晴れのち猫

朝、顔を洗ってふと外を見ると太陽光が私の目を刺す
きょうは晴れかと思った刹那
天気予報が晴れのち雨の音色を奏でる
折り畳み傘をカバンに投げ込みドアを開ける

昼、雲が私の所へやってきた
嬉しいような、そうでもないような
アスファルトが雨の香りを放ち始める
公園の木はパタパタと雨に打たれ歌う
私は傘を広げた
ふと
パキッと音がして
枝が落ちてくる、私のすぐ横に落ちる
驚いて足を止める

雷の唸り声だろうか
ごろごろ
雨足も強まってきたようだ
しゃあしゃあ
落ちてきた枝を眺めていると
猫が降ってきた
1匹降ってきた
私はまた足を止める
また1匹ふってくる
私は少し前に進む
次から次へと猫が降ってくる
私は駆け足で駅に入った
外では猫が降り続けている

とうとう猫は降りやまなかった
やがて水は全て猫となった
猫が川を流れている
猫が湖を満たしている
猫が海で波打っている
噴火した山は猫を吐き出し
植物は猫を吸って育つ

全ての水が猫になると、猫は止んだ
しばらくして、猫は蒸発を始めた
猫は空気となり
動物は全て猫を吸って生きている
猫はやがて全ての酸素と入れ替わった

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