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VOCADOL 20

FILE.004 飛べない白鳥殺人事件(7)

▼MAP0004-5 大阪市内(承前)

(戦闘モード パターン2)

【ディスコード】……敵C
「待て!」

【メルリ】
(また出た。いつもワンパターンすぎて、インパクトに欠けるのよね)

(こいつらも動物の格好とかすればいいのに。イノシシの着ぐるみとか似合いそう)

【kokone】
「メルリ。なんだか顔がにやけてて、らしくないんだけど」

【lily】
「とりあえず、戦っておきます?」

※戦闘モードに突入

【メルリ】
「さあ、先を急ぎましょう」

(大阪駅前)

【kokone】
「メルリのいっていたとおりね。たこ焼きをあげたら、マネージャーの機嫌もすっかり直っちゃった」

【lily】
「これから大阪港へ移動して、レッスンだそうです」

【kokone】
「汗びっしょりになっちゃうだろうから、ジャージに着替えないとね」

「あーあ。今日は女の子の節句だっていうのに、私たちは汗水流してレッスンかあ」

【メルリ】
「……kokone、今なんていった?」

【kokone】
「え? 今日は女の子の節句なのに汗水流して――」

【メルリ】
「違う。その前よ」

【kokone】
「汗びっしょりになるからジャージに着替えないと」

【メルリ】
「そうよ。それだわ」

「練習のときに、わざわざ本番と同じ格好をする必要なんてないはずよね? だったら、どうしてあんなものがあそこに落ちてたのかしら?」

【kokone】
「え? なんのこと?」

「……事件の真相がわかったわ」

「犯人のところへ乗り込むわよ」

※(天王寺動物園)(大阪城公園)(戎橋)から選択

(天王寺動物園)

【kokone】
「ええ? ウルフさんが犯人なの? どうして?」

【メルリ】
「それは……」

(あれ? 間違っていたかしら)

(大阪城公園)

【kokone】
「ええ? ハム子さんが犯人なの? どうして?」

【メルリ】
「それは……」

(あれ? 間違っていたかしら)

(戎橋)

【メルリ】
「ウサ美さん。スワンさんを殺したのはあなたね」

【ウサ美】
「面白いことをいうピョン。どういうことか、じっくり聞かせてもらうピョン」

【メルリ】
「事件が起こる直前にあなたがスワンさんにかけた電話よ。あれが引き金になって、スワンさんは死んでしまったんだわ」

【ウサ美】
「電話でどうやって人を殺すピョン? まさか、催眠術を使ったとかいわないピョンね?」

【lily】
「メルリ。ウサ美が催眠術の達人だっていうのは、コントの中だけの話ですよ」

【メルリ】
「催眠術なんて必要ないわ。彼女はただ電話口でひとこと叫べばよかったのよ。『火事だ!』って」

【ウサ美】
「…………」

【メルリ】
「スワンさんはスタント事故で大やけどを負って以降、炎に対して異常なほどの恐怖を抱くようになっていたのよね?」

「火事と聞いて、おそらく冷静な判断ができなくなったんでしょう。そう――パニックに陥った彼女は、スイートルームを飛び出し、絶対に開いてはならない扉を押し開けてしまったのよ」

【ウサ美】
「バカバカしいピョン。火事の報せを受け、部屋の外へ飛び出したのだとしても、異常がなければ、すぐにいたずらだったと考えるはずだピョン」

【メルリ】
「異常があったとしたら?」

「スワンさんの部屋の空調は32度に設定されていたわ。きっと彼女、異常な暑さに驚いたでしょうね」

つづく

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