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下手の横スキー68

第68回 こんな便利グッズはいかが?

 師走なら手を叩こう~♪ と、使い古された駄洒落で始まりました今回のスキーエッセイ。そうなんです。ぼおっと毎日を過ごしているうちに、いつの間にやら12月ですよ。ずいぶんと寒くなりましたけど、まだまだ天然雪の降り積もる気配はありません。うーん。2週間後には毎年恒例の指導員研修会が行なわれるので、それまでには初滑りを終わらせておきたいんだけどなあ。

 早くスキーに出かけたいなあと思いながら、スキー用品のカタログをぼんやり眺めていたところ、ををを、面白そうな商品をいくつか発見しました。ってなわけで、今回はそれらをテレビショッピング風にご紹介しちゃいましょう。

「皆さん、こんにちは。くろけんさん推薦のスキーグッズをご紹介する『テレホンショッピング・くろけん』──略してテレくろのお時間がやってまいりました」
「テレくろって、なんかヤラシイ響きだな」
「じゃあ、エロくろにしますか?」
「もっとイヤだよ。大体、エロくろってなんの略だ?」
「エロ親父黒田」
「そのままかよ。いいよ、じゃあテレくろで」
「私、司会のスワン中嶋です。今日はよろしくお願いします、エロ親父黒田さん」
「なんで、自分だけカッコイイ名前なんだよ。それから、僕を呼ぶとき、よけいなニックネームはつけなくていいからさ」
「じゃあ、エロ親父さん」
「そっちを残すのかよ!」
「もう、いちいちうるさいなあ。わかりましたよ、黒田って呼べばいいんですね。では始めますよ、黒田」
「……なぜ呼び捨て?」
「皆様、お待たせしました。スワン中嶋がお送りするテレホンショッピング――略してスワッピングの始まり、始まり~」
「ああ、それがいいたかったのね」
「まずはこちらの商品から。ん? なんですか、これは? 靴の裏底みたいな形をしていますけど……。ちなみに黒田は、靴の裏底で踏まれたみたいな顔をしていますよね。あはははは」
「(怒りをこらえながら)これは、スキーブーツの底面にとりつけて使用する革命的商品です。その名も『WALK-EZ(ウォーキーズ)REVOLUTINON』!」
「かんじきみたいなものですか? 黒田」
「だから、呼び捨てにするなよ。それにしても、かんじきって……スワンさん、ずいぶんと古いものを知っていますね」
「平成生まれの母が、ねり消しを集めていましたから」
「母、若っ! あんた、いくつだよ? いや、それ以前にねり消し関係ないぢゃん」
「うぉーきーずれぼりゅーしょん! うぉーきーすっれっぼっりゅっうっしょんっ! ふぉおおっ!」
「うわ、びっくりした。急に叫ぶなよ」
「すみません。私、テレホンショッピングの司会を長く務めているせいか、興奮すると、つい商品名を大声で連呼しながらおしっこを漏らすクセがあるんです」
「イヤなクセだな。ってゆーか、漏らしちゃったの?」
「ええ、3滴ほど」
「着替えなくていいの?」
「おりものだといってごまかします」
「よけいイヤだよ!」
「さっきからぎゃあぎゃあうるさいですね、黒田。全然、商品の説明ができないじゃありませんか」
「あんたが邪魔してるんだろーが」
「で、このうぉーきーずっれっぼっりゅっうっしょんっ! というのは、どのような商品なんでしょう?」
「もっと普通にしゃべってくれていいですから」
「また、漏れました」
「だから、気合い入れすぎだって!」
「まあまあ、私のことは気にせず、商品説明をどうぞ。その間に着替えますから」
「……ほら、スキーブーツってものすごく歩きにくいでしょう?」
「あん、こんなに濡れちゃった」
「足首ががっちりとホールドされてしまうため、坂道などの登り降りはとくに大変で……」
「あれ? お気に入りのウサギちゃんパンツはどこ?」
「ゲレンデに到着する前に、ぐったりと疲れ果ててしまうんですよね」
「ウサギちゃーん」
「うるさいよ、あんた!」
「お待たせしました。お気に入りのウサギちゃんパンツがなかったので、来年の干支にちなんでウリンコちゃんパンツを穿いてみました」
「報告しなくていいから、そんなこと」
「以後、興奮して漏らさないように気をつけます。今日はお腹の調子があまりよくないので、かなり注意しないと……」
「頼むよ、ホント」
「ウリンコちゃんパンツがウンコちゃんパンツになってしまうかも――」
「(慌てふためきながら)スキーブーツはひじょうに歩きにくい! しかし、このWALK-EZ REVOLUTINONを装着すると、あら不思議。まるで普通のスポーツシューズを履いているみたいに、軽々と歩けちゃうんです」
「ええ? まさか、そんな夢みたいなことが?」
「すぐには信じられないでしょうけど、本当なんです」
「どうして? どうして?」
「スキーブーツってのは、底面が真っ平らで、しかも固くて絶対に曲がらないでしょう? そのため、つま先からかかとへのスムーズな体重移動ができないんですよ。しかし、WALK-EZ REVOLUTINONを装着すると、固くて平らだった靴底が、緩やかなカーブを描いた快適な形状へと早変わり。そうすることで、普段の歩行に近い体重移動が可能となりました。しかも、素材は弾力性のあるゴムですから、どんな場所でもうっかり滑ってしまうことがありません」
「なるほど!」
「アスファルトの上を歩くと、どんどん靴底がすり減ってしまいますよね。ブーツが摩耗すると、せっかく調整したビンディングにも合わなくなって、大変危険です。しかし、WALK-EZ REVOLUTINONを装着していれば、そんな心配もいりません。弾力性のあるゴムがあなたの大切なスキーブーツを守ってくれます」
「うわあ、すごいっ! これぞまさしく一日二食出前一丁ってヤツですね」
「……もしかして一石二鳥?」
「そうともいいます。……ところで黒田」
「はい?」
「確かに便利ですけど、ゲレンデに到着して、さあ滑ろう! ってときには、逆に邪魔になりませんか?」
「心配ご無用。コンパクトに折り畳むことができますから、バッグに入れて持ち運んでしまえばOK。盗難防止用のワイヤーロックも付属されていますので、それを利用してレストハウスなどに置いておくのもひとつの方法ですね」
「私、絶対に買う!」
「詳しくは、こちらのブログをどうぞ。ほかにも、スキー板の持ち運びが楽々できるSKI-SHUTTLEという商品など、便利なグッズを扱っております。SKI-SHUTTLEはデザインもお洒落で、しかもカラフル! みんなに一目置かれることは間違いありませんよ。……さて、お次の商品は――」
「あ、もう規程の枚数に達しましたから、これでおしまいということで」
「ええ? でもまだひとつしか紹介してませんよ」
「あんたが無駄話ばっかりしてるから……」
「おまえだ、おまえ!」
「それでは皆さん、ごきげんよう! また次回、お会いしましょう」
「きいいいいっ! スワン中嶋、二度と出てくるなあっ!」
「あら、ご立腹? じゃあ、謝っておきましょうか。いや、どーも、すわん、すわん」

参考:ロータスインターナショナル

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