだろう」
『お困りですか?』
「え?」

唐突に声をかけられ、僕は思わず顔を上げる。
すると目の前にはいつの間にか見知らぬ少女の姿があった。
その少女はまるで人形のように整った容姿をしているのだが、髪や瞳の色は真っ白でとても目立つ風貌をしていた。

「だ、誰?というより……君はどこから入ってきたんだい?」
『私はあなたと契約を結びに来たのです』
「契約だって!?」

まさかこのタイミングでそんなイベントが発生するとは思わなかったため、僕は慌てて立ち上がる。
そしてすぐに部屋の中を見回してみたのだが、そこには当然のことながら僕以外に人影はなかった。

『ご安心ください。あなたの目の前にいるではありませんか』
「僕の目の前って……もしかして君は精霊かい?」
『はい。初めましてマスター。私の名前はアイリスと言います』

そう言って微笑む少女―――アイリスはとても可愛らしく見えるのだがこれが精霊だなんて信じられない。

「……」
『あの、マスター?』
「ああ!君みたいな可愛い子がどうしてこんなところに現れたんだい!」
『それはですね。私が精霊だからです』
「精霊なら納得だよ。それで契約ってどういうことだい?」
『はい。実は私たち精霊は魔力を使って人間と契約することで力を得ることが出来るんです』
「な、なんだって!じゃあその契約さえしてくれればなんでも願いを叶えてくれるって言うのかい?」
『もちろんです!』
「本当かい?本当に本当の話なのかい?」
『はい。それに私たちは人間の願い事を一つだけ聞くことが出来ます』
「なんでもいいのかい?」
『はい。ただし、それがあまりにも常識外れなことであれば叶わないこともありますけどね』
「なるほど。でもそれだと普通の人は願い事を言うことが出来ないんじゃあないか?」
『いえ、そんなことはありませんよ。例えばお金が欲しいとか世界平和とかそういう類のものでしたら問題なくお願いできます』
「へぇー。じゃあ、脳みそのどこに意識が宿るのか教えてくれないか」
『……すみません。それは無理です』
「なんでさ!なんでも聞いてくれるんでしょ!?」
『はい。確かに言いましたが、それは不可能ということなのです』
「嘘つき!もういいよ!出て行ってやる!」
『ま、待ってください!ほらっ、ここに契約書があるじゃないですか!』

アイリスは慌てた様子で机の上にあった紙を差し出してくる。
それをよく見てみると、そこに書かれていた内容はこうだった。
1:願い事は三つまで
2:契約する相手は一人のみ
3:契約期間は一年間
4:契約破棄する場合は違約金として金貨十枚を支払うこと

「こんなのさっきの質問と何も関係ないじゃないか。……わかった。それじゃあ、僕の脳みその一部を切除してくれ」
『えっと……』
「早くしてくれ!今すぐ取り出すんだよ!」
『わ、わかりましたから落ち着いてください!』

それから僕はアイリスに無理やり押さえつけられてどうにか落ち着くことが出来た。

「それで?ちゃんとした理由を教えてもらおうか」
『はい。まず第一に、契約者様のお体の一部を取り除いてしまえば命に関わる可能性があります。次に第二に、そのような願い事をした場合、契約は無効となってしまいます』
「……」
『そして最後に第三に、そもそも精霊である私にはそんな契約を結べないのです』
「そんなぁ……じゃあ、不老不死にしてよ」
『それも出来ません』
「なんでさ!?なんでも出来るって言ったよね!?」
『それは先ほどの契約内容には含まれておりませんので』
「くそぉ……。これだから精霊は嫌いなんだ。……そうだ!じゃあ、君の体をくれよ!」
『私の体ですか?』
「そうだよ。いいだろ?減るもんじゃないし」
『申し訳ありません。私の体は既に他の方と契約しておりまして……。もし差し上げることが出来るとすれば、この屋敷にある家具ぐらいでしょうか』
「うぅ……」
『他に何かありますか?あるのならお聞きしますが』
「他の方と契約だと!?ふざけやがって!俺のモノになりやがれ!!!」
『きゃっ!?』

僕はアイリスの腕を掴むとそのままベッドに押し倒す。

『な、何をしているんですか!?』
「うるさい!!黙れよクソ女!!!」

僕は感情のままに拳を振り上げ、目の前の少女に向かって振り下ろす。……しかし次の瞬間、僕の腕は何もない空間でピタリと止まってしまった。

『危ないところでしたね』
「な、なんだこりゃあ!?」

僕は慌てて手を引っ込めようとするのだが、何故か身体が全く動かない。

「ぐぬぬぬぬ!……動け!動けってば!!」
『仕方ありませんね。あなたには木っ端微塵になってもらいます」
「え?」

アイリスはそう言うと両手を前に突き出し、そこからこの世のものとは思えないおぞましいモノがモリモリと出てきた。
それに僕の体が飲み込まれたかと思うと、じわじわと僕の全身の表皮が剥がれ落ちていくような感じがした。

「痛い痛い痛い!」
『我慢して下さい。すぐに終わりますから』
「ぎゃああああああ!!!!!」

僕の体の肉という肉が……骨という骨が……次から次へと粉々になっていった。
そして僕という存在そのものが無に帰そうとした時、僕は無意識のうちに叫んでいた。

「死にたくない!助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
――――――
「……この状態になって僕は初めて理解した。僕という意識を保つのに脳みそはいらなかった。それどころか全身が全て粉々になっても僕の意識と激痛は永久に残り続けるのだ」
「そうだったのか。それじゃあ、お前はまだ生きているのか?」
「もちろんさ。……ただ、いつまで経っても痛みが消えないんだ」
「それは困ったな。俺はそういう病気には詳しくないんだが、もしかすると一生このままかもしれないぜ」
「そんなことになったら困っちゃうな」

僕と俺は自分の中の他人格と会話をすることで正気を保つことしか出来なかった。

ED No.6 【死に至る病】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?