【連作短歌】丘の上の楓
雨降りの後やってくるやわらかい陽差しと風の時間が好きだ
人間は変わった音で群れて鳴くたまに一人でさめざめと鳴く
丘の木が秘密基地だと人の子が教えてくれた枝を折るなよ
友達ねわたしとあなたよろしくね 友の名はハナ私はカエデ
おしゃべりで木登り上手な友達をおとさないよう深く根を張る
友達が友達つれてやってきたボーイフレンド変な名前だ
ピクニックレジャーシートの上に川家族かいいな私もほしい
轟音が明るい夜を連れてきてまもなく風が逃げてきました
雪が降る冬は静かでイノシシも犬もキツネもだあれもこない
もし足が私に生えたら友達の家の様子を見に行けるのに
「美しい変化」「大切な思い出」花言葉だと老人が言う
たくわえた水 血みたいにあたたかい水 赤い水の色に染まる
たくさんの顔を覚えてたくさんの言葉を知って背丈が伸びた
大樹とは私の名前だと思う人がそう呼び私を撫でる
光風が吹き渡る丘またきてね手を振るように若葉をゆらす
大変ありがとうございます。