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真野陽太朗2020年自選10首。

ただ水を欲して押した自販機に抱きとめられて1が揃った

くちびるをあわせることをゆるされてはじめてしったやわらかい他者

真ん中のガジュマルだけが枯れてゆくおんなじ愛を受けているのに

さかさまのあなたが見えてじゃあねって言った気がする 島に降る雪

対等でいたいだなんて考えて重くなったり軽くなったり

ベランダで気持よさげにゆれている一週間のぼくの抜けがら

荒川の土手から川を眺めてて小さな蟻に足を噛まれる

カタンって郵便受けに本が落ち遠ざかってく駆け足の音

風船が浮力を失くしおりてくる宛先でない僕の頭上に

喧騒のまだ戻らない路地裏で店主は灯す看板の火を

大変ありがとうございます。