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下手の横スキー88

第88回 小説・雪だるまの怪(前編)

 えっと……すみません。
 今回、原稿を書いている暇がなく、またもや姪っ子(小6)に代打を頼んだ次第でございます(反省)。
「ええ、もうネタがないよお」
 と渋る姪に、
「なんでもいいから書いて」
 とお願いしたところ、なんと小説を書いてきましたわよ、奥様。
 タイトルは「雪だるまの怪」。
 ちょっと長めなので、2回に分けてお届けいたします。
 ってなわけで、まずは問題編をどぞ。

「今年は、本気でスキーをがんばっちゃうぞ!」
 冬休みも、あと三日で終わるというころ。
 S高原へ、スキーをしにやって来た、三人の女の子がいた。
 一人は、遠村真弥。
 ピンクのスキーウエアーを着ているのは、堀野李実。
 最後の子は、冒頭でしゃべった山田麻凜だ。
 三人とも、小学六年生。
 中学を受験する子は、勉強にはげまなければいけないんだけれど、この三人は、まったくやる気ナシ。
 だから、こうやって、のんきにスキーなんて楽しんでる。
 真弥、李実、麻凜の三人は、真弥のお父さんのいとこが経営するホテルに、三泊四日で泊まりにきていた。
 真弥も李実も麻凜も、たった一日で上達し、お父さんから、子供たちだけですべっていいと、お許しがでたので、二日目は、朝からリフトに、乗りまくっていた。
 でも、さすがに、四時ごろになると、つかれたのか、ホテルにひきあげてきた。
 ベッドとテレビが置いてあるだけのシンプルな部屋だけど、ホテルのロビーは、すごく豪華だ。
 部屋割りは、真弥と李実と麻凜の三人で一部屋。
 真弥のお父さんは、一人で一部屋だった。
 部屋へ入り、スキーウエアーをぬいで、ふつうの服に着替えると、それぞれが、自分の好きなことを始めた。
 李実は日記を書き、麻凜はテレビを見て、真弥はホテルのオーナーの娘(つまり、真弥とは、ふたいとこの関係になる)の、香織のところへ遊びに行った。
 香織は、従業員用の部屋にいた。
 部屋に入ると、目をランランと輝かせて、近寄ってきた。
「あ~、真弥ぁ~! ひさしぶりぃ~!」
「うん、ひさしぶり」
 真弥も答える。
 真弥たちの部屋にはない、大きなフカフカのソファーにすわると、香織が口を開いた。
「今年は、真弥の友達も連れて来たんでしょ? どこにいるの?」
「あっ、友達はね、今、部屋にいる。食事するときにでも、紹介するね」
「あっ、そうそう、スキーは、その友達、上手いの?」
「うん。昨日、お父さんに教えてもらってたんだけど、二人とも、スポーツが得意だから、すぐビュンビュンすべれるようになったのよね」
 そして、真弥と香織は、いろんなことを話し始めた。
 話が一段落したところで、香織があらたまって言った。
「あのさ、ちょっと気をつけてほしいことがあるんだけど」
「なに?」
「実は、最近、夜になると、変な人が、S高原をうろうろしてんのよねえ。だからさ、あんまり夜に外を出歩かないほうがいいと思うよ。真弥たちは、ナイタースキーやるわけじゃないしさ。変な人が、暴力事件とか起こさないといいけど。もしさあ、そんなんで、だれかが被害にあったりしたら、ここのホテル、もうからなくなっちゃうかもしれないもんねえ」
「大変なんだね」
「うん。それにねえ、この前、すぐそこで、なだれがあってさあ。たまたま、ナイタースキーをやってた女の人が二人、なだれに、まきこまれちゃって。一人の人は、見つかって、すり傷だけですんだんだけど、もう一人の人は、まだ行方不明だそうなの。そのあとも、けっこうなだれが起きてるそうだからさ、ちょっとこわいよね」
 そして、手をうーんと、のばす香織。
「ただでさえさ、今年は、あんまし雪がふらなくて、お客さんが少ないのに、これ以上、不吉なことがおこったら、赤字になっちゃうよ」
 ふーん、なるほど。
 ホテルのオーナーの娘だと、そんなことにまで気をつかわなくちゃいけないんだ。
 真弥は、がらにもなく感心した。
 部屋へもどると、すぐに夕飯の時間になった。
 食堂へ向かおうとすると、ロビーで、香織に出会った。
 香織に、李実と麻凜を、李実と麻凜に、香織を紹介したところで、李実が言った。
「あそこに盆栽が飾ってあるけど、なんだかすごいねえ。日本のものなのに、洋室にも似合ってるって感じで」
 すると、いつのまにいたのか、香織のお父さんが話にわりこんできた。
「あの松の木の盆栽は、ぼくが手入れをしたんだよ。最近は、あんまりお客さんが来ないから、ちょっとヒマだったんだよね」
「なんで、お客さんが少ないの? こんなに、キレイなのに」
 麻凜の質問に、答えるように、香織が、さっき真弥に聞かせたことを言った。
「ナルホドね」
「そんなことがあったんだ」
 二人が口々に言う。
「うん、それにね、最近、雪だるまが歩くってうわさされてるんだ」
「雪だるまが歩くぅ?」
 真弥も、そんな話は、初耳だった。
「ぼくも見たよ、雪だるまが歩くところ。遠くだったから、よくわからなかったんだけど、あれはたぶん雪だるまだと思うなあ」
 香織のお父さんが言った。
「へえ、不思議なこと、いっぱいおこるんだね」
 麻凜が感心して言う。
「そうなの。今年は、不吉な年なのかもね」
 香織がそう言ったところで、香織のお母さんがやってきた。
「アラー、みんな、こんなところにいたの? もう夕飯よ。早く、食堂へ行ってね。真弥ちゃんのお父さんも、先に来てるわ」
 おなかも、ぺこぺこになっていたから、真弥たちは、急いで食堂まで行った。

 以下、次回に続く!
 急ピッチで書いてもらったから、少々筆が荒れてるみたいですが、まあ、そのへんは大目に見てやってください。
 ……え? なんだか偉そうにいってるけど、おまえがちゃんと原稿を仕上げてれば問題なかったんだろうって? あははははは。笑ってごまかしとけ。
 ゲレンデに出没する謎の男。雪崩に巻き込まれて行方不明となった女性の安否は? そして、歩く雪だるまの正体とは?
 オジサンは、いかにも意味ありげに登場した盆栽が怪しいと思うなあ。実は、雪だるまは地球制服を企む宇宙人で、彼らの陰謀を阻止するために立ち上がったのが盆栽星人だったとか。で、最後は盆栽星人が勝利し、みんなで両手を上げて「ぼんさーい! ぼんさーい!」。……ダメ?
 ま、とにかく完結編を刮目して待て!
「ねえ、かつもく~ん」(花沢さん風に)

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