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エッセイ:わんこの話

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先住犬ミルキー、そして、シニアの保護犬コーディにまつわるストーリー。 わんこの不思議な力をたくさん感じます。
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2023年12月の記事一覧

スカイとマルコ(26)・一緒に生きること

え、遠吠え?狼? 寝ぼけた頭で、月子さんは考えた。 数秒後、ガバッと飛び起き、隣の部屋に駆…

黒リス
10か月前
9

スカイとマルコ(25)・それぞれの道

「スカイ、スカイ、僕の声が聞こえる?」 真夜中、マルコの声がすぐ近くで聞こえた。 「え、…

黒リス
10か月前
11

スカイとマルコ(24)・ありえない

「スカイ、僕を見つけてくれてありがとう。」 マルコの声が聞こえた。 点滴ってやつで、少し…

黒リス
10か月前
4

スカイとマルコ(23)・そばにいるよ

「え、公園で見つけた?あの、、、ご自身の犬ではないんですよね?」 受付の人が、戸惑うよう…

黒リス
10か月前
8

スカイとマルコ(22)・再会

ソラに腕が千切れそうな程、引っ張られながらも、なんとかかんとか月子さんは転ばずに公園まで…

黒リス
10か月前
5

スカイとマルコ(21)・はやく、はやく

いつもより早い朝。あたしの鼻が何かを感じた。 よく知っている匂い。 懐かしい匂い。 そして…

黒リス
10か月前
5

スカイとマルコ(20)・積み重ねること

あたしと月子さんのトラブル続きだった毎日が、淡々とするものに変わっていった。 知らないもの同士が一緒に暮らすのに、最初から問題がないなんてことはないよね。ましてや、あたしは犬、月子さんは人間で、言葉も通じないし、人間が言うところの本能とか習性とかまったく違うもの。 人間が勝手に作り上げた世界が、まるで正しいみたいに押し付けられ、支配されるって、あたしは時として我慢ができないのだ。 でも、現実、あたしには選択権がない。それが、ますます、あたしをイラッとさせる。 だけど、そん

スカイとマルコ(19)・風が教えてくれる

僕は、車に乗せられ、甥ごさんちに行くことになっていた。 弁護士さんにも、そんな手続きをし…

黒リス
10か月前
9

スカイとマルコ(18)・心配

「どれだけ掻き毟ったんだろうな。前足の爪、全部、折れて、ドアも血だらけだったらしいよ。一…

黒リス
10か月前
8

スカイとマルコ(17)・それは突然やってくる

その日の朝、僕はなんだかザワザワした。嫌なことが起きる。 僕のその予感というか予期は大抵…

黒リス
10か月前
5

スカイとマルコ(16)・ちょっとづつ

ケイタ君は、朝、犬舎の清掃を終え、事務所に戻って、パソコンを開いた。 「あ、今日もちゃん…

黒リス
10か月前
6

スカイとマルコ(15)・扉の向こうへ

「失礼を承知で言いますが、犬は面白いからとかで飼うものではありません。ぬいぐるみでもなく…

黒リス
10か月前
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スカイとマルコ(14)・手抜きはしない

月子さんは、実は犬を飼うのが初めてだった。 「一応、ネットで事前に一通り勉強はしてきまし…

黒リス
11か月前
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スカイとマルコ(13)・やってやるわよ

あたしは不思議な気持ちになった。ケイタ君みたいに、太陽の暖かさであたしを包んでくれるわけじゃないけど、なんていうか、愛情の押し売りもない代わりにプレッシャーも感じない。 「ここでは熊子って呼ばれてるんだってね。性格も熊みたいに凶暴な時もあるらしいね。」 月子さんは、あたしの目をじっと見ながら、面白いのか、少し口の端を上げて話した。 「あ、確かに暴れん坊の時もあるんですが、でも、凶暴ってほどでは。。。実際、牙を剥いて威嚇するのはあっても、一度も噛んだことはないですから。最初