秘密基地のはなし

今日はふと思い出した小学校のころの思い出の話です。

高学年になったばかりのころ、通学路から少し離れた場所に大きな石がたくさん置いてある場所がありました。
特に立入禁止の立て札もなく、入れないように張ってあるロープもありません。
通るたびに気になっている場所でした。

ある日、同じ方向に帰る友達数人とその石置き場に入ってみました。
小学生の身長と同じくらいか、それよりも大きな石がゴロゴロしていました。
結構な高さがありましたが、うんしょと1番手前の石の上に登ってみました。
石というより岩のような大きさ、すべすべの手ざわりで、平らなものもたくさんありました。
少し隙間があるところもありますが、敷きつめられているという表現がピッタリでした。

寝ころぶとちょうどベッドのようだったり、こっちの石は机、こっちは椅子みたい!
子供の想像力はただの石を家具のように見せてきます。
私と友達はこの石置き場をとても気に入り、秘密基地にしました。

毎日家に帰ったらすぐにランドセルを置き、お菓子や雑誌を持ち、秘密基地まで走りました。
何も言わずともそこに集まるのが習慣になり、楽しく過ごしていました。

あの大きな石は何のためにそこにあったのかわからないままですが、来る日も来る日も天気が良い日は秘密基地に集まり、いろいろな話をしたり、お菓子を食べたり、雑誌を交換して読んだり日が暮れるまで石の上で過ごしていました。

ある日、運悪く同級生のお母さんにそこで遊んでいるのを見られたようで、次の日学校に行くと先生から呼び出され、「危ない場所で遊ばない。」と注意されてしまいました。

秘密基地に行けなくなるのは悲しかったのですが、実際、友達が足を滑らせてすり傷をつくったりしていたので、もうあそこに行くのは止めようと話し合い、石置き場に行くのを止めてしまいました。

しばらくして、そういえばあの場所どうなったんだろう?とふと思い、学校帰りに1人で見に行ってみました。
すると、たくさんあった大きな石は一つ残らず無くなっていました。
ただの広い空き地を見渡しながら、楽しかった秘密基地での日々を思い出し、自然に涙がこぼれてきました。

自分たちだけの秘密の場所があるというのは本当に楽しかったです。
私と友達はその後も秘密基地にできそうな場所を探してまわりましたが、なかなか思うようなところは見つからず、いつの間にか秘密基地ブームも過ぎ去ってしまいました。

今考えれば石の上で遊ぶなんて、とても危ないことをしていたなと思います。
あのとき学校に通報してくれた同級生のお母さんに今さらながら感謝です。

石置き場を見つけてから半年ほどで無くなってしまった私と友達の秘密基地、記憶の中に楽しかった時間とともに、いつまでも残っています。

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