カエデ2

【連作短歌】丘の上の楓

雨降りの後やってくるやわらかい陽差しと風の時間が好きだ

人間は変わった音で群れて鳴くたまに一人でさめざめと鳴く

丘の木が秘密基地だと人の子が教えてくれた枝を折るなよ

友達ねわたしとあなたよろしくね 友の名はハナ私はカエデ

おしゃべりで木登り上手な友達をおとさないよう深く根を張る

友達が友達つれてやってきたボーイフレンド変な名前だ

ピクニックレジャーシートの上に川家族かいいな私もほしい

轟音が明るい夜を連れてきてまもなく風が逃げてきました

雪が降る冬は静かでイノシシも犬もキツネもだあれもこない

もし足が私に生えたら友達の家の様子を見に行けるのに

「美しい変化」「大切な思い出」花言葉だと老人が言う

たくわえた水 血みたいにあたたかい水 赤い水の色に染まる

たくさんの顔を覚えてたくさんの言葉を知って背丈が伸びた

大樹とは私の名前だと思う人がそう呼び私を撫でる

光風が吹き渡る丘またきてね手を振るように若葉をゆらす





大変ありがとうございます。