26歳、人生で初めて告白をした。

タイトル通り、先日、人生で初めて告白をした。
答えは「嬉しいけど、今は待ってほしい」というものだった。

そもそも彼と出会ったのは、お互いが二十歳の頃。
就活を見据えて参加したインターン的なものがきっかけで知り合った。
それから先日の告白に至るまでの約六年間に何をしていたかというと。

まず出会った頃は思わず友だちにも「今まで出会ったなかで一番タイプな人と会った!」と報告してしまうほど、彼のことが気になっていた。
そのインターンは長期に渡るもので、実際に参加者が集まるのは二か月に一度とかそれくらいのペースで、決して頻繁ではなかった。
だから何かと理由を付けては食事に誘っていたし、ずっとメッセージのやり取りをしていた。

彼もそれを嫌がるような素振りは無かったし、どこかでこのまま付き合うことになるだろうと予想していたし期待もしていた。

だけど彼はその翌年に一年ほどの海外留学を控えていた。
そうなると例え彼と付き合ったとしても、一番不安で一番支えてほしいと思っていた就活の時期を離れて過ごすことになる。
それに私が一年先に社会人になることになる。

今思えばそれくらいなんとかなるような気もするけれど(一年間会うこともできないような遠距離恋愛は今でもキツイかも)、当時の私にとっては大問題で、まだ告白もされてないししてもいないのにずっと頭の隅にあった。

そして結局、大きなきっかけは無かったのだけれど、何故か私の気持ちが冷めてしまって一緒に出掛けたり連絡を取ったりすることも無くなり、少し険悪な関係のまま疎遠になってしまった。

そのあとSNSで彼が留学へ出発するというのを見かけて、応援のコメントを送り、一先ずの仲直りはした。

次に再会したのは約2年後、22か23歳の頃。

その頃の私は人生のどん底に落ちる途中くらいにいた。
新卒で就職した会社を一年足らずで辞め、転職した先が合わなかったのだ。

初めての職種だったのだが、周りの社員たちも忙しすぎて新人に教育する暇もなく、質問すれば怒られ自分で考えて進めても怒られ、先輩は気分屋で、朝は早くて夜は遅く、残業も月100時間ほどあった(しかも一部は給料が支払われなかった)。

クタクタでとにかく支えが欲しくて、どちらが先に連絡をしたのかは覚えていないが、私は毎日彼に電話をしていた。
会社から最寄りの駅までの真冬の徒歩20分間、毎日電話に付き合ってもらっていた。

お互いに付き合っている人もいなかったからまた食事をしたり出かけたりするようになった。

同時期に私は体調を崩して2社目の会社を退職し、無職となった。
そして彼が卒業旅行で海外へ出かけているときに、私の叔父が事故に遭って意識不明になり、そして遂には私の誕生日のまさにその日に息を引き取った。

それがとてつもないインパクトだった。
叔父の死がとどめの一撃となって遂にどん底へ落ちた。

大学を卒業してから一年も経たない間に会社を二社も辞め、他の同級生みたいに社会人としてまともに働くこともできない私なんて死んでしまったほうがいいと考えたこともあった。

だけど叔父が亡くなったとき、悲しみ、途方に暮れる家族の姿を見て、それから自分も信じられないほど悲しくて辛くて、家族にこんな想いを二度とさせたくないし、させられないと思った。

どうしてまともに働くこともできない私が生きてて、真面目に働いていた叔父が亡くなってしまったのだろうとずっと考えていた。

事故の一報を受けて病院へと走った朝、日中は狼狽える家族を後目に私は落ち着いていたというか、たぶんパニックにすらなれない状況だったのだけれど、夜になったら急にすべてのことが恐ろしく覚えて心細くなってしまって、彼に電話をしたけれど繋がらなかった。

