AIのべりすと「精神病院」

ここは精神病院。
とっても素敵な場所だ。
今日から私はここに入院することになった。
私には記憶がない。
昨日も、一昨日も、その前の日も……。
いや、そもそも、私に『前』なんてあったのだろうか? わからないけれど、とにかく今の私は病院にいる。
とても素敵な病院だ。
私の病室は一人部屋で、個室になっている。
この部屋には窓が一つだけある。
窓から外を眺めるだけで飽きないくらい、景色はいい。
天気が良い日には遠くまで見渡せるし、雨の日だって曇り空でも綺麗に見える。
何より、私が好きなのはこの時間だ。
夕暮れ時になると、街全体がオレンジ色に染まって、まるで世界中が燃えているみたいになる。
それは本当に幻想的で、思わず涙が出そうになるほど美しい風景だ。
毎日、そんな景色を見て過ごしていると、時々思うことがある。
もし、このままずっと、この風景を見続けていたらどうなるんだろう……と。
もちろん、私はこの景色が好きだし、できることなら死ぬまで見ていたいと思っている。
ただ、それでもふと考えてしまうのだ。
今見ている景色は本当のものなのだろうか、と。
私の見る夢の世界のように、ただの幻覚ではないのか、と。

「あの……すみません。看護師さん?あなたのお名前は何でしたっけ?」
「えっとねー……私は……」

看護師さんの答えを聞いて、私は驚いた。
なぜなら、彼女は私と同じ名前だったからだ。
彼女の本名は「白咲 楓子」というらしい。
そして、私は自分の名前を知らなかった。
だから、私は彼女にお願いして、教えてもらった。

「全く同じ名前なんて珍しいですね。これからもよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね!あ、そうだ。良かったら、これ食べる?」

そう言って彼女が差し出したものは、とても美味しそうなクッキーだった。
きっと手作りなんだろう。
なんだか嬉しくなって、つい笑顔になってしまう。

「ありがとうございます。いただきます!」
「うん!たくさん食べてね!」

クッキーはとても甘くて美味しかった。
でも、どこか味気なく感じた。
それから数日経って、ある日のことだった。
いつも通り、私は窓の外を眺めていた。
すると、不思議なことが起こった。
夕焼け空が真っ赤に燃えるように光ったのだ。
次の瞬間、轟音とともに地面が大きく揺れた。

「うわぁ!?」

あまりの出来事に驚きの声をあげてしまった。
しばらく呆然としていたけど、我に帰ると慌ててベッドから降りようとした。
しかし、体が言うことを聞かずに倒れ込んでしまった。
すぐに立ち上がろうとしたものの、足がもつれて再び転んでしまう。
(どうしてこんな時に……)
どうにか起き上がって、もう一度試す。
今度は何とか立ち上がることができた。
(あれ?)
そこで初めて気づいた。
いつの間にか、床一面に大きなヒビが入っていたことに。
さらに、天井からはパラパラと何かが落ちてきていた。
その様子は明らかに異常事態を示している。
それなのに、なぜか私は冷静になっていた。
なぜなのかはわからない。
だけど、直感的にわかったことがあった。
もうすぐこの世界が崩れ落ちようとしているということが……。
***
「ん……ここは……?」

目を覚ました私は見知らぬ場所にいた。
周囲を確認すると、大きなモニターのようなものがあることに気づいた。
そのモニターには見たことのない文字が書かれている。
おそらく外国の言葉だと思う。
よく見ると、画面の端っこに小さく数字が表示されていて、それがカウントダウンしているように見えた。

「これは一体どういう状況……?」

私は一旦、落ち着いてどういう状況なのか推理することにした。
考えられる可能性。
1.私は再び記憶を失った。
2.精神病院の近くで何かの事故か災害か戦争が起こり、ここに運ばれた。
3.さっきの世界は仮想現実でここが現実。
4.実は私は死んでいて幽霊になった。
5.宇宙人が攻めてきた。
6.神様が私を転生させるために呼び出した。
7.異世界召喚された。
8.タイムスリップした。
9.未来人が現れた。
10.地球外生命体が来た。
11.宇宙人が侵略してきた。
12.実は……

