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下手の横スキー84

第84回 そして今年もフォーメーション(1)

 ♪暑中ぅ~お見舞い申し上げ~ます~
 今回はキャンディーズのヒット曲で始めてみました。南海キャンディーズじゃありません。わかってるって。
 皆さん、こんにちは。ビリーズブートキャンプにハマってしまったミーハー黒田です。2枚目のDVDに収録された犬の小便チックな運動に、やたらと興奮してしまったのは私だけでしょーか?
 気が向いたときだけブートキャンプに入隊してますが、それでも多少はトレーニングの効果が出てきたのか、みぞおちの下あたりがわずかに硬くなってきたような気がします。……え? これって肝硬変?(焦)
 ちょっぴりスリムになったけど、腰のまわりについたアダムスキー型UFOみたいな脂肪は、いっこうに消える気配がありませんな。頼む。誰か吸引してくれ。

 さて。
 唐突に話は変わります。
 このエッセイの読者から、ひさしぶりにメールをいただきましたので、以下に転載。

 16だっちゃ。
 ダーリン!よろしくだっちゃ
 ねぇーねぇーこの前ちょーナメちった
 今から切るから、また盛っちゃお
 おぬしもなかなかのワルよの~
 連絡してちょ
 エヘっ
 ワラえるゥ~

 ……すみません。間違えてスパムメールをコピペしちゃいました。3行目から5行目までの展開が、ウブな僕にはまったく意味不明なんですけど。
 なにをナメたの? 切り盛りしたのはなに? どうして、それで僕が悪者になるの?
 ワラえるゥ~
 笑えねえよ。
 全然関係ないけど、この前、「塩犬」というタイトルのスパムメールをいただきましたです。でも、本文には「塩犬」のシの字も出てきやしねえの。うーん、塩犬ってなに? 妄想ばかりがふくらみます。バターの代わりに塩を塗るの? それ、痛すぎるだろ。あるいは犬に塩をなめさせて、喉を無理矢理カラカラにさせたところで……。
 もとい。
 読者からこのようなメールをいただきました。

 くろけんさん、こんにちは
 女子高生やってるターボです
 e-NOVELSのスキーエッセイ、いつも楽しく読んでまーす
 チョーおもろーい
 こんなに夢中になったのは、うなずきトリオ以来かも
 これからも楽しませてください!
 P.S.今年のフォーメーション大会の結果を教えてくださーい
           from  体毛ボーボー略してターボ

 ターボちゃん。とりあえず、そのハンドルネームはやめたほうがいいと思います。「夢中になったのは、うなずきトリオ以来」というのも実にビミョーな評価。ってゆーか、あんた明らかに女子高生じゃねーだろ。
 でも、まあ、せっかく若い女の子から届いた手紙なので(それは信じているらしい)、質問にお答えしましょう。そーいえば、まだフォーメーション大会の結果について語ってませんでしたね。

 フォーメーションってなに? と首をかしげているあなたは、このチョーおもろーいエッセイの第2回~第3回をもう一度チェック。前々回の大会結果は第28回~第29回。前回の結果は第51回~第58回を参照してください。

 さてさて。
 前回の大会で見事優勝した我がRスキークラブ選抜チーム。もちろん、狙うはV2であります。昨年、大会直前のアクシデントで出場できなかったOさんにも、今年は優勝の感動を味わってもらわなくちゃなりません。
 しかし、メンバーのスケジュールがうまく合わず、大会まで残り1ヵ月を切っても、まったく練習できていない状態が続いていました。おまけに、今年はコーチのIさんがいません。就職して、カタギの世界に旅立たれてしまったんです。この2年間、フォーメーションの構成を考えてくれたのもIさんでした。僕らはただいわれたとおりに動くだけでよかったんですが、ああああああ、今年は自分たちでなにもかもやらなくちゃなりません。
 うーん。どうしよう? どうしよう?
 焦るばかりでなにひとつ進まず、しかしそれでも時間だけは容赦なく過ぎていきます。
 Iさんみたいに斬新な構成を思いつく頭もなければ、昨シーズンのようにたっぷり練習する時間もない。こうなったら、前回と同じ構成でごまかすしかないか。いや、それでは絶対に優勝は無理です。昨年優勝した僕らの滑りを、ほかのチームも研究しているはず。気合いを入れて、それ以上の演技を見せてくるに違いありません。
 悩み抜いた末、ひとつの案を思いつきました。構成は昨年とほぼ同じ。ただし、途中で1回だけインパクトのある技を披露する。全体的に見たら平凡な構成であっても、「おおっ!」と観客を沸かせるようなことをやれば、きっと高得点に繋がると思った次第。
 では、どんな技を見せるか?
 真っ先に思いついたのは、昔、ナショナルデモのかたたちに見せていただいた内足ターンによるフォーメーションでした。
 ターンをする際、内側の足を持ち上げて外足1本で滑るのが外足ターン。その逆で、外側の足を持ち上げ、内足1本で滑るのが内足ターンです。
 ぱっと見た感じは犬の小便スタイルですが(おお。冒頭のビリーはここに至る伏線だったのか)、内足ターンは綺麗に決まると、上半身が大きく内側に傾いて、フィギュアスケートのようにとても優雅に見えます。4人の動きがぴったりシンクロすれば、インパクトはかなりのもの。
 V2を目指すには、もはやこれしかない!
 内足ターンを取り入れることはあっさり決まったのですが、しかし問題は多々ありました。
 まず、難易度が高いということ。スキー経験者ならわかっていただけると思いますが、内足ターンはひじょーにシビアなバランス感覚が要求されます。そのまま内側に転倒してしまう可能性も高い。もし誰かが転倒したら、その時点で優勝はおろか入賞さえ不可能となるでしょう。
 さらに、足を上げるタイミングや、その角度もきっちりそろえないと、なにをやっているかまったくわからなくなっちゃいます。
 とどのつまり、成功すれば優勝を狙えますが、失敗する可能性も高く、誰かが転倒したら最下位も覚悟しなくちゃならないという、なんともリスキーな技だったんですよね。
 だけど、もはや迷っている暇などありません。
 僕らは内足ターンにすべてを賭けることにしました。
「まずは足の角度をそろえる練習からだ! 全員、犬の小便スタイル!」
「ワン!」
「いや、べつに吠えなくてもいいから」
「うう……ワン」
「こら、そこ! どうしてプルプル震えてるんだ? まさか本当におしっこしちゃったんじゃないだろーな?」
「つい条件反射で……」
「普段、どんな格好でおしっこしてるんだよ!」
「ワゥゥゥゥン!」
「ごまかすなああっ!」
 ゲレンデのど真ん中で、片足を上げ続ける4名。
 こんなことで、本当にV2を狙えるのか?
 ってなところで枚数も尽きました。この項、次回に続きます。
 ……昨年みたいに、全8回なんてことにはなりませんのでご心配なく。次でさくっと終わらせちゃいますので。

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