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パーフェクトドッグ・理想の犬

30代になり、初めて、自分だけの犬を飼った。
ずっと不定期なスケジュールの仕事から、土日休みの会社員となり1年が過ぎ、この会社に長く勤めそうだと思い、飼う決心がついた。
子供の頃から動物が大好きで、いつも、犬、猫、鳥などを飼っていたが、大学から一人暮らしになり、ジプシーの如く、引越し、転職、それも、社会人になってからは、海外でそれを繰り返すような生活をしていた自分がペットを飼うなど言語道断だと自覚していた。だけど、ようやく、落ち着きそうな自分の人生となり、犬を飼う勇気が湧いたのだ。
それでも、”飼いたい犬”ではなく、”飼える犬”を選ぶことにした。
平日同じ時間帯勤務&土日休みの仕事になったとは云え、通勤時間を含むと、9時間以上お留守番をさせることになる。そして、まだまだ30代前半の独身、ソーシャライズがしたい歳でもある。お散歩時間は、きっと、それほど取れない。また、高額所得者でもないので、ドッグシッターを雇ったり、グルーミング代などにお金がかけられない。病気になりやすい犬種も無理。
そんな自分に都合の良い条件で検索した結果、当時の私にオススメの犬種は、”チワワ”と”パグ”しかなかった。
正直、どっちも自分の好みの犬種ではなかった。

昔から、ゴールデンレッドリバーの様な、フサフサの毛で、いつも笑ったような顔の犬が好きなのだ。
うーむ、と悩んだ結果、チワワのロングヘアーを飼うことにした。ロングヘアーでも、チワワサイズなら、面倒臭がりの自分でもブラッシングぐらいはできるであろう。

そんな思惑を経て、生後2ヶ月のロングヘアーチワワのミルキーと出会った。ブリーダーさんから、「成犬で大きくても6パウンド(4キロ弱)ぐらい。」と言われていたミルキーは、結局、9パウンド(5キロ半強)強まで大きくなった。その為、「この子は何の犬種?え、チワワ?!」と驚かれることも多かった。
まあ、チワワ好きの人は、その小ささが好きってタイプが多いようだが、私は元々チワワ好きってわけでもなかったので、別に想定以上の大きさになろうが、全く、気にしなかった。それどころか、”こんな可愛い子が世の中にいるだろうか?”と心から思っており、いつも、「ミルキーは世界一」と呪文のように唱えながら、ミルキーを撫でていた。

そんなミルキーが13歳10ヶ月で虹の橋を渡った数ヶ月後、里親ボランティアで出会ったのが、シニア犬のコーディ。
レスキュー団体から預かった時は、皮膚病で身体の毛がほとんどなく、その上、傷だらけで、体臭はホームレス風味。こんなボロボロのわんこ、誰も引き取り手がいないだろーっ!と、ドン引きレベル。誰が好き好んで、引取り料$500を支払い、ボロボロのシニア犬を引き取るであろう。そう、私だって、どうせなら、ミルキーみたいに綺麗で可愛くって、3歳未満の小型犬が良い。それが当たり前、それが自然な思考回路。
でも、、、毎日、必死で身体を洗い、皮膚の手当てをし、栄養のあるものを与え、話しかけ、、、3週間後、見違えるようになったコーディを前にして
どうしてこんな可愛い子を人にあげないといけないのだ?と、思うようになってしまった。
結局、アダプトすると決め、正式にうちの子になった。
コーディは、声帯を潰されたのか?と心配するレベルに全く吠えないというか声を出さないおとなしい犬。でも、コミカルでマイペース。度胸が座っているのか、諦念しているのか微妙だが、信じがたい程、出来た子であった。こんなパーフェクトドッグを捨てる人間がいるのが信じられなかった。
毎日、「うちの子になってくれてありがとう。」と言っていた。
コーディは、私たちと4年間いてくれた。性格な年齢は分からないけど、15歳ぐらいで旅立った。

そして、今のくるみ。先月3歳になった。レスキュー団体から、2ヶ月程度の時に引き取った。「多分、ビーグルミックスで、大きくなっても10パウンド(6.25キロ)程度」と言われていたが、DNA検査をしたらビーグルの血は一滴も入っておらず、チワワ・ミニピン・オーストラリアンケトルドッグ・ジャーマンシェパード・グレートピレネーズ等と、超小型犬から超大型犬まで満遍なく入っており、結局、3歳になった現在22パウンド(14キロ弱)である。正直、自分も歳を取り、出来れば、片手で持てて、手間のかからない犬と思っていたが、結果、ミルキー・コーディの2倍以上の重さで、運動量も1日朝1時間以上、夕方30分は必要。人生で一番手間のかかる犬だ。
また、ミルキーとコーディは、私の好みのロングヘアーであったが、くるみはスムースコート。その上、私にとっては人生初の女の子。
びっくりレベルで、自分が信じていた自分の好みと逆の犬である。その上、
いくら言っても、廊下を歩く足音に吠えるし、目を盗んで拾い食いもする。

だが、、、、可愛い。世界一可愛い。
大きさもパーフェクト。
見た目もパーフェクト。
性格もパーフェクト。

そんな風に思っている。

だが、偶に、我に返って、自分にツッコミを入れたくなる。
一体全体、私の好みって、理想って、何だったのだ?
結局、目の前にいる子が私にとってパーフェクトドッグになっているではないか。つまり、どんな犬でも良いんじゃないか?と。

「ミルキーもコーディもくるみも、なんでうちに来る子はみんなパーフェクトドッグなのかしら。神様、こんな子たちに巡り合わせてくれて、本当にありがとうございます。」

そんな呟きをする私って、相当おめでたく、そして、幸せ。


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