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「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」に寄せて~父たちの戦争体験

映画のストーリーの詳細は書いていないのですが、一応ネタバレタグをつけています。

原作コミックの作者・水木しげるさんが日本兵の一人として戦地へ赴き、敵機の爆撃で重傷を負い、それが原因で左腕を失ったことは、ご存じの方もいらっしゃると思います。


私の父も戦争経験者です。特攻隊に志願し、海軍飛行予科練習生として過ごした時期があったそうです。
父が志願したのは終戦間近であったため、出撃することはありませんでした。
父は当時のことを自慢気に何度も私に話して聞かせました。それが私はとても嫌でした。


戦時中は召集令状が届くことが名誉なこととされていたので、おめでとうございますという言葉と共に渡されていたそうです。
大切な人を戦地へ行かせたくなかったとしても、それを口にすることは許されませんでした。
国のために貢献できることを表向き(本心の人もいたのでしょうが信じたくないです)は喜ばなければなりませんでした。


夫の父親は足が不自由だったため軍事教練で行進が上手くできず、非国民呼ばわりされたと聞きました。
兵隊として戦えないのは役立たずということです。戦争で命を落とすこととは比べ物にならないかもしれませんが、辛い体験ですよね。


映画に出てくるメインキャラクターの一人・水木は戦争で体の左側に傷を負っています。
左目には傷跡があり、左耳の一部が欠けています。これは、水木しげるさんが左腕を失っているのと関わりがあるのでしょう。
そして体だけでなく心にも傷を負っています。何度も戦争中のことを夢に見たり、フラッシュバックしたりしています。
そして、人が信じられなくなっているようにも見えます。やけになっているようなところもありますね。

水木が生まれたばかりの命を抱きしめた時、人の温もりを取り戻したのではないかと思います。
命を救うことを選択したことで、水木も救われたのです。それからは、世界もいままでと違って見えたことでしょう。


次の絵は映画の本編とは関係ないのですが、水木がいつか清々しい気持ちになれるといいなという願いを込めて。

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