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下手の横スキー37

第37回 数字クイズ

 さて、皆さん。今日は算数のお勉強をいたしましょう。
 では早速、問題です。
『47、191、365、2000』
 これらの数字に共通していることとは、一体なんでしょう?
「はーい、先生!」
 ススム君、元気に手を挙げてくれましたね。では答えをどうぞ。
「えーと、えーと……3サイズ?」
 誰の3サイズですか? バスト47、ウェスト191、ヒップ365って、どーゆー体型なんだか、先生まったく想像できません。すでに人間の形、してないぢゃん。大体、最後の2000はなに? 足のサイズか? 馬場でもそれほどでかくねーよ。
 あ……ごめんなさい。ススム君があまりにもお馬鹿な解答をするものだから、先生、ちょっと我を見失っちゃいました。ほかにわかる人、いますかあ?
「先生、私、わかりまーす!」
 ではミドリちゃん、どうぞ。
「夜な(47)夜な、人を喰い(191)、山麓(36)でゴー(5)ゴー踊る、に(2)やけた先(千)生」
 誰が語呂合わせして遊べっていいました? ゴーゴーって、いつの時代の人間ですか? 大体、先生は人を食べたりしませんよ。
「若くてかっこいい男なら?」
 喰う、喰う。どれだけだって喰ってやるっちゅーの。じゅるり。
 ……あ。
 じょ、冗談です。皆さん、ドンびきしないように。え、えっと、では正解を発表しますね。『47、191、365、2000』──これらはすべて、スキー場の名前として使われている数字でした。
 まずは、『365』から説明していきましょうか。これは福井県にある『今庄365(さんろくご)スキー場』です。『365』と聞いて、まずなにを思い浮かべますか? はい、ヒロシ君。
「この前、お父さんに教えてもらいました。夜中にお母さんとプロレスごっこをするとき、その技が365手もあるんだそうです」
 はい、違います。お父さん、オリジナルの技を持ちすぎです。ヒロシ君。今度、先生にお父さんを紹介してくださいね。
 皆さん。『365』といえば、1年365日ですね。そう。『今庄365』は、「年中楽しめる」という意味で、この名前がつけられたんだそうです。さらに、国道365号線のすぐそばにスキー場があることも、由来のひとつになっているんでしょうね。
 続いて『2000』。これは長野県にある『アサマ2000(にせん)パーク』です。『2000』と聞くたびに、「♪愛は~どこから~やって来るのでしょう~」と思わず口ずさんでしまうのは、先生だけじゃありませんよね? ホント、愛ってどこからやって来るんでしょう。先生、かなり深刻に悩んでます。
 ちなみに、台湾ラーメンが美味しいのは「味仙(みせん)」です。え? ローカルネタすぎてわからない? ちっ。これだからガキは困るぜ。
 ……ごめんなさい。先生、ちょっと風邪気味なんです。ときどき、うわごとをいってしまうかもしれませんが、許してくださいね。
 さて、この『アサマ2000』の名前の由来、わかりますか? 西暦2000年にオープンしたとか、国道2000号沿いにあるとかいうわけではありませんよ。
「…………」
 皆さん、先生がボケたら、ちゃんとツッコンでくださいね。そうじゃないと、先生、ものすごく寂しくなっちゃいますから。この場合の正しいツッコミは「国道2000号なんてあるかあっ!」です。さあ、みんなで声をそろえていってみましょう。
「…………」
 ま、まあ、いいです。
 えっと……実は、『アサマ2000』のある高峰高原の標高が2000メートルだから、このような名前になったんですね。
 はい。さくさく進行しましょう。お次は広島県にある『八幡(やわた)高原191(いちきゅういち)スキー場』。八幡だけに、頭と尾が8つに分かれた大蛇が、雪の下あたりにひそんでいたりして。その名もヤワタノオロチ。あはっ。あははっ。
 あれ、サチコちゃん。どうしたの? 気分でも悪い? あ、どこ行くの? 保健室? あら、そう。ゆっくり休んでらっしゃいね。
 えっと、どこまで話しましたっけ? ああ、『八幡高原191』の名前の由来ですね。ここは『今庄365』と同様、国道191号線の近くにあるから、そう名づけられました。それ以上の意味はないみたいです。
