VOCADOL 13
FILE.003 ラピス誘拐事件(6)
▼MAP004-3 中部国際空港
(中部国際空港)
【cul】
「マネージャーの許可はもらってきたよ」
「さあ、MIZKI。宮城と福岡。ラピスはどっちにいるんだ?」
(二者択一で移動)
(仙台空港行きゲート)
【cul】
「ラピスが宮城にいるって、どうしてわかったんだ?」
【MIZKI】
「ベランダに設置してあったBSアンテナよ」
「拡大された写真を見たら、パラボラアンテナの取り付け角度が35度になっていたの」
「今日ね、ちょうどlilyとBSアンテナの話をしていたところだったのよ」
「アンテナの取り付け角度ってね、北へ行くほど大きくなっていくものなの。東京は38度だから、福岡ならそれよりもさらに大きい角度のはずでしょう?」
【lily】
「ドンウォーリー。MIZKIの推理、間違ってないです」
「今、マネージャーから連絡がありました。宮城県柴田郡川崎町のシンボルはカモシカだそうです」
「マンホールに描かれていた動物もカモシカでしたよね?」
【MIZKI】
「引き伸ばした写真から、監禁場所の向かい側にある建物が中学校だってこともわかったし」
「さあ、出発よ」
――ライブ開始まであと5時間。
(福岡空港行きゲート)
【cul】
「本当にこっちで合ってる? もう一度、じっくり考えたほうがよくない?」
【MIZKI】
「え……ええ」
(引き伸ばした写真にヒントがあることはわかっているんだけど)
▼エピローグ
(久屋大通公園)
仙台空港に到着したあとはとんとん拍子。
川崎町にある中学校は2つだけだったので、ラピスが監禁されていたアパートもすぐに見つけることができました。
私たちが助けに来たことに気づいたのか、ラピスを襲った敵の姿は、もうどこにもありませんでした。
大急ぎで名古屋へ引き返し、私たちはライブ開始20分前にステージに到着。
無事にライブを終わらせることができたのです。
ライブは大成功。
ずっと監禁されていて、身も心もくたくたなはずなのに、ラピスはいつもと変わらぬ笑顔で、見事なパフォーマンスを見せてくれました。
残念ながらあと一歩のところで優勝は逃してしまいましたが、誰もがさっぱりとした表情を浮かべています。
お客さんの幸せそうな笑顔を間近に見ることができ、もうそれだけで私たちは満足だったのです。
ステージから戻ってくると、楽屋に大きなバラの花束が置いてありました。
マネージャーの話によると、いつの間にかそこに置いてあったそうです。
あたりに漂うバラの花の甘い香りに、私は愕然としました。
地図おたくのお姉さん、コーヒーショップのウェイトレス、カメラショップの店員さん。
今日出会った3人の女性からも同じにおいがしたことに、ようやく気づいたのです。
あの3人のおかげで、私たちはラピスを助け出すことができたわけですが……よくよく考えてみると彼女たち、身長もスタイルもそっくり同じだったような気がします。
そうだ。ピアスの形まで。
もしかして……全員、同じ人?
ライブのあと、私はコーヒーハウスとカメラショップを訪ねたのですが、どちらのお店でも、そんな店員はいないといわれてしまいました。
……あの人は一体、誰だったのでしょう?
そして、いつも私たちを邪魔する謎の女性たちが、ラピスを誘拐した本当の目的は?
私たちは首をひねりつつ、東京へと戻ったのですが、さて。
TO BE CONTINUED……
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