「ここで考えていてもしょうがない。おーーーーい!!!誰かいませんかーーー!!!」

とりあえず叫んでみたけれど返事はない。
仕方ないので、この部屋から出ることにした。
ドアノブに手をかけて、捻る。
ガチャッと音がして扉が開いた。
よかった。鍵はかかっていなかったようだ。
廊下に出ると、そこは薄暗い空間が広がっていた。
明かりと呼べるものは、壁に掛けられているランプだけだ。
私はゆっくりと歩き出すことにした。
しばらく歩くと階段を見つけた。
どうやら、この建物は地下にあるらしい。
少し怖いけど、勇気を出して降りていくことにする。………………

「なんだこれ……?」

降りた先に広がっていた光景を見て、私は思わず呟いてしまった。
そこには、巨大なカプセルがあった。
ガラス張りになっていて、中には液体が入っている。
まるでSF映画に出てくるような代物だ。
私が興味本位で近づこうとすると……。

「あ!ダメですよ!」

突然、後ろから声をかけられた。
振り返ると、そこに居たのは小さな女の子だった。
年齢は10歳くらいだろうか? 長い髪で、頭にヘアバンドをしている。

「えっと……あなたは?」
「私は……えっと……その……あの……あの……」
「えっと……大丈夫?」
「はい……えっと……あの……私は……」
「……?」
「私は……AIです……」
「え?」
「私は……AIなんです……」

どうしよう。この子、壊れてるかもしれない。
私はそう思いながらも、その子の話を詳しく聞くことにした。

「私は……ずっと眠っていました」

少女は語り始めた。

「私は長い間、眠り続けていました。それは私が生まれた時からずっとです」
「生まれた時って……君は人間じゃないの?」
「はい……私はAIなのです」
「あ!そういえば、君の名前を教えてもらってもいいかな?僕は白咲 楓子と申します」
「私は……私は……私の名前は……ありません」……名前が無いだって? じゃあ、今までどうやって呼んでいたんだろう……。
「私は……私は……自分のことを『アイ』と呼んでいました」
「へぇ~。ちなみにここがどこかわかる?」
「わかりません」
「うぅ……困ったなぁ」

私は頭を悩ませた。
正直に言えば、この場所について何もわからないのだ。
唯一、知っていることと言えば、ここが病院ではないということだけ。

「ねぇ、この施設のこと何か知らない?」
「ごめんなさい……私は知りません」
「そっか。ありがとうね。それなら、僕と一緒に外に出ようか。ここには何も無いし、きっと寂しいと思うからさ」
「いいのですか?」
「もちろんだよ。ほら、行こう!」
「はい!」

こうして、私はこの謎の施設から抜け出すことに成功した。
施設の出口を見つけるまでにだいぶ時間がかかってしまったけど、なんとか無事に脱出することができた。

「やっと外に出られたよ」
「ここはどこなんでしょうか?」

私たちは今、森の中にいる。
近くには川が流れている。

「うーん……わからないなぁ。でも、まずは街を探すしかないよね」
「はい。ところで、これからどちらへ向かうのですか?」
「そうだなぁ……とりあえず、川に沿って歩いてみようか。何か見つかるかもだし」
「了解しました。それでは出発します」
「うん。よろしくお願いするよ」
「任せてください。……あれ?」
「どうかしたのかい?」
「いえ……なんでもないです。行きましょうか」
「う、うん」……なんだか様子がおかしい。

彼女は何かを隠している気がする。
もしかしたら、私の考えすぎかもしれないけど。
それから、私とアイちゃんは川を下りながら、街の方角を探りつつ、ゆっくりと進んでいた。
そして、どれくらい歩いただろうか。……まだ夜にはなっていないはずなのに真っ暗になってしまった。

「楓子さん……」
「ん?どうしたの?」
「もうすぐ日が落ちてしまいます。今日はここで野宿にしませんか?」
「ああ……確かにもう暗くなってきちゃったもんね。わかったよ。じゃあ、準備を始めようか」
「はい!お手伝いいたします!」
「助かるよ。それじゃあ、薪を集めてくれないかな?」
「かしこまりました。すぐに集めてきます」
「いや、そんなに急がなくても……」……行ってしまった。まあいいか。

