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【映画メモ】苦役列車【#10】

作者の西村賢太さんが亡くなったというニュースを見て、何か一つくらいは読んでみたいなと思い、この本を考えていたのだけれど、たまたまwowowか何かで放送があったので友人に録画してもらって見ました。映画化されていたのも初めて知りました。

解説は映画.comさんから

西村賢太による2010年・第144回芥川賞作を「天然コケッコー」「マイ・バック・ページ」の山下敦弘監督が映画化。昭和の終わりの酒と風俗におぼれる日雇い労働の青年の姿を通して、孤独や窮乏、生きる力について描き出していく。1987年、中卒で19歳の北町貫多は、日当5500円の日雇い労働でその日暮らしの生活を続けていた。生来の素行の悪さと性犯罪者だった父をもつ引け目から友人も恋人もいない貫多だったが、ある出会いによって大きく変化していく。主演は「世界の中心で、愛をさけぶ」「モテキ」の森山未來。貫多が港湾労働で知り合い、貫多に変化をもたらしていく専門学校生・日下部正二に高良健吾が扮する。映画オリジナルのヒロイン・桜井康子役で「AKB48」の前田敦子も出演。

https://eiga.com/movie/57563/

これは森山未來にしか演じられない役だなと思いながら見ました。歩き方から仕草、話し方まで、日雇い労働者、いわゆる底辺な人を演じられるのはすごいの一言でした。「弧狼の血2」を見ていたので松阪桃李も良いかなと思ったのですが、線が細すぎます。柄本佑なら、違った北町貫太を見られそうでもあります。映画はどうかと思いますが、舞台とかで柄本佑ならすごい演技が見られそうに思います。

北町貫太の生活が見ていてしんどくなってきます。高い自意識を持っているものの、それをうまく表現できず、コミュニケーションが苦手で、お酒を飲んで酔っ払った時だけ饒舌になり、もちろん彼女はおらず、酒と風俗におぼれながらも古本屋に通い読書だけは欠かさない不思議な人物です。私小説なので、この北町貫太が西村賢太さんなのでしょう。

アルバイトで、一つ高い倉庫管理の役職に就くシーンがあるのですが、働く場所が変わったり、弁当の質が上がったりしたことに、最初は喜ぶのですが、なじめずに荷役労働に戻ります。その不器用さが見ていてじれったいというか、もっとうまくやれよ!って思いが溢れてきます。きっと、こんな風にチャンスを生かせず、うまく進めない人たちってたくさんいるのだと思います。とか考えてみたら、自分も会社の中でアホみたいな上司に胡麻を摺ったり、半分認知症みたいになった老人におべっか使ってというのができずに、閑職に追いやられているので、程度の差こそあれあんまり変わらないな。ということにこの記事を書きながら気づきました。

最後の終わり方が微妙なように思いましたが、まあ、あれはあれで良いかと思います。本だと第2部があるようなので、映画だけで終わりにせずに本の方も読んでみたいと思わせる映画でした。

本質とは全然関係ないのですが、モテキも見ていたので、また泥水の中でキスすんのかよ!と思いました。これは余計な話。

おわり


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