ヨーロッパにいる彼は出歩いている間はスマホが繋がらない状態だし、そもそも時差が大きくてタイミングが合わなかった。

そのあとメッセージで叔父が昏睡状態に陥っていることを伝えて励ましても貰ったけれど、不安は消えなかった。

そして叔父が亡くなり葬儀なども終わって、一旦落ち着いた頃に彼が帰国して会うことになった。葬儀が終わってからの私はやけに落ち着いていたのだけれど、状況を知っていた友人や彼に慰められるたびに何故か苛立ってしまっていた。

結局会っても冷たい態度を取ってしまって、再び疎遠になってしまった。

叔父の死の約三か月後にようやく私は再び社会に復帰する決心がついて、今も勤めている会社で派遣社員として勤務することになった。
慣れるまでは大変な思いもしたけれど、何より「普通に働けている」ということが嬉しかったし充実感もあり、更には自分を肯定することができたので、彼に復帰の報告をした。

そして叶うならばもう一度前みたいに連絡を取り合ったり、一緒に出掛けたりしたいと思っていた。

だけどそのときにはもう彼には彼女がいて、恋人がいる男性と二人きりで会うのは気まずいし相手に申し訳なかったから会わないことにした。
そして今年の初めになってSNSで彼がプロポーズしたことを知り、これで本当に終わりなんだ、と清々しいようなそれでいて悔しいような思いがした。

もちろんこの六年間、私も恋愛をしようとして、マッチングアプリを使ってみたり友だちの紹介を受けたりして、何人かの男性とデートをしたことはあるけれど、結局上手くいかなくていつもどこか彼のことを忘れきれなかった。

それが恋愛感情なのかは正直今でも分からないのだけど、ずっと心の片隅で元気に過ごしていてほしいな、とか思っていたし、付き合わないにしても近況報告ができるような関係になれたらいいのにとも思っていた。

そして最近、再び、というか三度なのか何度なのかもはや分からないけれど、また再会をした。

きっかけは私が社内で異動になり勤務地が変わることをSNSにアップしたら、彼がメッセージをくれたのだ。
ポストするときには彼が見ていることなんて一切意識していなかったし、結婚してしまったのだからもういい加減終わったのだと自分のなかで線を引いてもいたから驚いた。

でもよくよく聞いたところ、彼はプロポーズをした相手と破局していた。
そしてお互いの近況報告を兼ねて会うことになり、およそ三年ぶりに再会した。

ものすごく緊張して要らないことをペラペラと話してしまったのだけど、その一方でふとした仕草とか言動が懐かしくて、胸が詰まって堪らなかった。並んで歩いて話しているだけで、ちょっと泣きそうになるくらいだった。

付き合うとか付き合わないとかに関わらず、一度自分のこの六年間の気持ちを伝えておきたいとも思った。
そうでなければ一生引きずり続けるような気がして。

そして先日、遂に告白をしてしまった。
六年間思い描いていたようなことばにはできなくて、ぐだぐだだったけれどなんとか言えた。
初めて会った頃から好きだったことと、正直今も忘れられていないこと。

顔から火が出るとはこのことか、というくらい顔が熱くて変な汗が大量に出た。
目を見られなくなった私に、彼はちょっとはにかみながら「嬉しい」と言った。彼も出会った当初は私のことを好いてくれていたとも。
だけど答えは「今は待ってほしい」だった。

彼の今の状況を考えても「NO」か良くても「考えさせて」という答えになるだろうと予想していたし、私も焦っているわけでもなかったらそこまでのショックは受けなかった。

あったのは「やっと言えた!」という達成感と解放感のようなもの。
本当にすとんと落ちるところに落ちたような、ちゃんと線を引くことができたような気がした。

今も彼の答えを待っている状況だけれど、よくよく考えた結果に振られたとしても、(落ち込むだろうけれど)それはそれで良いような気がする。

自分からちゃんと想いを伝えられたことが何より一番大きい。
生まれ変わるというと大げさすぎるけれど、新しいチャプターが始まったような感じはする。

もし振られたとしても、これでようやく次の人と出会えるような気がする。
もし振られたとしても、経験値は獲得できたような気がする。

だからとりあえず今は、偉いぞ私!と言いたい。


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