自分の記憶

皆さんはこれまでの自分の人生を振り返ってどれくらいのことを覚えているでしょうか?

私が覚えている一番古い記憶は4~5歳のころ、アパートから一軒家に引っ越した日のことです。
車にしこたま荷物を積んで、その車で行った先で母から「今日からここに住むんだよ」と言われた記憶が鮮明に残っています。
自分の部屋を与えられて喜んでいたような気がします。

幼少期のころの記憶は曖昧ですが、病院に行くたびに自動販売機で『いちご味のジョア』を買ってもらった、とか駄菓子屋で粉のオレンジジュースを買ったとか、食べ物や飲み物と結びついていることが多いです。
小さいころってやたらお菓子を食べますが、そうやって少しでも何かと結びつけて記憶に残そうとしているのかな、と今、思いました。

ある日、病院に入院しているとお見舞いに来てくれた友達からヨーグルト味の飴を一つもらいました。
入院中なのでお見舞いでもらったものは勝手に食べてはいけないことになっていましたが、どうしても我慢できなかった私は夜中にこっそり食べて、ベッドの下のごみ箱の中に飴の包み紙を入れたつもりになっていました。
翌朝、熱を測りに来た看護師さんにごみ箱から外れて落ちていた包み紙が見つかってしまったのです。
怒られる…と思ったら看護師さんは「もうすぐ退院できるからね」と言って、その包み紙をそっとごみ箱へ捨ててくれました。
たぶん小学校低学年のころの話ですが、同じ味の飴を食べるだけで記憶が蘇ってきます。
優しかった看護師さんの顔も声も。

小学校の高学年になり、父が友達からハムスターを2匹もらってきてくれました。
初めて手に乗せたときの温かさ、手触りを覚えています。
私の実家の近くはうっそうとした山があったのですが、そこからヘビが降りてきたようです。
ハムスターが甲高い声で鳴いています。
ケージの隙間からヘビが入ろうとしています。
私も母もヘビはさすがに怖くて見守っているだけでしたが、ハムスターは勇猛果敢にヘビに噛みついて自分の身を守っていました。
ついにヘビのほうが降参してスルスルと出ていってしまいました。
ハムスターは無傷で、生き物って本当にすごいと思った出来事でした。

どうしても思い出せない人生の時間ってありませんか?
私は高校までの記憶は何とか思い出せますが、それから先、専門学校へ行っていたころのことがなかなか思い出せません。
自分の中でたいしたことじゃないな、と切り捨てられている気がします。
確かにそこにいたはずなのに。

いろいろなことを体験して、自分で考え、自分で選択してきた結果が今ここです。
昔からその日を生きていくのが精いっぱいでした。
先のことなど考えている余裕がありませんでした。
自分で選んだんだから間違いない、そんな変な自信だけはありました。
後悔のないように、なんて言葉は私の中にはありませんでした。

小学校の遠足で山の頂上に到着して、敷物を広げ友達とお弁当を食べ、一息ついて横になって空を眺めていました。
「今って最高だよね」と友達が呟きました。
頑張って山を登ってきて達成感を感じています。
「ホント、今って最高だね」
あのときの言葉が私の中にずっと残っています。

今でも先のことなんて考えられません。
明日どうなるかなんて誰にもわかりません。
ましてや5年後、10年後なんて。
遠い未来に思いを馳せるより、過ぎ去った過去を思い出すより、私は今このときを生きていたいと思います。

たまには昔のことを思い出して、そんなこともあったな、と懐かしく思う時間もあってもいいかな、と思って今日はこんなことを書いてみました。
自分の人生を作ってきた大切な過去を皆さんも思い出してみてください。





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