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VOCADOL 50

FILE.008 ディスコード消失事件(1)

▼プロローグ

やった! やりました!

私たち、湘南ミュージックカーニバルへの出演が決定したんです!

湘南ミュージックカーニバルといえば、毎年大物アーテイストが多数登場し、3日間で10万人近い観客が訪れる一大フェスティバル。

〈VOCADOL〉はオープニングアクトとして開演前に1曲歌わせてもらうだけなのですが、これは大勢の人に私たちのことを知ってもらうビッグチャンス!

というわけで、私たちは会場の下見を兼ねて、イベント主催者のお偉い様がたに挨拶をしに、湘南の海へとやって来たのでありました。

▼MAP008-1 湘南海岸公園

(サーフビレッジ)

【lily】
「サマー! サン! ビーチ! オーシャン! ああ、波の音が心地いいですね。サイコーですっ!」

【cul】
「はしゃぎすぎだよ、lily」

【鳥音】
「そういえば、lilyの故郷には海がないんだっけ」

【lily】
「エブリバディ! せっかく湘南まで来たのですから泳いでいきませんか?」

【cul】
「まだ6月になったばかりだぞ。さすがに海水浴は無理だって」

【lily】
「でも、泳いでいる人たち、メニーメニーいますよ」

【鳥音】
「あれはサーフィン」

【lily】
「アイシー、アイシー。進化論ですね」

【鳥音】
「それはダーウィン。……え? lily、もしかしてサーフィンを知らないの?」

【lily】
「ホワット? なんですか?」

【cul】
「ほら、あそこにウェットスーツを来た人たちがたくさん集まってるだろ? あの人たちの持っているのがサーフボード」

【lily】
「オー! アイシー! べリベリグッド!」

【鳥音】
「わかった?」

【lily】
「べリベリデリシャスね」

【cul】
「……デリシャス?」

【lily】
「ルックアット! あの人たちの並んでいるお店を見てください」

「あれ、ハンバーガーショップですよ!」

【cul】
「ああ、ホントだ」

【lily】
「アイムハングリー! 急におなかが空いてきました。腹が減っては戦はできぬ。ランチにしましょう! レッツゴー!」

【鳥音】
「ちょっと待って、lily。今日の打ち合わせの内容を、すぐにマネージャーに伝えないと……ああ、行っちゃった」

【cul】
「lilyはハンバーガーに目がないからなあ。仕方ない。ボクらもあの店へ行ってみよう。実際、ちょっとおなかも空いたしね」

(ハンバーガーショップ前)

※ハンバーガーショップは入口と出口が別々になっている。

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【鳥音】
「うわあ。店の外まですごい行列。これ一体、何十人並んでるわけ?」

【cul】
「待ち時間90分だって」

【lily】
「みなさん、こちらです。カムヒア!」

【鳥音】
「まさか、この行列に並んでハンバーガーを食べるつもりなの?」

【cul】
「勘弁してくれよ、lily。ランチを食べるなら、どこか別の場所にしないか?」

【lily】
「アンビリーバボー! このお店のハンバーガーは世界一デリシャスなんだそうです。こちらのサンバさんが教えてくれました」

【鳥音】
「……産婆? その人、どう見ても男性だけど」

【lily】
「ソーリー。産婆さんではなくサーファーさんでした。日本語、ベリーベリー難しいです」

【cul】
「lily、悪いけど90分も待ってられないよ。ここはあきらめて別の店に行かないか?」

【lily】
「ノー! 世界一のハンバーガーと聞いたら、絶対に食べないわけにはいきません」

「ミーはなにがあってもここを離れません。たとえ海が大荒れになっても、悪い人に財布を盗まれたとしても、動きませんからね」

【鳥音】
(財布を盗まれたら、ハンバーガーを買えないと思うけど……)

(戦闘モード)

【ディスコード】……敵B
「こんにちは。奇遇ね。こんなところであなたたちとお会いするなんて」

【cul】
「うわ。そろそろかなと思ったら、やっぱり出てきたよ」

【ディスコード】……敵B
「今日のあたしたちはひと味違いますからね。覚悟しなさい!」

【鳥音】
「仕方ない……戦いますか」

※このバトルは必ず負ける

【ディスコード】……敵B
「ふふ。今日のあたしたちはひと味違うっていったでしょ。申し訳ありませんが、このポーチはもらっていきますよ」

【lily】
「オーノー! ミーのポーチが!」

つづく

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