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VOCADOL 47

FILE.007 時の館殺人事件(8)

▼MAP007-5 時田坂マンション

(戦闘モード パターン3)

【ディスコード】……敵A
「お待ちなさい!」

【kokone】
「ん、もう。しつこいなあ。あなたたちの相手をしている暇なんてないんだけど」

【ディスコード】……敵A
「覚悟しなさい。今日という今日は生まれてきたことを後悔させてあげるから」

【杏音】
「夜も遅いんで、明日にしませんかあ?」

※戦闘モードに突入

【メルリ】
「ホント、時間の無駄遣い」

(A棟前)

【kokone】
「嘘! ディスコードと戦ってるうちに、夜中の1時になっちゃった!」

【杏音】
「あたし……トイレに行きたいんだけど……」

【kokone】
「たぶん、時田さんもメイさんも寝てるよね。こんな時間に起こすのは非常識だし……どうしよう?」

【メルリ】
「マンションに住んでる人に貸してもらうしかないわね。あの部屋はまだ明かりがついているし、きっと起きてるんじゃない?」

(A棟305号室前)

【kokone】
「ごめんください。夜分遅くに申し訳ありません」

「…………」

「……返事がないね」

「やっぱり、こんな時間に訪ねるのは非常識だったかな」

【杏音】
「あれ? このドア、開くよ。あの……こんばんはあ」

【kokone】
「ちょっと、杏音。勝手に入ったらダメだってば」

▼MAP007-6 時田坂マンションA棟305号室

(玄関口)

【kokone】
「うわあ。壁一面にたくさんのアンティーク時計が飾ってあるよ」

「まるで時田さんのコレクションルームみたい」

【メルリ】
「どうやら、動かなくなった時計を陳列してあるようね」

「ところで、杏音はどこへ行ったの?」

【杏音】
「はあ、すっきりしたあ」

【メルリ】
「……杏音。住居侵入罪で訴えられても、文句いえないわよ」

(リビング)

【kokone】
「……結局、私たちも部屋の中に入っちゃった。神様、ごめんなさい」

【杏音】
「この部屋も時計で埋め尽くされてるよ」

【メルリ】
「それにしても不用心ね。明かりはつけっぱなし、鍵もかけないなんて……」

【杏音】
「あれ? 床になにか落ちてる」

【kokone】
「時計のゼンマイを巻くための鍵だよ、これ」

「どうしてこんなところに? この部屋の時計はひとつも動いていないのに……」

【メルリ】
「この鍵……鳩のキーホルダーがついてる。これって奇跡の鳩時計のゼンマイなんじゃない?」

(ベランダ)

【kokone】
「玄関もそうだったけど、ベランダも段差がまったくないんだね」

「これなら、車椅子の時田さんでも自由に動き回れそう」

【杏音】
「うわあ。広いベランダ。ていうか、これはもはや庭だよね」

「あ、裏口がある。え? ここから外に出られるの? ここ3階だよね? どういうこと?」

(裏口)

【kokone】
「裏口を出てまっすぐ進んだら、B棟――別のマンションのエントランスにたどり着いちゃった」

【杏音】
「え? え? あたしたち3階にいたはずなのに、ここは1階? どういうこと?」

【メルリ】
「そうか。ここのマンションはすべて坂の上に建っているから、こんなふうになってしまうわけね」

図1-1

図1-2

図1-3

【杏音】
「ねえねえ。B棟もひとつだけ明かりのついてる部屋があるよ」

【kokone】
「あ……もしかしたら」

【メルリ】
「kokone。なにかわかったの?」

【kokone】
「あの部屋にも行ってみようよ」

つづく

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