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CASE59 TVプロデューサー殺人事件《問題編》

「警部、事件です!」
 相も変らぬワンパターンで、黒田刑事が銭山警部の住むおんぼろアパートへと駆け込んでくる。ここまで前回のお話の冒頭部分をそのままコピぺしちゃってるけど、そんなことは黙っていれば誰にもわからないのであった。うわははは。
「大日本テレビに勤務する鵜飼義良(うかい・よしよし)が、局内の第一スタジオ内で何者かに撲殺されました」
「あらま。鵜飼ちゃんといえば、視聴率三十パーセントを誇る人気番組《なんでもチャレンジ!》の名物プロデューサーじゃない。で、容疑者は?」
「鵜飼プロデューサーは、《なんでもチャレンジ!》の収録中に殺されたようですね。スタジオの出入り口は厳重に警備されていたため、外部からの侵入は絶対に不可能。プロデューサーを殺すことができたのは、そのときスタジオ内にいた三人だけだったと推測されます」
 手帳をめくりながら、黒田刑事はさらに続けた。
「カメラマンの鳥捲英雄(とりまくり・ひでお)、アイドル歌手の恩地ララ(おんち・らら)、女優の宇津櫛麻里亜(うつくし・まりあ)。この三人の誰かがプロデューサーを殺したことは間違いありません」
「収録中なのに、たったそれだけしかいなかったの?」
「この日は恩地ララと宇津櫛麻里亜にコーヒーをたらふく飲ませ、どちらが長くおしっこを我慢できるかを競わせていたそうで――
「なんてくだらない企画なの! でも、そーゆーのキライじゃないわ」
「お漏らしする姿を大勢のスタッフに見られるのはイヤだと恩地ララがいうので、プロデューサーとカメラマン以外は、スタジオの外で待機することになったのだとか」
「なるほど、そういうこと。……で、我慢対決はどっちが勝ったの?」
「恩地ララは開始三十分でお漏らししてしまい、宇津櫛麻里亜が勝利を収めたそうです」
「ということは、犯人は恩地ララかしら。恥ずかしい思いをしたという恨みが、鵜飼ちゃん一人に向いてしまったのかも」
「考えられますね」
「ほかの人にも鵜飼ちゃんを殺す動機はあったのかしら?」
「最近になって激太りした宇津櫛麻里亜は、太ったことを指摘されると、キレてなにをしでかすかわからなかったそうですが」
「あらら。鵜飼ちゃん、うっかり『デブ』とか口にして、彼女を逆上させちゃったんじゃないでしょうね?」
「いえ。鵜飼プロデューサーは、出演者やスタッフたちがどんな大きな失敗をしても、絶対に文句や悪口をいわないことで有名だったそうですよ。カメラマンの鳥捲さんは、今回の撮影でテレビカメラにテープを入れ忘れるという大失態をやらかしたのですが、そのときもプロデューサーは決して怒らず、落ち込む鳥捲さんをあることわざを使って励ましたそうですし」
「わかったぴろぴろぴろぉん。ぜにーちゃん、あったまいいぃぃぃぃぃ」
 黒田刑事の言葉がきっかけとなったのか、銭山警部は突然大声を張りあげた。
「なるほど。そういうことなら、犯人はあの人で間違いなさそうね」

《ぜにーちゃんからの挑戦状》
 名物プロデューサーの鵜飼ちゃんを殺した犯人は誰だったのかしら? そして、その動機は? あなたも推理してみてね。うふ。

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