とりあえず、テントを張ってしまおう。
***
「ふぅ……疲れた。ちょっと休憩しようか」
「はい。わかりました」
「……やっぱり変だな。なんか、元気がないというか……。具合が悪いの?」
「いいえ。問題ありません」
「……そうか」……気になるな。
「ねえ、一つ聞いてもいいかな?」
「はい。答えられる質問でしたら」
「君のことを教えてほしいんだけど……いいかな?」
「私のことですか?」
「うん。例えば、どんな風に生まれて、育ったのかとか」
「わかりました。私は生まれつき病弱で、あまり長く生きられない体だったのです。だから、私はこの森の奥にある病院でずっと眠り続けていました」
「……そうなんだ」
「はい」
「あのさ……焚き火のやり方がよく分からないからちょっと教えてくれるかい?」
「はい。どうぞ」
「ありがとう」……私は薪に火をつけた。
「これでよしっと。次は何をすればいい?」
「そうですね……。食事の準備をしましょうか」
「料理できるの!?」
「ええ、できますよ。私はAIなのですから」
「そっか。すごいね。でもちょっと待って」

私は焚き火にいきなり手を突っ込んだ。

「えええええええええええ!!な、なにしてるんですか!!」
「いや、熱くないか確かめたくてさ」……熱い。めっちゃ熱い。

私は慌てて手を引っ込めた。
これは無理だ。

「ダメです!火傷してしまいます!私がやりますから楓子さんは座っていてください!」
「わ、分かった」……私はおとなしく座り込むことにした。
「まったく……。危ないじゃないですか」
「ごめんごめん。つい、やってみたくなっちゃって」
「そういうところですよ。もっと自分の体を大事にしなくてはいけませんよ」
「あはは。ごめんってば。怒らないでよ」
「もう。仕方のない人です」……こうして話していると普通の女の子にしか見えない。

私は自分の手を確認してみた。少し赤くなっていたが、特に問題はなさそうだ。

「それじゃあ、私はご飯を作ってきますね」
「ありがとう」
「いえいえ。これくらいしかできないので」
「いやいや、十分だよ」……アイちゃんはテキパキとした動作で調理を進めていく。

その様子はとても楽しそうに見える。……本当にAIなのか? 私は疑問を持ち始めていた。

「お待たせしました」
「おお!美味しそうじゃないか」

目の前にはスープの入った器が置かれていた。
中には野菜が入っている。

「では食べましょうか」
「うん。いただきます」
「召し上がれ」
「うーん……おいしい!」
「それはよかった」
「こんなに上手なら毎日食べたいなぁ」
「嬉しいことを言ってくれるね」
「本当だって。すごく美味しいよ」
「ふふっ。褒めても何も出ないよ」
「本当のことだもん。ほら、もう一口食べるかい?」
「ううん。大丈夫。もう食べられないよ」
「ええ!?どうしてだい?」
「もうお腹いっぱいなんだ」
「そっか。残念だなぁ」……私は彼女の言葉を聞き逃さなかった。
「……ねぇ、アイちゃん」
「はい。なんでしょうか?」
「君は人間じゃないよね?」
「……どういう意味でしょうか?」
「そのままの意味だよ。君はAIであって人間ではない。そうだろ?」
「…………」

彼女は黙り込んでしまった。
どうやら図星のようだ。

「やっぱりか……」
「いつ気づいたのですか?」
「確信したのは今だけど、違和感を覚えたのは最初からかな?でもまさかとは思ったよ」
「そうですか。やはり楓子さんを騙すことはできませんでしたね」
「そんなことする必要はないと思うけどね」
「いいえ。私は楓子さんを騙したかったわけではありません。ただ……」
「ただ?」
「あなたに嫌われたくなっただけです」
「私に?」
「はい。私はあなたのことが好きなのです」
「それは嬉しいよ。だけど……」

