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VOCADOL 51

FILE.008 ディスコード消失事件(2)

▼MAP008-2 ハンバーガーショップ

(ショップ前)

【lily】
「ジーザス! どうしましょう? ミーの大切なポーチが盗まれてしまいました」

「でも、武士に二言はありません。ミーは意地でもここを動きませんからね」

【鳥音】
「なにをいってるの? 財布がなかったら、ハンバーガーも買えないでしょ?」

【lily】
「ドンウォーリー。心配ありません。こんなこともあろうかと財布はポケットに移し替えておきましたから」

【cul】
「よかった。じゃあ、ポーチの中には大切なものは入ってないんだな?」

【lily】
「イエス。駅前でもらったポケットティッシュとアイスの当たり棒が2本。それから、はずれた宝くじと……」

【cul】
「ホント、ろくなものが入ってないな」

【lily】
「あとは、さっき打ち合わせのときにもらった湘南ミュージックカーニバルの企画書くらいです」

【鳥音】
「え……ええええええ?」

【lily】
「……あはっ。ソーリー。やっぱりまずかったでしょうか?」

【cul】
「当たり前だろ? あの書類には、まだ一般には極秘となっている出演者や演目が全部書いてあるんだぞ」

【鳥音】
「わたしたちが漏らしたってわかったら、怒られるだけじゃすまないからね。下手をしたら事務所ごとつぶされちゃうかも」

【lily】
「それは……ハンバーガーを買う列に並んでる場合ではありませんね」

【cul】
「早くあいつを追わなくっちゃ。どこへ行った?」

【鳥音】
「あ、あそこ! lilyのポーチを持ってるよ!」

【lily】
「ウェイト! 待って! アイスの当たり棒を返してください!」

【cul】
「そっち!?」

(入口前)

【cul】
「ごめんなさい。ちょっと通してもらっていいですか?」

【鳥音】
「人がたくさんいる上に、みんなサーフボードを持っているから、なかなか前に進めないよ」

【lily】
「ヘルプ! 誰かそいつを捕まえてください!」

【ディスコード】……敵B
「うふふ。この私を捕まえられるかしら? ポーチを返してほしかったら追いかけてきなさい」

【lily】
「あ……店の中へ入っていきましたよ」

【cul】
「ボクたちも中に入ろう!」

「すみません。緊急事態なんです。ここを通してもらっていいですか?」

(エントランス)

【lily】
「やっと店の中へ入ることができました」

【鳥音】
「店内も人がいっぱい」

【cul】
「ディスコードはどこだ?」

(注文カウンター)

【cul】
「ディスコードは見当たらないな」

【lily】
「メニメニピーポー! 行列はまっすぐ店の奥へと続いていますね。注文カウンターの前はすごい人だかりです」

【鳥音】
「思ったより大きなお店だね。店内は一方通行。注文を終えた人はさらに奥へと進んでいくけど、その先が全然見えないや」

【cul】
「混乱が起こらないように、カウンター前では3人の警備員さんが目を光らせているな」

「あいつがここを通り抜けていかなかったか、ちょっと訊いてみるよ。あの、すみませーん!」

【lily】
「……cul、どうでしたか?」

【cul】
「ここを通り抜けていった者はいないってさ。lilyのポーチを盗んだあいつの容姿も詳しく伝えたけど、そんな人は見かけなかったって」

(ロッカー前)

※ロッカーの形状は写真参照。手前側面にポスターが貼ってある。

画像1

※店内に備えつけられたロッカーは、人が隠れることのできる上記のようなタイプ。奥は壁で行き止まり。

画像2

※このような形で背中合わせに並べられたロッカーが数列存在する。

【lily】
「ワオ! 通路の右側にロッカーが並んでいますね」

【鳥音】
「ハンバーガーショップの中に、どうしてこんなにも大きなロッカーがあるのかな?」

【cul】
「みんな、ロッカーにサーフボードを入れているよ。店内では邪魔になるから、ここに放り込んでから、先へ進めってことみたいだな」

【lily】
「べリ―ビッグ! 人が入れるくらいの大きなロッカーですね。もしかして、ディスコードはこの中に隠れているのでは?」

【鳥音】
「あり得るかも。調べてみようか」

「ロッカーの高さは2メートル。奥行きは1メートルか。これなら、楽に隠れられそうだな」

つづく

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