下手の横スキー38
第38回 愛・スキー博
はあ……。
ごめんなさい。まったくもって元気がありません。
今日中に、この原稿を仕上げなくちゃいけないっていうのに、こぼれるのはアイデアではなくため息ばかり。
原因ははっきりしています。「愛・地球博」が終わってしまったからなんですううううう(号泣)。
どきどきわくわくが山ほどつまった185日間でした。毎日、ネットやテレビで情報を収集し、モリゾー&キッコログッズをせっせと集め、会場へは20回近く足を運びました。
世界中の文化に触れ、様々な人たちと知り合い、自然の大切さを学び、モリゾー&キッコロの可愛さに心打たれ、インド館のアテンダントにひと目惚れし……ホント、夢のような半年間でした。いやあ、それにしてもインド館のお姉ちゃんは可愛かった。
閉幕日は残念ながら会場へ出かけられませんでしたけど、ラジオの生中継でモリコロが「みんな、バイバイ」と森へ帰っていくシーンを聞いて、「帰っちゃやだああああああっ!」と思わず泣き叫んじゃったり。
楽しかった半年間が終わり、僕は抜け殻になってしまいました。立ち直るには、まだ相当な時間がかかりそうです。
今はまだ、万博のこと以外はなにも考えられません。ってなわけで、今回は「『愛・地球博』大特集」(をい)。
いや、これがスキーエッセイだってことは、もちろん承知してますよ。だから、数多くのパビリオンの中から、海外スキーエリアとしてなじみのある国々を紹介していこうと思います。題して、「『愛・地球博』でスキー関連アイテムを探せ!」。
無理矢理な企画だな(汗)。
▼カナダ館
メインショーでは、大スクリーンにカナダの四季が。でも、スキーの映像はほとんどなかったような(うろ覚え)。プレショーの風景が、それを眺めている観客も含めて、大スクリーンの裏側に透けて見えるため、それまでもが作品の一部になっているような、なんとも不思議な印象を受けました。
▼アメリカ館
フランクリンをホスト役に、様々な発明品を紹介。ただ見るだけでなく、途中にいろいろな仕掛けがあって面白かったですね。残念ながら、スキー関連の展示物はナシ。
ちなみに、このパビリオンに展示されていたライトグライダーの実物大レプリカは、セントレア(中部国際空港)に寄贈され、これからも自由に見学することができるそーです。
▼フランス館
天井と四方の壁がスクリーンになったキューブ・シアターがメイン。今回の万博のテーマ「自然の叡智」を、ものすごくわかりやすい形で表現してくれました。奇妙なパフォーマンスを見せる集団や、外国人が記したと思われるヘタウマな文字(誤字も見つけちゃった)など、内容以外にも見どころが多かったかな。ここも残念ながら、スキーに関する展示物はナシ。
▼イタリア館
パビリオンの外壁は、オリンピック関連のパネルで埋め尽くされておりました。トリノオリンピックは来年2月の開催。まだまだ先だと思ってましたけど、あと4ヵ月ちょっとなんですね。楽しみだなあ。
パビリオン内の最大の目玉は、古代ギリシャのブロンズ像「踊るサテュロス」。そのほか、像にじかに触れることのできるコーナーもありました。でも、一番心惹かれたのは、そばに近づくと甘い香りが漂ってくる不思議な自動車。なんと、全面チョコレートでコーティングされていたんです。こっそり舐めてみたかったなあ。
▼スイス館
ポケットランプ(懐中電灯)を改造した音声ガイドを片手に、ミニ・スイスを探索。えらくボロっちい懐中電灯だなと思ったんですが、実際にスイス軍が使用していたモノだと聞いて納得。
スイスの大自然をバックに記念撮影。ハイジの気分は味わえたけど、雪山だったらもっとよかったのになあ。
▼オーストリア館
もっとも雪の世界に近づけたパビリオン。氷の壁にさわったり、ソリに乗って坂道を滑り降りたり。
▼北欧共同館
アイスランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェイ、フィンランドの共同館。初めて気がついたけど、これらの国って、国旗の形がほとんど変わらないのね。
各国に住む一人を取り上げ、その人の持ち物を展示するコーナーは、かなり興味深かったです。スキー用品もありましたが、残念ながらどれもおもちゃみたいなものばかりでした。
▼ニュージーランド館
緑色に光り輝く巨大なヒスイ石が、とにかく美しかったです。じかに触れることもできたので、その感触を存分に楽しみました。円柱形のシアターでは、ニュージーランドの様々な風景を紹介。スキーのアイコンがあったので、喜んでクリックしてみたのですが、うーん、スポーツ全般の紹介で、ほとんどスキーとは関係ありませんでした。
▼オーストラリア館
巨大カモノハシの愛らしさに尽きます。さわり心地もサイコー。現在、オークションに出品されているようですが、果たしてどこに移設されるんでしょうね。興味あります。ここも、スキーに関する展示物はナシ。
以上。
えっと……この企画、失敗だったかも。
さて、ここからは番外編。
▼ボスニア・ヘルツェゴビナ館
ボスニア・ヘルツェゴビナというと、どうしても紛争のイメージがつきまとうんですけど、実は万博会場のすべての建物の中で、もっともスキーの映像を楽しめたパビリオンだったりします。よく考えてみれば、1984年にはサラエボ冬季オリンピックが開催されているんですよね。オリンピック会場となったビエラスニッツァ山の巨大パネルも、壁いっぱいに飾られていました。
正直、目を惹くような展示物はほとんどありません。そのため、パビリオン内はいつもガラガラ。パビリオンというよりは、単なる休憩所と化してましたけど、長椅子に座ってゆったりと眺めるスキー場の風景は、なかなかのものでしたよ。
▼ガスパビリオン
東京ガスや東邦ガスなど都市ガス事業者の団体である社団法人日本ガス協会の出展パビリオン。
展示ホールでは、家庭用燃料電池やエネルギーの有効利用の仕組みについてお勉強。「ガスで冷やそう!びっくりマシーン」から雪が降ってきたのには、マジでびっくりしました。ガスで雪を作ることができるんですね。科学ってすごいなあ。
……ガスパビリオンの紹介で、なんとかスキーエッセイの面目を保ったでしょうか?
さて。
今頃、モリゾーとキッコロはなにをやってるんでしょう?
秋空を見つめながら、センチな気分に浸っている今日この頃。
──お別れではないんじゃよ。ここで出会った自然を愛する人たちの心の中に、わしらはいつまでも住み続けるんじゃ。わしら森の精は、心地よいそよ風として、暖かい木漏れ日として、いつでもみんなに会えるんじゃよ。
モリゾーが最後に残した言葉が、よみがえります。
スキー場でも、モリゾーやキッコロに会えるといいんだけどなあ。
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