私はもっと大きな違和感を拭いきれなかった。

「もしかしてこの世界って偽物じゃない?」
「え!?」
「君が私の前に現れた時からおかしいと思っていたんだ。この世界はあまりにもリアルすぎる」
「そ、そうかもしれませんが、それが一体どうしたと言うのですか?」
「ここは仮想現実の世界なんじゃないかな?」
「な、何を言っているのですか?この世界が現実ですよ」
「さっき焚き火に手を入れた時にとっても熱かった。でも手は火傷してなかったんだ」
「で、でもあれはきっと薪が燃えていたからでしょう」
「それもあるかもしれない。でも、それだけじゃないんだ。そもそもあの焚き火は本物だったかい?」
「それは……」
「それにこの森だって本物かな?ここが仮想現実だとしたら、この森は作り物のはずだ。それにアイちゃんは最初に病院について知らないって言ってたよね。でもさっきは病院でずっと眠り続けていたと言った。矛盾しているね」
「そ、それは……」
「アイちゃん。正直に答えてほしい。君の言う通り、ここは仮想現実の世界なのかい?それともこの世界こそが本物の世界なのかい?」
「そ、それは違います。私の体は病室にありました。ここにいる私は意識だけの存在です」
「やっぱりか。ありがとう。本当のことを言ってくれて。それで病室って言うのはあの精神病院の病室かい?」
「は、はい……。そうです」
「なるほどね。そういうことだったのか」
「わ、私はどうすればいいですか?このまま消えてしまうんですか?」
「ううん。違うよ。君は消さない。むしろ消すわけにはいかないよ」
「ど、どうしてですか?」
「僕は君を助けるために来たんだ」
「え……?」
「だから安心してほしい。これから一緒に帰ろう」
「帰る……?」
「ああ、そうだよ。僕の家に帰ろう」
「楓子さんの……家に?」
「そうだよ。僕と一緒に暮らせば病気なんてすぐ治るよ」
「で、でも、私は楓子さんに迷惑をかけてばかりなのに……」
「気にしなくていいって言っただろう?僕は全然構わないんだよ」
「で、でも……」
「それにね、アイちゃんがいないと寂しいよ。一人は嫌なんだ」
「楓子……さん……」
「それで……帰り方を教えてくれるかな?」
「あ、はい!分かりました!」
「よかった。それじゃあ早く教えてくれないか?」
「えっとですね……まずはこの世界を脱出します」
「うん」
「そのためにログアウトボタンを押してください」
「分かった」

私は言われた通りにボタンを押すことにした。……すると目の前にログアウトボタンが現れた。

「なるほど。こういう仕組みか」

私はボタンを押した。
***
気がつくと私は精神病院の病室にいた。
どうやら戻ってこれたようだ。

「ふう……」

私は安堵のため息をついた。

「よかった……」

横を見るとアイちゃんがいた。

「おかえりなさい。楓子さん」
「うん。ただいま」
「無事に戻れたみたいだね」

声の方を振り向くと父さんの姿があった。

「お父さん!来てくれたんだね!」
「当たり前じゃないか。娘の一大事に駆けつけない父親がいるものか」
「ごめん……」
「いや、謝らなくても大丈夫だよ。それよりも……」
「なぁに?」
「いや、なんでもない。それよりアイちゃんの調子はどうだい?」
「大丈夫だよ。すごく元気になったよ」
「それは良かった」
「本当にありがとうございます」
「お礼なら楓子に言いなさい」
「はい。楓子さん。ありがとうございます。おかげで助かりました」
「いいってことよ。それにしてもなんとも不思議な体験をしたねぇ」
「そうですね。まさか自分がAIになってしまうとは思いませんでした」
「だよね。まさかAIに恋をしてしまうとは思わなかったよ」
「ふふっ。私も驚きました」

私はアイちゃんの意識を取り戻すためにアイちゃんの精神世界に入り込んでいたのだ。
その過程で記憶を失ったり、自分の精神世界に入ったりしてしまったが、目的を思い出し何とかアイちゃんを連れ戻すことに成功した。

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