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下手の横スキー59

第59回 ほとんどヤケクソの番外編

 ありゃりゃ。もう8月ですか? いつの間にやら、夏真っ盛りぢゃん。
 フォーメーションの大会で優勝したことが、あまりにも嬉しくて、ついつい筆が滑りすぎちゃいました。4ヵ月近くも同じエピソードを続けてれば、そりゃ季節も変わるわな。ってゆーか、【前回までのあらすじ】がなければ、もうちょっとコンパクトにまとまったんだろうけど。

 いやいや、そういいますけどね、奥さん(奥さん?)。実は、【前回までのあらすじ】の駄洒落を考えるのが、一番大変だったわけで。
 これでも駄洒落に対してはひじょーに厳しい目を持っている僕ですから(え? そうだったの?)、紹介した【前回までのあらすじ】は思いついた作品群のほんの一部分にすぎません。
 ってなわけで、今回は番外編として、ボツになった【前回までのあらすじ】を一挙ご紹介!
 ……もはや、スキーエッセイじゃないよな、これ。

「あーあ、俺も奈良さんみたいな大金持ちになりたいなあ」
「あの人、すごいですよね。従業員3名の子会社からスタートして、今では世界中に支店を持つ大会社の社長ですから」
「俺も、あんなふうになりたいなあ」
「先輩には無理無理。そんなあり得ない夢は捨てて、ほら、宝くじでも買いに行きましょうよ」
「宝くじといえば、どうして最近のCMは、井川遥と宮川大助・花子が出演してるわけ? 所ジョージはどうしちゃったのよ?」
「今回からイメージキャラクターを一新したそうですよ。所ジョージは前回までってことで」
 ――【前回までの宝くじ】
《ボツの理由》宝くじネタで茶化したら、買ったばかりのサマージャンボがはずれてしまうような気がしたから。奈良さんが何者であるかは、現時点ではあまり詮索しないよーに。

「年末とはいえ、鈴木さんは本当に宴会がお好きですなあ。ストレス発散の場を持ってらっしゃって、ホント羨ましい限りです」
「またまた。そうやっておだてて、佐藤さんもお人が悪い。知ってますよ。私のこと、『あの人は宴会魔』だって噂してるんでしょ?」
「いえいえ、決してそんなこと……。そうそう、もうすぐお正月ですね」
「ごまかしましたね」
「素敵な初夢が見られるといいんですけどねえ。鈴木さんは、初夢とか気にするほうですか?」
「もちろんですよ。鷹、富士、なすびがそろった夢を見たいと思っています」
 ――【宴会魔でも一鷹、二富士】
《ボツの理由》『一富士、二鷹』であることに、原稿を送る直前になって気がついたから。危なかったあ。恥をかくところでした(なにを今さらという気がしないでもありませんが)。

「一人で飲んでるの?」
「ああ……」
「あなた、とても寂しい目をしてるわね」
「おいらには近づかないほうがいいぜ。なんせ前科者だからな」
「なにをやったの?」
「コロシさ」
「え? どうして?」
「オーストラリアへ旅行に出かけたとき、うっかり転んじまってさ。昔のおいらはものすごく太ってたんだ。運の悪いことに、巨体の倒れた先には生まれたばかりの赤ん坊が眠ってた。……この先はいわなくたってわかるだろう?」
「泣かないで。あなたは充分に苦しんだ。もう罪は償ったんでしょう?」
「ああ……でも、でも……。ごめんよ、コアラちゃん!」
 ――【前科。肥満でコアラ、ブチッ!】
《ボツの理由》人殺しの小説を書くのは平気なのに、動物が殺される話は書いていて心苦しくなってきちゃって……。結局、書いちゃったわけだけどさ。

 ♪ちゃらちゃらちゃらちゃららんちゃーんちゃーん
 あんた、好きです
 今でも、愛してる
 だけど、あんたにゃ、あたしは見えない
 あんたを忘れるために、あたしは旅に出ました
 打ち寄せる波も、汽笛の音も、今は寂しさ募らせるだけ
 別れたけれど、サインはしない
 それが、あたしのささやかな抵抗
 そうよ、あんた、覚えておいて
 戸籍上はあたしが今でも原夫人
 ――【演歌『今でも原夫人』】
《ボツの理由》原という名前が唐突すぎるかなと思ったので。かといって、「旦那の苗字は原です」なんて歌詞を冒頭につけ加えるのも変だし。♪私の名前はカルメンです。……いや、なんとなく歌ったみたくなっただけです。ちなみに、この作品の発展系が【恋愛まだのアラブ人】(第57回)でした。