 『今庄365』のように、『191』という数字に別の意味を持たせられればいいんですけどね。うーん、なにかないかなあ。国道193号線沿いにあったら、一休さんをイメージキャラクターにして、あれこれ戦略を立てることもできたんですけどね。イメージソングはもちろん、「♪好き好き好き好きスキー好き~」。え? その駄洒落、以前にも使っただろうって? いいんです。今はリサイクルの時代なんですから。お願いだから、男もリサイクルしてええええっ!
 あら、ミチル君も気分が悪いの? 保健室へ行ってらっしゃい。
 ……さて最後に紹介するのは、長野県の『HAKUBA47(フォーティーセブン)ウィンタースポーツパーク』。「よんなな」ではなく、「フォーティーセブン」と呼んでくださいね。
 天下は余のものじゃあああっ! なーんていってみちゃったりして。 あ、ちなみにこれは「皇帝気分」ね。
 あれ、マユミちゃんはトイレ? おしっこは無理したら身体に悪いもんね。はい、いってらっしゃい。
 さて、『HAKUBA47』の話に戻りましょう。『47』という数字には、「4seasons 7days」という意味がこめられているんだそうです。つまり、「年中いつでも遊べるよ」ってことですね。実際、夏場はマウンテンバイクやインラインスケート、キャンプ、トレッキングなどを楽しむことができるんだそうですよ。
 と、こんなふうに説明すれば、ほとんどの人が「なるほど」と納得するでしょう? でも実は、『47』という数字には、もうひとつ、別の意味が隠されているんです。先生も、つい最近までまったく知りませんでした。しかしこれを聞いたら、むしろこちらのほうが『HAKUBA47』と名づけられた真の理由であるような気がしてきますよ。
 白馬方面へ出かけたことのあるスキーヤーならおわかりだと思いますが、『HAKUBA47』は、『白馬五竜スキー場』と『白馬八方尾根スキー場』に挟まれています。『五竜』も『八方』も歴史のあるスキー場ですが、『47』は、スキーバブル期にできた比較的新しいスキー場なんですよね。
 このスキー場の経営者は、きっとものすごく謙虚な人だったんでしょう。うちは五竜ほど立派じゃないから『四竜』。また、八方ほど規模も大きくないから『七方』。だから、『四竜七方』で『47』だ! ということで、『HAKUBA47』になったのだとか。あくまでも噂話なので、真実かどうかはわかりませんけどね。
 でも、だったら、『HAKUBA67』にしてくれたほうが、数字が「5、6、7、8」と並んでキレイだったのになあ、と先生なんかは思っちゃいます。『67』に無理矢理意味をつけるなら、えーと……「6(ろく)でも7(な)いスキー場」。いや、それじゃあダメだ。えーと、えーと、『滑っていて、6(む)7(な)しくなるスキー場』。これもダメか。あ、念のためフォローしておきますけど、『HAKUBA47』はバリエーションも豊富で楽しい、とても素敵なスキー場ですからね。
 まだもう少し、時間が残っているみたいですね。おまけとして、北海道の『スノークルーズ オーンズ』も紹介しておきましょう。どこに数字が入ってるんだよ? と思われる人もいらっしゃるかもしれませんが、ほーっほっほっ、ミーのようなブルジョアには簡単にわかるざんすよ。おフランスでは、数字の『11』のことをオーンズというざんす。
 とにかく、とことんまで『11』にこだわったスキー場なんです。毎年、オープンは11月11日。ナイター営業は午後11時まで。毎月11日は「オーンズデー」と称して、4時間券が1500円の特別プライス。どうせなら、価格も1111円にしてくれればカンペキだったのに、さすがにそれは無理だったみたいですね。
 あ。今、突然思いついたんですけど、このスキー場って、本格ミステリの舞台に使えそうじゃありませんか? 『オーンズ』に集まった11人。そこで起こる連続殺人事件。遺体の傍らには、必ず『11』のメッセージ。犯人はなぜ、『11』にこだわるのか? 逃げまどう彼らの前に、突如現れた11匹の巨大竜。その名も「じゅういちドラゴンズ」!
 いつの間にか、ファンタジーになっちゃったけど、これ、ベストセラー間違いなしよね。ね、ね、みんなもそう思うでしょ?
 あら? いつの間にか誰もいない。みんな、どこへ行っちゃったの? おーい、かんばーっく!

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