記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

『そして、バトンは渡された』感想文

なんだかんだと読む機会を逸していたのだけれど、たまたま時間ができて目に入ったので読むことにした。
実は瀬尾まいこさんの作品自体が初見です。

読みやすい文章だな、というのが最初の感想だった。
最近、東野圭吾さんの作品を読みやすいからという理由でよく読んでいるんだけど、同じくらい読みやすいかも。
そして、主人公の優子が「小説の主人公」で「高校生」ならば心乱されそうな場面も淡々と処理していくので、読んでてストレスのない小説だったな。
読んでいる方も大きく心かき乱されることなく、静かに優子の人生を追いかけている気持ちだった。

いや、ただ唯一梨花とは相容れねぇ……想い想われていた実父からの手紙を隠すな~~~~!!!!!????
梨花が手紙を隠したくなる気持ちもわかるし、大人になった優子はそれを受け入れているし、特段その手紙が改めて見つかったからといって大きく話が動くわけではないんだけど、それでも水戸秀平の気持ちを思うと吐きそうになるよ。
もちろん同じ思いを優子もしていたけど、帰ってこない手紙に諦めをつけて、最後の手紙を出す時どんな気分だったんだろうな。
結婚式に出られてよかったね…。幸せになれよ、秀平…。

優子の父となった人は誰もかれも良き父親であろうとしてくれたけど、森宮壮介はその中でも特にその意識が強かったように思う。
ずれているところもあるけれど、それも優子を思ってのことだし、優子を思ってのことだと優子自身もわかっている。いい関係だ。
一生「父」と呼ぶことはなくても優子にとっての「森宮さん」は唯一無二の呼びかけだもんね。義娘より先に義息子にお父さんと呼ばれる男。
ずっと優子の視点で進んでいた物語が、最後に彼の視点になってタイトル回収するの綺麗な流れだったな。滅茶苦茶メディア映えしそう。

水戸秀平、祖父母、梨花、泉ヶ原茂雄、森宮壮介、みんな違った形で優子を慈しんでいたのが優子の視点からでもわかって、いいお話だった。
彼らの親愛を受け止められる優子もいい子だ。
早瀬もおもしれー男…なので、これからの人生も楽しく暮らせることでしょう。
というか家族の形というものに優子が全然こだわりがなさそうだし、早瀬も早瀬で家庭というものにたったひとつ腰を据える男でもなさそうなので、もし離婚することになってもお互い納得して爽やかに別れそう。
結婚式で終わる作品で離婚の話すな!!!?

読みやすかったから瀬尾さんの別作品も読んでみよ~。

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,685件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?