VOCADOL 06

FILE.002 ５億円盗難事件（３）

▼MAP002-2　世田谷区（承前）

（戦闘モード　パターン１）

【ディスコード】……敵Ｃ
「ちょっと待った。ここから先は行かせないよ」

【ラピス】
「また、あなたたちですか。一体、どういうつもりで私たちの邪魔をするのです？」

【ディスコード】……敵Ｃ
「教えてほしいか？　教えてほしかったら、武器を捨てて両手を上げた状態でこっちへ来るんだ」

【ラピス】
（そんな手にひっかかると、本気で思っているのかしら？）

※戦闘モードに突入。

【ディスコード】……敵Ｃ
「くっ……無念！」

【ラピス】
「先を急ぎましょう」

（三軒茶屋）

【ラピス】
「まどかさんは、この近くのコーヒーショップで働いているそうです」

「ああ、ありました。このお店ですね」

【兼子唯】
「いらっしゃいませ」

「あら、可愛らしいお嬢さんたち。ご注文は？」

【杏音】
「クリームコロネを山盛りで――むぐっ！」

【鳥音】
「アノン。あなたはちょっと黙ってて」

【ラピス】
「まどかさんの先輩の兼子唯さんですね？」

「あの……あなたに尋ねたいことがあってうかがったのですが」

【兼子唯】
「え？　まどかちゃんの家にドロボウが入ったって？　それは大変」

【ラピス】
「犯人はまどかさんのことをよく知っている人だと思われます。どなたか心当たりはありませんか？」

【兼子唯】
「うーん。まどかちゃんって、あんまり自分のことを話したがらないからなあ」

「友達のこととか彼氏のこととか、あたしほとんど知らないんだよねえ」

【鳥音】
「ラピス、この人なにか隠し事をしているみたい」

【ラピス】
「え？　どうしてわかるの？」

【鳥音】
「わたしの勘」

「持ち物を調べさせてもらってもいい？」

【兼子唯】
「ええ、どうぞ」

【ラピス】
「これは、コンセントの差し込み口を増やすタップですよね？」

「どうして、こんなものを持ち歩いているんですか？」

【兼子唯】
「どうしてって……だって、便利でしょ？　スマホにパソコンに携帯ゲーム機……充電したいものは山ほどあるもの」

【鳥音】
「残念。５億円は持ってないみたい」

【ラピス】
（そもそも５億円ってポケットには入らないと思います）

※ひととおり調べ終わったら

【ラピス】
「これ以上、調べることはなさそうですね。では、事件現場となったまどかさんのお宅を訪ねてみましょう」

▼MAP002-3　コーポ凡美102号室

※結城まどかの自宅内をひとつのマップにできるのであれば、この先は別マップでの進行。

（玄関口）

【結城まどか】
「どうぞ。ここがあたしのお城」

【鳥音】
「ねえ、ラピス。ずいぶんと小さな部屋だけど、この人、本当に５億円なんて持ってたのかな？」

【ラピス】
「しーっ！　まどかさんに聞こえますよ」

（でも、カノンさんのおっしゃるとおり、お金持ちのかたのお部屋には見えませんね）

「では、いろいろと調べてみましょうか」

（押入れ）

【ラピス】
「金庫がありますね。扉は開いたままで、中身は空っぽですけど、ここに５億円をしまっていたのでしょうか？」

【結城まどか】
「うん。金庫は８桁の暗証番号を打ち込まなければ開かない仕組みになってるの」

「暗証番号はあたし以外誰も知らないわ。一体、誰が開けたのかしら？」

【ラピス】
「こじ開けられた様子もありませんね」

【鳥音】
「バカだよね。銀行に預ければ、こんなことにならなかったのに」

【杏音】
「……金庫って、なんとなく形が食パンに似てるよねえ」

（こたつ）

【ラピス】
「こたつって、最近はあまり見かけませんよね」

【結城まどか】
「あたし、人一倍寒がりだから、こたつとストーブがないと生きていけなくって」

【鳥音】
「ホントだ。こたつの横には電気ストーブまで置いてある」

【杏音】
「ストーブとフレンチトーストって、なんとなく語感が似てるよねえ」

【ラピス】
（全然、似てないと思います）

（ラック）

【ラピス】
「テレビとビデオデッキが置いてありますね。テレビは電源が入ったままになっています」

【杏音】
「パンのコマーシャル、やってないかなあ？」

（壁）

【ラピス】
「壁はかなり分厚いですね。隣の部屋に音が漏れることはないと思います」

「あ。コンセントの差し込み口がふたつありますね。上の差し込み口にはテレビのコンセントが繋がっていますが、下の差し込み口は空いたままです」

【鳥音】
「室内を見回したところ、ほかにコンセントの差し込み口はないみたいね」

【結城まどか】
「ああ！　ビデオデッキのコンセントが抜けちゃってる！」

「昼ドラの録画に失敗しちゃったかも」

【杏音】
「コンセントとコーンブレッドって語感が似てるよねえ」

【ラピス】
（全然、似てないと思います）

つづく