Vol.30 五輪を見続けてきたカメラ
2021年7月22日(木)、東京オリンピックが開幕しました。
ライティングの練習してたらふとオリンピックにカメラを提供していたキヤノンのカメラが2台もあることに気づいたので改めて紹介を。
NewF-1(1981年)
1981年にキヤノン初のプロ用一眼レフとして登場したF-1の後継機。
F-1には有名な小話が二つあります。
1つはF-1には5ヵ年の歳月と数十台分の開発費の投入して開発したということ。贅沢な話ですよね。
もう1つは「向こう10年は不変です」というシステムの大幅な変更をせずに10年販売し続けたこと。
そんなF-1が発売から10年目の1981年に大幅更新されたのがこのNew F-1。
シャッター機構を完全機械式から高速シャッターは機械に、低速シャッターは電子式のハイブリットに。
そして明るいファインダーはピントを掴みやすくマニュアルでピントを合わせる楽しさを味わえるカメラです。
そして多くのアクセサリーアイテムがあるので自分に合った一台にカスタマイズができる楽しみがあります。
自分の場合は見た目優先でアイレベルファインダーを使ってますがAEファインダーの方が使いやすいかもしれません。
そんなファインダーが明るくピントが合わせやすく、アクセサリーアイテムで自分好みにカスタムできるNewF-1の難点は「重戦車」と呼ばれたように重い事。
本当に重いw
今のカメラと違って金属の塊で出来た時代のカメラ。
さらに壊れて撮れませんでしたが通じないプロが使う一級品。
「重量」は「品質と信頼」とのトレードオフとして受け入れるしかありません。
だからこそプロに愛され、発売から11年後の1992年に製造を終了し、さらに4年後の96年に販売を終了します。
2000年代の初めまでプロが使っていたという話もあるほど息の長い製品、それがNewF-1というカメラです。
EOS-1V (2000年)
ニコンがF1、F2、F3、とフラッグシップ機の数字が変わって行ったのに対してキヤノンのフラッグシップはあくまで「1」である。
NewF-1の発売から約20年後の2000年にCanon最後のフィルムフラッグシップ機が発売されました。
F-1から数えて5代目にあたるフラッグシップであることから「V=5」と名付けられたカメラ。
今の時代の感覚で言うなればEOS-1 mark5といったところでしょうか。
マグネシウム合金製の外装に最高10コマ連写の連写性能。
そして20種類もの内蔵カスタムが可能な点などすごい機能を持っているカメラです。
ですがこのカメラの真髄は目に見えないところにあると思っています。
それが手に吸い付くような握りやすいグリップ。
F-1から受け継がれる明るく、MFでもピントを掴みやすいファインダー。
小気味良いシャッター音。
特にEOS-1Vのシャッター音は漫画で描かれるカメラの効果音そのもの。
その音は、写真を撮るためにシャッターを押すのではなく、シャッター音のために写真を撮りたいと思うほど。
今でも自分はよく持ち出すカメラの一台です。
それはそのシャッター音が聞きたいからという本末転倒な理由です。
時代を切り取ってきたカメラが2台もあることに感慨深い思いを抱いた夜でした。
では、また。
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