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どうして私たちは「地球」「世界」について考えなくてはならないんだろう?

「朝起きて、会社や学校に行って、家族でご飯を食べて、ゆったりお風呂に入って、眠る。日本に生まれた私たちにとって当たり前の毎日が、送れない人たちがいます」
というのが、かつて国際協力や開発援助の世界で必ず使われていたメッセージでした。
いま、このメッセージはこんな風に変わっています。
「日本に生まれた私たちにとって当たり前の毎日が、世界の誰かの豊かな日常や生活を脅かしているかもしれないのです」

目の前にある机、スマートフォン、冷蔵庫、身につけている洋服、靴・・・よく観察してみましょう。いま地球上にあるもので、地球が保有する自然~空気、水、土etc.~の恩恵を受けずにつくられたものは何一つありません。さらにいうと、日本だけでつくられたものもほとんどないと言えるでしょう。あなたは「いえ、これは近所のおばあちゃんが育ててくれたキュウリです」と言うかもしれません。でも、そのキュウリをおいしくするために使った肥料、水をあげるために使ったホース、そしてあなたの手元に届けるために乗った車とガソリンはどこから来ていますか?

全てのものは世界と、地球と、つながっています。

あなたが「お買い得だった!」と980円で買った洋服は、なぜそんなに安いのでしょうか。スナック菓子が一袋100円で売られているのはどうしてでしょうか。安くするために、もしくは大量につくるために誰かが・地球のどこかが、苦しんでいる状況が世界の至る所で起きています。みなさんが買い続ければ、この仕組みは無くなることはなく、むしろ強化されていきます。

もう一つ、違う視点で社会をみてみましょう。
人類は、石器を使う様になって農業革命が、エネルギーや技術を獲得することで産業革命が起き、経済的にも文化的にも進化しました。経済システムを根底から覆すそれらの革命は、その時代に生まれた「技術」に引っ張られる形で起き、まるで激流に呑み込まれるような、抗えない進化だったと想像できます。特に産業革命により、あっという間に人類は資本主義を軸に大量生産・大量消費という波に呑み込まれていきました。そしていまはIoTやAI、ビッグデータを軸にした「第4次産業革命」だと言われています。

新たな技術から生まれるであろう「未来」の前で、実は私たちは、人類史上初めての「行く先を私たち自身が選べる経済革命」に立ち会っています。
新技術を元に、貨幣経済や資本主義の強化(その先には持てるものと持たざるものの分断と都市への人口・機能集中があります)へと進むのか、それとも地球に負担をかけない効率的な生産(やシェア)と消費、誰もが取り残されない社会へ向かうのか。人類の未来に大きな影響を与えるであろう時代を、私たちは生きているのです。

「どうして、私たちは『地球』『世界』について考えなくてはならないんだろう?」
それは世界中がつながり、かつ大きな舵を切る時代の渦中にあるからです。

そしてもう一つ、私たちは「地球」というものを客観的にみた初めての人類だからでもあります。
1961年に有人宇宙飛行が成功し、私たちは、自分たちの住んでいる場所が美しい一つの球体であることを知った、初めての人類です。私たちは世界規模・地球規模で思考できる素養と叡智をもっています。

SDGs(持続可能な開発目標)はこんな時代の中で生まれた目標です。「持続可能な開発」という言葉は、もう少しかみ砕くと「次の世代に負債を残さずに、今の世代の満足・幸せを満たすこと」。自分の行動の先になにが起きているかを想像し、世界や社会のための選択を一つひとつ積み上げることで今の世界が少しずつ改良され、私たちは「人類の未来に残したい世界」への道を選ぶことができます。

「世界・地球と、未来に向けて私ができることはなんだろう?」という問いは、今を生きる私たち誰しもが持つべき問いで、持つべき責任であると思っています。

※本記事は山形県上山市の「クアオルトかみのやま未来シンポジウム」へ寄稿した文章を再掲載しています。クアオルト、素晴らしい事業です。お呼びいただいたシンポジウムの新聞記事↓もあります。観光・健康(市民健康含む)のキーワードがある方はぜひご覧ください。

カバー写真はインド・ジャイサルメールです。こちらもよければお読みください。


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