「あああああ! 俺はどうして、あいつと別れてしまったんだ! あれほどに素敵な女性が目の前に現れることは、もう二度とないだろう。お願いだ、帰ってきてくれ! ……蓮華だ。蓮華の声が聞こえる。おおおおお。帰ってきてくれたのか? 会いたかったぞ、蓮華ああああっ!」
「原社長、気を確かに! それは奥様ではありません。植木です! ただの植木なんですってば!」
 ――【『蓮華!』 木までも原夫人】
《ボツの理由》固有名詞がふたつも入るのは、駄洒落としてあまり美しくないなと思いまして……。

「えへえへえへ。ほーら、見てごらん。オジサン、こんなに大きくなってるだろう?」
「いやあああああ、変態っ!」
「えへ、えへえへ。こうやって人に見せつけて歩くのは楽しいなあ。えへえへ」
「蓮華! 帰ってきてくれたんだな!」
「え? なに? おっさん、誰だよ?」
「蓮華、会いたかったああああああっ!」
「ちょ、ちょっと、おっさん……あああああっ、やめてえええっ!」
 ――【変態までも原夫人】
《ボツの理由》シモネタ、キライ。

「一鷹、二富士でも、一富士、二鷹でも、順番なんてどうだっていいじゃねえか。俺は宴会が大好きなんだよ。畜生め!」
「あらあ、お兄さん。ずいぶんとご機嫌斜めね。あなたにはそんな顔、似合わないわ」
「ありがとう、ママ。この店は最高だよ。ママの顔を見ているだけで、気持ちが安らぐ」
「あ、またお客さんが来たみたい」
「いいよ、ママ。俺が客を出迎えるから。ほら、カウンターのお客さんが呼んでるよ。早く行ってあげなくっちゃ」
「でも……あなたにお店を手伝ってもらったりするのは心苦しいわ」
「ママの手伝いをしたいんだよ。さあ、ママはカウンターへ急いで」
「ありがとう。じゃあ、ちょっとだけお願いするわね」
「ああ、任せておけって。いらっしゃいませ。ようこそ――」
「蓮華あああっ! 会いたかったぞおおおっ!」
「ちょ、ちょっと、なに、あんた? うわあああっ!」
 ――【宴会魔までも原夫人】

「ママ、見てよ、これ」
「なに、それ? レバーみたいだけど」
「俺の胃袋さ。コアラを殺した罪の意識で、胃がボロボロになっちまって……。つい最近、手術で切り落としたんだ」
「蓮花ああああっ! こんな姿になっちまったのかああああっ!」
「おい、こら! 俺の胃をどうするつもりだ?」
 ――【前科の胃までも原夫人】

「蓮華あっ! 好きだああっ!」
「お客さん、それはグラスですよ」
「蓮華あっ! 愛してるうっ!」
「テーブルに股間を押しつけないでください!」
「これも蓮華だあっ!」
「それは地面ですってば!」
「この世のすべては蓮華だああっ!」
 ――【全体までも原夫人】

 ピーポー、ピーポー、ピーポー……
「あああ、お店がメチャクチャだわ」
「で、あいつは一体何者だったんだ? おまえの名前を連呼してたようだが」
「知らないわよ」
「まさか、浮気してたんじゃないだろうな?」
「馬鹿馬鹿しい。あたしが愛しているのはあなただけよ。大金持ちのあなたと知り合ったおかげで、こんな立派なお店を持てたんだもの。あたしがあなたを裏切るわけないじゃない」
 ――【蓮華、今では奈良夫人】
《4つまとめてボツの理由》ってゆーか、今考えたネタだし。

 最後にお知らせです。
 7月31日より、19泊20日の予定で宇宙旅行(嘘)に出かけます(詳細はこちらで)。次回の原稿は宇宙空間で執筆するつもりですが、体調や通信状況により、もしかすると休載するかもしれません。あらかじめご了承ください。

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