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エッセイ:ぜんぶ

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愛犬の話、ニューヨークの話、ランニングの話などなど、その時々の気になったことをつらづらと書いています。
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2022年6月の記事一覧

私と保護犬くるみの物語:わたし・くるみ㉚

くるみが1歳になった。 保護犬なので本当の誕生日は不明。でも、我が家に来た時に大凡2か月の仔犬との触れ込みだったので、逆算し、相方と2021年6月26日に決めた。 うちに来た頃、3LB(1.4キロ)と最初に飼ったロングヘアーチワワのミルキーの2ヶ月の頃とほぼ一緒だった。つまり、予想成犬体重は10LB(5キロ以下)。手足も本当にちっさかった。 だが、この物語をずっと読んでいてくれた貴重な読者の皆様は覚えているかもですが、くるみは流石、超小型犬(チワワ)から超大型犬(ピレネ

「小説」セントラルパークランナーズ(45歳・女性)

あら、4時間切っちゃった。 夫に、”運試しに申し込んでみたら”と唆され、半分冗談で申し込んだNYCマラソンの抽選。幸か不幸か当たってしまい、4月から初マラソン挑戦・完走を目指して、それなりに練習してきた。でも、まさか、本当に初マラソンで4時間を切れるなんて思っていなかったから、ちょっとびっくりした。 でも、私よりずっとびっくりというか驚愕したのは、夫の方だ。夫は走り始めて3年目にサブフォー(マラソン4時間切り)を達成し、それをいたく自慢していた。専業主婦で夫から世間知らず

嫌われ者ミッチと黒犬2匹

セントラルパークをくるみとお散歩するようになり8ヶ月。色んな知り合い(わん友)が出来た。テニスコート裏の丘の集うグループのリーダー的存在のエドおじさんと仲間達、野球場北側の丘に一旦集合する”セントラルパークのドッグウィスパー”のキャッシー率いるドッグウォーカー軍団とそのキャッシーと長年のわん友の日系2.5世のシンディさん。 そして、嫌われ者ミッチ。 嫌われ者ミッチは初老の白人男性で、如何にも気難しい顔つきをしている。確かヨーロッパのどこかの国出身。彼が連れている犬は、ロトワ

「小説」セントラルパークランナーズ(36歳・男性)

今日の俺はイケる。気温もマラソンには丁度良い少し寒いぐらいの7度。ペースは予定のマイル8分(キロ5分)より15秒程速いが、今日の俺ならこのペースでイケる。いや、いけなくても、どうせ後半、落ちるんだから、調子の良いうちに貯金を出来るだけ貯めておくのも戦略だ。 長いはずのベラザノブリッジも、あっという間に感じた。号砲と共にフランクシナトラの”ニューヨーク・ニューヨーク”が流れる中、俺の初マラソン・NYCマラソンがスタートした。スタートゲートを越えたと同時に、ガーミンウォッチのボ

私と保護犬くるみの物語:くるみ㉙”あたしのチャレンジングタイム”

「ママちゃんがいない間、パパちゃんをヨロシクね。」 あたしをナデナデしながら、ママちゃんが言ったけど、よく意味が分からなかった。だけど、朝起きて、ママちゃんを探したけど、どこにもいなくって、次の日もいなくって、それで分かった。 ママちゃん、どこかに行っちゃったんだ、と。 パパちゃん曰く、「ママちゃんは日本に里帰り」らしい。日本ってところ、セントラルパークより遠いんだって。だから、すぐには、帰ってこれないんだって。 つまり、あたしはこの目の前にいるパパちゃんとしばらく暮