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地球温暖化とIPCC第六次評価報告書の話/一般者向け入門解説(1)

この問題は一般の人には難しいと思いますので、一般の人にも理解できるように分かりやすく解説したいと思います。少しでも関心を持って頂ければ幸いです。


1.地球温暖化の原因、温室効果ガスとは

18世紀半ば、イギリスで産業革命が起こりました。何が産業革命かと言えば、石炭の活用による蒸気機関(蒸気機関車や蒸気船、工場の機械動力等)の発明と活用が革命だったわけです。

その後、石炭に加え石油や天然ガス(メタン)が産業に利用されるようになりました。石油は燃料としてだけではなく化学繊維やプラスチックの原料としても利用されています。また、石炭、石油、天然ガスは総称して化石燃料と言われています。古代の植物や生物からできたものだからです。

これらの化石燃料は燃やすと熱と二酸化炭素が発生します(石油と天然ガスは水蒸気も発生)。熱はエネルギーに変換して活用しますが二酸化炭素は空気中に放出されます。その結果、空気中の二酸化炭素濃度は産業革命前の280ppm(ppmは%の一万分の一、つまり、1%=10,000ppm)から2019年には410ppmまで増加しています。

この二酸化炭素は温室効果ガスの一つです。温室効果ガスとは、地球の表面から放出される赤外線を吸収し再放出する特性をもったガス(気体)のことです。太陽光は地面や海面等に届くと一部は反射し一部は吸収され熱に変わります。そして、熱を持ったものはその温度に応じた赤外線を放出します。この赤外線を温室効果ガスが吸収して再放出することにより地球表面の温度が上がります。尚、温室効果ガスが無い場合には、地表から放出される赤外線は宇宙空間へそのまま逃げて行きます。

地球の平均気温は15℃ですが、もし地球の空気中に温室効果ガスが無ければ地球の平均気温はマイナス19℃になります。実は、空気中で最も主要な温室効果ガスは水蒸気なのです。温室効果の寄与度は一番が水蒸気で48%、次が二酸化炭素で21%、以下、雲が19%(雲は氷粒、水滴なのでガスではなく温室効果物質)、オゾン(O3)が6%、その他(メタン、フロン等)が5%です。晴れた冬の朝に冷え込みが厳しく、曇りの朝の冷え込みが緩いのは、水蒸気と雲が少ないか多いかという差によります。

このように、産業革命以降、人間が化石燃料を大量消費し二酸化炭素濃度を増加させ、その結果、温室効果が増して地球の気温が上昇している、というのが地球温暖化の問題です。

しかし、気候はある周期性を持って変動していますし、日々の気象も安定したものではなく異常気象や気象災害等は色々な要因によって起きるものです。太陽活動や地球の公転周期の変化、地軸の傾き角度の変化、海流の変化等々、気温に影響する要因も様々です。

従って、地球温暖化を正しく知るためには様々な分野の専門家による科学的な解析、考察が必要になります。そのために組織されたのがIPCC(気候変動に関する政府間パネル)です。次回はIPCCについて解説予定です。

以上