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肉体は男性、心は女性について:③みんな女性の心も持っている

前回で予告した通り、自分を例に取って”心は女性”について考察していきたいと思う。
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まず、なぜ、女性の肉体を持ち、性自認も女性の自分が、「心も脳も女性か?」と問われると、うーむ、、となってしまうのか?

理由は色々あるが、一番大きいのは、子供の頃から、”将来の夢はお嫁さん。”とか”お母さんになりたい=子供を産みたい”と思ったことがない点だ。私には母性という女性ならではのものがないのか?という疑問をずっと抱いていた。

子供時代に、それを母に言ったら、「好きな人が出来たら、自然とそうなるわよ。」と言われ、”そんなものなのか。”と、その日が来るのを今か今かと楽しみに自己観察をしていたが、思春期が過ぎ、成人になり、好きな人が出来たり、結婚したとしても、全く、そんな気持ちにならなかった。それどころか、出産を望まれると、例えようのない恐怖に襲われる始末だ。

当時、周りにいた年上の昭和の男性達からは、「女は子供を産んで一人前。」「昔は結婚しても、子供が出来ない嫁は石女と言って、離縁の理由になったんだぞ。」などを聞き、非常に嫌な気持ちになった。きっと、「お前は女性失格」と烙印を押されたように感じたからだろう。また、子供を産みたくても、産めない身体の女性もいる中、産める肉体を持っているのに、産む気が起きない自分に罪悪感を持った時期もあった。

だが、私は、子供を産みたいと思わないから、”自分は本来男性だ”、と思ったことはない。ただ、ずっと「女性失格」と言うか、女性として何かが欠落しているとは感じていた。そしてまた、私は、所謂、一般に言われる男性っぽい要素が多分にあることも自覚していた。例えば、性格が、理屈っぽい、独立心旺盛、服従への抵抗など。兄の影響もあったが、少女漫画より少年漫画の方が好きなのも、男性主人公の方が自分が共感するのもあったからであろう。そんな事から、当時、”私って、手塚治のリボンの騎士みたいに、男の子と女の子の心を持っているのかもしれない。”と妄想したものだ。

昔、”地図の読めない女、話の聞かない男”と云う本がブームになった。
中々、興味深い分析本だったが、自分では、”私は地図も読め、話も聞ける女”だと思ったことを覚えている。確か、そこで、男脳、女脳という言葉を知ったのだと思う。100%男脳、100%女脳という人間は存在しない、どちらかの傾向が強いって内容である。ちなみに、診断テストをやってみると、私はびっくりするぐらい真ん中であった。つまり、男脳50%女脳50%というタイプの脳。なるほど、私の脳は非常にニュートラル。でも、肉体が女性だから、脳タイプが女性に偏っていないが故に、自分は女性として欠落していると感じてしまうのかもしれない、と、自己分析したものだ。
同時に、誰しもの脳が、男の部分、女の部分を持っていることも理解した。どちらかに偏っていることはあっても、そこに優劣はない、とも。(※ 下記参照)

一旦、ここで、ホルモンの話をしよう。ヒトは、男性も女性ホルモン、女性も男性ホルモンを持っていて、そのホルモンが肉体形成だけではなく、思考や感情にも大きく作用している。
私は”心は女性”というのは、このホルモンの影響が関係しているのではないかと推測する。

女性は月経が始まる頃から女性ホルモン量が増え、閉経と共に急激に減少する。月経期間、閉経による更年期障害期間中の女性は、イライラしたり、不安になったりと情緒不安定になる傾向は知られている事実である。
こういった身体の仕組みから、女性が男性よりヒステリックだとか、気分屋だと評されるのだろう。そして、そんな性質が”女性の心”だとする通念があるとすれば、男性の中に、「ああ、今日はなんだか理由もないのに気分がブルーだな。こんな風に感じるってことは僕は女性の心をなのかも。」「こんなに心配性で嫉妬深い僕は、実は女性の心なのかも。」となる人がいてもおかしくはないかもしれない。

だが、繰り返すようだが、本来、男性も女性ホルモンを持っているのだ。
その上、ご存知の方も多いと思うが、ヒトの肉体の男女の性は、一般的に性染色体が女性はXX、男性はXYで、つまり、Yを持つかどうかで男性かどうかが決まる。下記添付の東邦大学理学部・生物分子科学科の「性決定の仕組み」一部を抜粋するが、”Xが2本あってもYがあれば男性であり、Xが1本しかなくてもYを持たなければ女性であることがわかる。すなわちヒトは基本的に女性であり、Yは男性化をする染色体と言える。”と記載されている。

https://www.toho-u.ac.jp/sci/biomol/glossary/bio/sex_determination.html

この一文、インパクトありませんか?
少し脱線しますが、旧約聖書、創世記第二章第22項には、女は男の肋骨の一本をとってつくられたと書いてありますが、逆だったわけです。(昔からこの旧約聖書の記述にムカついていたので、敢えて、書かせて頂きました。笑)

話をまとめると、ヒトは、みんな女性ベースで出来上がっており、男女共に女性ホルモンを有するので、男性でも、”女性の心”持っていて当然。もちろん、女性も男性ホルモンも有するので、”男性の心”持っているのも当然。
言い換えれば、「俺は完全に肉体も精神(心)も男の中の男だ。女のカケラなんて一つもない。」なんて男は存在しない。
そしてそれは、「肉体は男性だけど、心は完全に女性」というヒトもいない事も意味する。

そんな理由から、冒頭の「心も脳も女性か?」の質問に対して、私は、「自分の肉体はXX遺伝子なので女性、脳の認識でも女性。ただ、脳自体と心は男女性比率五分五分ってところかな。」なんて感じで答えることになるわけです。

最後に、前回の「脳=心?」という疑問の私の答えは、「脳≠心」。
男でも女でも、トランスジェンダーでも、”頭では分かっているけど、心では納得いかない”なんて事は多かれ少なかれ経験しているだろう。心は、ホルモンの影響を相当受け、脳が出す答えとは必ずしも一致しないのだ。

では、「本能」はどうなのか?
実は、今回の「肉体は男性、心は女性」のトランス女性が公共の女性専用施設を利用することに対しての、女性側の拒否感は、この「本能」が大きく影響しているのではないか?
そして、何より、この「本能」こそが、「肉体は男性、心は女性」のトランス女性が何者なのか紐解く鍵になるのではないかと思っている。

※ 今回、この部分にも疑問を抱いた。男脳、女脳という分類分け理由自体にジェンダーバイアスが掛かっているのではないかという点だ。この疑問と見解を書き始めると、議題から相当脱線するので、またの機会に論じたい。
















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