見出し画像

VOCADOL 16

FILE.004 飛べない白鳥殺人事件(3)

▼MAP004-3 ホテルおおきに12階

(エレベーター前)

【葛城ナオ】
「あら。さっきのお嬢さんたち。こんなところで一体、なにをやっているのですか?」

【kokone】
「あ。フロントのお姉さん。ごめんなさい。事件のことが気になって……」

【葛城ナオ】
「勝手に入ったらダメじゃないですか」

「……なーんてね。私も同じです。事件のことをもっと知りたくて、こっそり調べに来ちゃいました」

【メルリ】
(ちょうど、いい。彼女に案内してもらいましょう)

(さて、どこへ向かおうかしら)

※(非常口)(通路)(スイートルーム)から任意に選択

(非常口)

【メルリ】
(通路の突き当たりは非常口ね)

(スワンはここから外に飛び出して、地面に叩きつけられたそうだけど)

【lily】
「ドアに赤文字で《危険! 立入厳禁》と書いてありますね」

【kokone】
「近づかないほうがよさそう。なにが起こるかわからないし」

【メルリ】
(あれ? このドア、ロックされていない)

(もしかして、簡単に開けられるんじゃない?)

【kokone】
「ちょっと、メルリ! なにをするつもり? 開けたらダメだってば!」

【lily】
「アイキャントビリーブ! なんですか、これ? ドアの外にはなにもありません。一歩踏み出したら、そのまま地面へまっさかさまじゃないですか」

【メルリ】
「このドアは一体、どういうことなの?」

【葛城ナオ】
「ああ、それ。もともとは非常階段が設置されていましたが、老朽化が進み、危険だからと半年前に撤去されたんです」

【kokone】
「だけど、これじゃあさらに危険じゃない?」

【葛城ナオ】
「ドアが開かないよう、しっかり施錠した上にドアノブまではずされていましたし、《危険! 立入厳禁》の貼り紙もしてありましたから、客が誤って開ける心配はなかったのですが……」

【メルリ】
「でも実際に、人が転落して死んだわけよね?」

【葛城ナオ】
「ドアの鍵はペンチのようなもので破壊されていたそうです」

【メルリ】
(…………)

【葛城ナオ】
「ほかに調べたいところはありませんか? 案内しますけど」

【メルリ】
(さて、どこへ行こうかしら)

(通路)

【kokone】
「スイートルーム前の通路に来たけど……うわあ。荷物がいっぱい」

【葛城ナオ】
「今夜のステージで使う予定だった小道具です」

【lily】
「こちらにはバケツに入った花束がたくさん置いてあります」

【葛城ナオ】
「それは、ホテルに届いたファンからの贈りものです。枯れないよう水に浸けておいたのでしょうね」

【kokone】
「あ。今夜のライブのポスターも貼ってある。あれ? でも、どうして横向きに貼りつけてあるんだろう?」

【メルリ】
(しかも、ところどころ赤く塗りつぶされているみたいだけど……どういうことかしら?)

画像1

【葛城ナオ】
「ほかに調べたいところはありませんか? 案内しますけど」

【メルリ】
(さて、どこへ行こうかしら)

(スイートルーム)

【葛城ナオ】
「ここがスワンさんの泊まっていたスイートルームです」

【メルリ】
「スワンだけ? ほかのメンバーは泊まっていなかったの?」

【葛城ナオ】
「ウルフさん、ウサ美さん、ハム子さんの3人は、10階のエコノミールームにお泊まりになりましたので」

「メンバーの中でも、リーダーのスワンさんだけはやはり特別扱いだったみたいですね」

【lily】
「テーブルの上にお酒の空瓶が何本も置いてあります。ゆうべはたくさん飲んだみたいですね」

【葛城ナオ】
「夜遅くまで、メンバー全員集まって、今夜の打ち合わせをしていたと聞いています」

「午前1時過ぎに解散し、ほかのメンバーはそのまま自分の部屋に戻ったそうです」

「それからわずか2時間後にスワンさんが自らの命を絶つなんて、誰も思わなかったみたいですね」

【メルリ】
「室内の窓は開けることができないのね」

【葛城ナオ】
「はい。以前、誤って窓から転落したお客様がおりまして。それ以降、すべての部屋の窓をはめ殺しにしています」

【kokone】
「あれ? エアコンの設定温度が32度になってるよ。電源が切れてるからいいけど、このままオンにしたら、部屋が蒸し風呂になっちゃいそう」

「どうして、こんな温度に設定されてるんだろう?」

【メルリ】
(……なにかひっかかるわね)

【葛城ナオ】
「ほかに調べたいところはありませんか? 案内しますけど」

【メルリ】
(さて、どこへ行こうかしら)

※すべてを調べ終わったら

【メルリ】
「ここで調べることは、もうなさそうね」

「次は、スワンの落下した現場へ行ってみましょう」

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?