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VOCADOL 38

FILE.006 未来のスーパースター殺人事件(9)

▼MAP006-5 目樽体育学園(承前)

※(プール)(グラウンド)(競輪部 部室)(トレーニングホール)(食堂)(大広場)(学長室)(会議室)から選択

(グラウンド)
(競輪部 部室)
(トレーニングホール)
(食堂)
(大広場)
(学長室)
(会議室)

【cul】
「こんなところへ来てどうするつもり?」

【ラピス】
「えーと……ちょっと勘違いしちゃったみたいです」

(戦闘モード パターン3)

【ディスコード】……敵D
「お姉さんたち、遊びましょ」

【杏奈】
「じゃあ、かくれんぼでもする?」

【ディスコード】……敵D
「ううん。もっと楽しい遊びがいいなあ。殺し合いとかどう?」

【杏奈】
「笑いながら恐ろしいことをいうよね、この人……」

※戦闘モードに突入

【杏奈】
「ああ、もう。こんなことしている場合じゃないのに」

(プール)

【cul】
「こんなところへ来てどうするつもり?」

【ラピス】
「一連の放火事件ですが、大きく2種類に分けることができると思いませんか?」

【杏音】
「……どういうこと?」

【ラピス】
「ゆうべのトレーニングホールと先ほどの旧校舎が燃えた事件では、ガソリンを染み込ませた古雑誌が使われました」

「でも、それまでの放火事件ではガソリンなんて使われていなかったと思います。もし使っていたら、もっと大きな火事になっていたでしょうから」

「そう考えると、昨日今日で起こった2つの事件と、それまでの放火事件はかなり状況が異なるのがわかります」

「火事の起こった場所にしてもそうです。これまではわりと人どおりの多い場所が狙われていましたが、昨日と今日は違いますよね? 人の少ない場所で火事は起こっています」

【cul】
「ラピスのいいたいことがわかってきたよ」

「最近2件の放火と、それまでの放火では犯人が違うってことだろ?」

【ラピス】
「そうです。ゆうべの火事は、連続放火魔に殺人の罪をかぶせるために行なわれたのでしょう」

「トレーニング中に放火魔と出くわした鞍馬さんが、犯人を取り押さえようとして逆に殺されてしまった、と私たちに思わせるために」

「では、先ほど起こった火事は? あの火事にはどんな意味があったのでしょう?」

【杏音】
「えーと……警察の捜査をかく乱しようとしたとか?」

【ラピス】
「現在、大学構内は関係者以外立入禁止。大勢の警察官に監視されています。そんな状態で火をつけても、自らの身を危険にさらすだけだと思いますが」

「この状況で再び放火事件を起こすのは、ほとんど自殺行為といってもいいでしょう。しかし、それだけのリスクを背負ってでも、犯人には火をつけなければならない理由があったんです」

【cul】
「どういうこと?」

【ラピス】
「鞍馬さんを殺害した犯人が、トレーニングホールに火をつけたのは、連続放火魔に罪を押しつけるためだけではなかったんですよ」

「もちろん、それも理由の1つでしたが、実はもっと大切な目的があったんです」

「ゆうべの火事ではその目的が達せられなかったから、今日、再び火をつけることにしたんでしょうね」

【cul】
「ゆうべの火事では達せられなかった目的って?」

【ラピス】
「ゆうべのボヤとさっきの火事ではなにが違いますか?」

【杏音】
「えーと……火災の規模?」

【ラピス】
「そう……犯人はゆうべの火事で目的を遂げるつもりでした。でも、発見が早かったために火は燃え広がらず、だから目的を達成することができなかったんです」

【cul】
「ボヤでは失敗だったってことだよね。もしかして、なにかを盛大に燃やしたかったとか?」

【ラピス】
「その逆です。犯人は燃やしかったのではなく、火を消してほしかったんですよ」

【cul】
「いってる意味がよくわからないんだけど」

【ラピス】
「火を消すためにはなにが必要ですか?」

【杏音】
「……水?」

【ラピス】
「正解。そういうことです」

「ほら。プールをよく見てください」

【cul】
「……あれ? 水がほとんど入ってない」

【杏音】
「先ほどの火事で、ホースから黒い水が放出されているのを見て気づきました。ここにあった水が消火に使われたのでしょう」

「河童さんが話していたのを覚えていませんか? 2週間前に起きた火事のとき、水泳部はまったく練習ができなくなってしまったって」

「大学内で火災が起こったとき、消防車はここから水を汲み上げ、放出することになっているのでしょうね」

【cul】
「まさか、プールの水を抜いてしまうことが犯人の目的だったわけ? そのために放火を?」

つづく

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