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お花見note*2021夏 【真夏の100kmウォーキング】

春のお花見企画に参加しましたので、夏も参加します。でも、春の桜に比べ夏のひまわりは難しい。


【真夏の100kmウォーキング】

容赦なく照りつける日差しが、夏の訪れを知らせていた。

昨夜8時にスタートしてから約16時間、もうすぐ昼の12時だ。まだ暗い夜のうちは順調に歩けたが、太陽が登ってからはさすがに暑くペースも落ちてきた。

気が付くと一面のひまわり畑の中の一本道を歩いている。日陰がまったく無いうえに、道路のアスファルトは太陽光で熱せられて灼熱地獄だ。夜通しの長時間ウォーキングの疲れと日射のせいで頭がクラクラする。ひまわり畑を見ると、無数のひまわりの花が太陽のように見えてきて尚更暑さを感じる。

ひまわりの花の真ん中にカマキリがいてこちらを睨んでいる。きっと花に来る蝶を待ち伏せしているのだろう。

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歩いても歩いてもひまわり畑で、出口が見えない。それでも、今朝、コンビニで買っておいたおにぎりを頬張りながら歩き続けた。時刻は午後1時を過ぎ、気温は更に上昇しているようだ。全身から汗が噴き出している。足も痛い。

なぜオレはこんなことをしているのだろう。自分を試すためか?自分を鍛えるためか?自分自身を見つめるためか?

木陰に入りたい!と思いつつ黙々と歩き続ける。すると前方に小さく木が見えた。一本だけだが木が見えた!あの木の木陰で休みたい!

暑さと疲れと足の痛みのために歩みが遅くなっている。歩けど歩けど木は小さく遠いままだ。頑張れ!と自分を励ます。ゆっくりでも一歩一歩前へ進め!倒れそうになりながらも木陰を目指して前進する。

どれくらいの時間が過ぎたのだろう、だんだん木が大きくなってきた。もう少しだと思うと少しだけだが元気が湧いてくる。もう少し頑張れば木陰で休める、と思いつつ前へ進む。

木は思っていたよりも背が高く枝も大きく広がり立派な木だ。木陰に足を踏み入れると別世界のような涼しさを感じた。助かったと思いながら木の根元に横たわった。全身から力が抜けて良い気持ちだ。

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目を閉じると眠ってしまいそうだ。しかし、疲れが酷いので少し休まなければ。ゴールの夜8時までにはまだ時間もある。

セミの鳴き声しか聞こえない静かな世界だ。頑張って歩き続けた後の休息は本当に気持ちがいい。このまま明日の朝まで眠りたい気分だ。

目を閉じると色々なことを思い出す。何故だか、楽しかったことよりもうまくいかなかったことをよく思い出す。失敗しては落ち込み、そしてまた立ち上がり、目標目指して一歩一歩前進する。子供の頃からずっとそんな感じの人生だった気がする。

生きることと長距離を歩くことは似ている。何かのゴール、目標に向かって前進する。しかし、その途中には色々なことが起きる。突然の雨、強い風、灼熱の日射等々。それでも前を向いて進む。そして、ゴールした時の達成感が素晴らしいのだと思う。

目が覚めた。まだ明るいが、頭の上にあった太陽はかなり傾いた位置にある。時計を見たらもう夕方の5時過ぎだ!しまった、寝過ぎた。急がないと間に合わない。すぐに起き上がろうとしたが身体が痛い。

何とか起き上がりリュックを背負う。木陰から出て、また一歩一歩と前へ進みゴールを目指す。残り時間はあと約3時間、距離はあと約14km。

[完]


(あと書き)

私は歩くこと(特に長距離ウォーキング)が好きです。でも、30km以上は歩きません(歩けません)し、真夏には朝早い時間に30分程度しか歩きません。なので、当然、「真夏の100kmウォーキング」はフィクションです。世の中には100kmウォーキングの企画がありますが、秋に実施されているようです。ちなみに、愛知県の100km三河湾歩け歩け大会では約70%の参加者が完歩されるそうです(時間は29時間以内)。

長距離を歩くのに適した気温は5℃〜10℃くらいです。天気の良い日で気温が5℃〜10℃程度の場合はポロシャツ一枚で気持ち良く歩けます。セーターを着ていると暑いです。日頃、運動不足の女性でも10km〜15km、男性なら20kmくらいは歩けます。ただ、靴擦れには要注意で、ゆったりめの靴と擦れそうな所の保護(私の場合、薬指と小指にバントエイドを巻きます)が必要です。

ひまわりのイメージは、太陽が照り付ける真夏の暑い日とか、ひまわりの花が太陽に見えるとか、とにかく真夏の暑さの象徴のような感じです。そこで、そんなひまわりのイメージと趣味のウォーキングから話を考えて書きました。

最後に、春に続き夏にも「お花見note」を企画してくれた yucaさんに感謝します。ありがとうございました。